ディプロマッツが14年ぶり新作でカムバック ロックスらも参加 [全曲フル試聴可]

キャムロン(Cam’Ron)、ジム・ジョーンズ(Jim Jones)らを擁するハーレムのヒップホップ・クルー、ディプロマッツ(The Diplomats)が、実に14年ぶりのオリジナル・スタジオ・アルバムとなる新作『Diplomatic Ties』を23日に発表した。
2002年に”Oh Boy”や”Hey Ma”といった全米トップ5ヒットを放つなどソロ・ラッパーとしても一世を風靡したキャムロン、そして2007年に“We Fly High”がトップ5入りしたことでも知られるジム・ジョーンズによって結成されたディプロマッツ。ディップセットの別名も持つ同グループは90年代末から活動を始め、キャムロンのソロでの成功を経て、グループとしてのデビュー・アルバム『Diplomatic Immunity』を2003年に発表。“Dipset Anthem”などが好評を博した同作は米R&B/ヒップホップ・アルバム・チャートで初登場1位も獲得した。翌年には『Diplomatic Immunity 2』もリリースしたが、しかし、個々にソロ活動が目立つ中、特にキャムロンとジム・ジョーンズの間での衝突が増え、2000年代後半には空中分解してしまう。
2010年にはキャムロンとジム・ジョーンズが和解し、再始動したディップセット/ディプロマッツは、2011年にディップセット名義でコンピレーション『Dipset Mania: Special Edition』を発表。また2013年にはコンピレーション第2弾『Dipset Mania: Back To Business, Vol. 2』の発表に加え、デビュー・アルバム『Diplomatic Immunity』の発売10周年を記念したリユニオン・コンサートを開催。2015年にはミックステープ『American Dream』をリリースするなど少しずつグループとしての活動を再開させてきた。
そして2017年11月、彼らはふたたびディプロマッツを名乗って新曲“Once Upon A Time”を発表。翌月には、もっとも影響力があるとされるSpotifyのヒップホップ・プレイリスト「Rap Caviar」主催イベントでパフォーマンスを披露してヒップホップ・ファンを沸かせ、今年6月には映画『アンクル・ドリュー』のサウンドトラックに新曲“Stronger”を提供、今夏には〈Dipset Forever〉と題した米国内ツアーを行うなど活発になったディプロマッツは、今年10月、ニュー・アルバム『Diplomatic Ties』をサンクスギビングにリリースすると予告。今月頭には、ディプロマッツ一派を初期から支え、“Once Upon A Time”や“Stronger”も手がけた盟友ヒートメイカーズ(The Heatmakerz)のプロデュースによる楽曲で、サンプリングによる彼ららしいニューヨーク・ヒップホップを聞かせる“Sauce Boyz”を発表。続けて発売が迫る11月19日には、全米チャート通算8週1位の大ヒットを記録したドレイクの“Nice For What”を手がけたマーダ・ビーツ(Murda Beatz)のプロデュースによるリード曲“On God”を公開し、予告どおり11月23日に『Diplomatic Ties』を発売した。
現在はキャムロン、ジム・ジョーンズ、ジュエルズ・サンタナ(Juelz Santana)、そしてフリーキー・ジーキー(Freekey Zekey)の4人組となっているディプロマッツ。ジム・ジョーンズの近年のソロ作も扱っているEmpireによるディストリビューションで発売された『Diplomatic Ties』は、『Diplomatic Immunity 2』以来、実に14年ぶりとなるディプロマッツのニュー・アルバムとなる。全9曲、およそ33分と、アルバムとしてはコンパクトな内容であり、昨年発表された“Once Upon A Time”といったシングルや、『アンクル・ドリュー』サントラに提供された“Stronger”などは未収録に終わっているが、クイーン“Who Wants To Live Forever”をサンプリングした“Dipset Forever”など、ディプロマッツ復活を印象付ける作品となっている。
制作陣は、盟友ヒートメイカーズや、2000年代から数々のラップ・ヒットを手がけているクール&ドレー(Cool & Dre)を筆頭に、ここ1~2年ヒットを数々飛ばしている24歳のマーダ・ビーツら新鋭も参加。ゲスト・アーティストも、同じニューヨークのベテラン・グループ=ロックス(The Lox)から、トーリー・レインズ(Tory Lanez)、ベリー(Belly)、トラヴ(Trav)といった若手まで参加しており、往年のディプロマッツ・サウンドを基調としつつ、トラップなどの現行シーンも意識しているようだ。
なお、ミックステープを中心にソロ作を順調に発表してきたジム・ジョーンズは今年4月、ソロ新作となる『Wasted Talent』を発売。キャムロンやジュエルズ・サンタナもゲスト参加しており、ジム・ジョーンズ×キャムロン名義で“Once Upon A Time”も収録されていた。また、2014年には7月から12月まで毎月1日リリースとなるEP『1st Of The Month』シリーズが話題を呼んだほか、昨年11月にミックステープ『The Program』を発表していたキャムロンは、新作『Killa Season 2』が待たれている。
1. Intro: Stay Down (feat. Trav) [prod. by The Heatmakerz]
2. Dipset Forever [prod. by The Heatmakerz]
3. On God (feat. Belly) [prod. by Murda Beatz]
4. Sauce Boyz [prod. by The Heatmakerz]
5. Dipset / Lox (feat. The Lox) [prod. by Cool & Dre]
6. Uptown [prod. by J. Arms]
7. No Sleep (feat. Tory Lanez)
8. By Any Means
9. Outro: Un Casa