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エミネムが「スリム・シェイディ」に回帰する新作をサプライズ・リリース

Eminem - Kamikaze

世界セールスが1億枚を越える「ヒップホップ・モンスター」、エミネム(Eminem)が、前作からわずか8ヵ月という短いインターバルで、ニュー・アルバム『Kamikaze』を8月30日にサプライズ発表した。

昨年12月には、ビヨンセ、エド・シーラン、ピンク、アリシア・キーズといった錚々たるゲストを迎えた、およそ4年ぶりのアルバム『Revival』を発表し、2000年の『The Marshall Mathers LP』から8作連続で全米アルバム総合チャートで初登場1位という快挙を成し遂げるなど、さすがの貫録を見せたばかり。

今年に入ってからも、バッド・ミーツ・イーヴィルというデュオも結成している、同じデトロイトのロイス・ダ・ファイブ・ナインの最新作『Book Of Ryan』や、ニッキー・ミナージュが先日リリースし、全米アルバム総合チャートで初登場2位となった『Queen』にもゲスト参加していたが、何の事前予告もなく、新作『Kamikaze』がサプライズ・リリースとなった。

ビースティ・ボーイズが30年以上前に発表したデビュー・アルバムにして金字塔『Licensed To Ill』を思わせるアートワークの新作『Kamikaze』は、日本では今年11月に公開されるマーベル映画『ヴェノム』のテーマソングと見られる“Venom”を含む、全13曲を収録。直接の制作には関わっていないものの、エグゼクティヴ・プロデューサーとしてドクター・ドレー(Dr. Dre)も参加している。

制作陣は、カニエ・ウェスト“Power”やビヨンセ“Best Thing I Never Had”を手がけたことで知られるシンボリック・ワン(Symbolyc One)ことS1、ドレイク作品の右腕として知られるボーイ・ワンダ(Boi-1da)、エミネム作品に初期から関わってきたルイス・レスト(Luis Resto)といったベテランも並ぶが、前作『Revival』にも関わったイラ・ダ・プロデューサー(Illadaproducer)が4曲を手がけるなど、多くはフレッシュな若手が担当。

今年のグラミー賞に輝いたケンドリック・ラマーの“HUMBLE.”からビヨンセの“Formation”などを手がけた人気プロデューサーのマイク・ウィル・メイド・イット(Mike WiLL Made-It)から、今年全米シングル総合チャートで最高5位のヒットになったブロックボーイ・JB&ドレイクのヒット“Look Alive”のテイ・キース(Tay Keith)、エクスエクスエクステンタシオンやシックスナインらを手がけるロニー・J (Ronny J)、昨年のリアーナのヒット“Love On The Brain”を手がけたことで知られるフレッド・ボール(Fred Ball)、ボーイ・ワンダと共にビヨンセ&ジェイ・Zの話題コラボ作『EVERYTHING IS LOVE』を手がけたジャハーン・スウィート(Jahaan Sweet)など、気鋭の若手たちが参加している。

ゲスト・アーティストにおいても、長年のコラボレーターであるロイス・ダ・ファイブ・ナイン(Royce da 5’9″)を除けば、クリス・ブラウンとのコラボレーションでも話題のジョイナー・ルーカス(Joyner Lucas)、そしてカルヴィン・ハリスやダニエル・シーザーらとの共演でも知られるジェシー・レイエズ(Jessie Reyez)といった若手を抜擢しており、人気アーティストの名前が華やかに並んだ前作とは一転している。

実際、マイク・ウィルがプロデューサーに名を連ねる“Greatest”でケンドリック・ラマーの“HUMBLE.”やプレイボーイ・カーティの“wokeuplikethis*”を、オープニングを飾る“The Ringer”ではヤング・M.Aの“OOOUUU”のフレーズを借用するなど、若手ラッパーを意識している面ものぞく。アルバムでのエミネムのラップは、前作『Revival』に対する低評価に対する反発を始め、いわゆる「マンブル・ラップ」と呼ばれる、リル・ヤティら最近の若いラッパーたちのスタイルへの批判、以前にも揉めていたディー・アントワードへのディス、さらにはドレイク、タイラー・ザ・クリエイター、ヴィンス・ステイプルズ、マシンガン・ケリー、ジョー・バドゥンからドナルド・トランプ大統領らを口撃。表題曲“Kamikaze”では自身を神風特攻隊になぞらえて、危険を顧みず攻めていくとしているが、かつての攻撃的なエミネムが復活した印象を与える。イラ・ダ・プロデューサーも、米Rolling Stone誌の取材に対し、「俺は『Revival』は好きだったけど、みんなスリム・シェイディを求めていた」とし、今回の作品で「スリム・シェイディが戻ってきた」と感じたと話している。

批判も覚悟の上と見られる“攻め”のスタイルだが、しかしその一部の表現は反発も買っている。“Fall”という曲では、エミネムのレーベルの設立15周年を記念して発表された『ShadyXV』を以前にTwitterで馬鹿にしたタイラー・ザ・クリエイターに向けての口撃があるが、その中で同性愛者等への侮蔑的表現である「ファゴット」を使用。エミネムは5年前、2013年のヒット“Rap God”においても「ファゴット」を使用したり、相手を馬鹿にする文脈で「ゲイ」という言葉を多用していたことで批判を受けたことがある。この時は米Rolling Stone誌の取材に対し、バトル・ラップにおいて相手を罵るために昔から使っていた表現であり、同性愛者への差別的な意味は込めていないと弁明していたが、またしてもホモフォビックな表現が飛び出したことから、批判の声が上がっている。

加えて、“Fall”にはボン・イヴェール(Bon Iver)のジャスティン・ヴァーノン(Justin Vernon)の声が使用されているが、これは作曲者としてクレジットされているマイク・ウィル・メイド・イットらがジャスティン・ヴァーノンとセッションした際の音源を勝手に使用されたものだとヴァーノンは主張しており、「この曲のメッセージは好きになれない。飽き飽きだ。(自分の音源を使用した)トラックを変えてほしいと頼んだけど、聞いてもらえなかった」とヴァーノンはTwitterで明かしている。

1. The Ringer [prod. by Illadaproducer & Ronny J / co-prod. by Eminem]
2. Greatest [prod. by Mike WiLL Made-It & Jeremy Miller]
3. Lucky You (feat. Joyner Lucas) [prod. by Boi-1da, Jahaan Sweet & Illadaproducer / add'l prod. by Eminem]
4. Paul (Skit) [prod. by Eminem]
5. Normal [prod. by S1, Lonestarrmuzik & Illadaproducer / add'l prod. by Swish Allnet]
6. Em Calls Paul (Skit) [prod. by Eminem]
7. Stepping Stone [prod. by Eminem / add'l prod. by Luis Resto]
8. Not Alike (feat. Royce da 5’9″) [prod. by Tay Keith & Ronny J / add'l prod. by Eminem]
9. Kamikaze [prod. by Mike WiLL Made-It / add'l prod. by Eminem]
10. Fall [prod. by Tim Suby / add'l prod. by Eminem]
11. Nice Guy (feat. Jessie Reyez) [prod. by S1 & Fred Ball / add'l prod. by Eminem]
12. Good Guy (feat. Jessie Reyez) [prod. by Illadaproducer / add'l prod. by Eminem]
13. Venom (Music From The Motion Picture) [prod. by Eminem / add'l prod. by Luis Resto]