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トラヴィス・スコットが全米アルバム・チャート2週連続1位 ニッキーは初登場2位に

Travis Scott - ASTROWORLD

26歳の人気ラッパー/プロデューサー、トラヴィス・スコット(Travis Scott)が今月3日に発表した最新作『ASTROWORLD』が、先週に引き続いて2週連続で全米アルバム総合チャートで1位を獲得した。

トラヴィス・スコットにとっておよそ2年ぶりのオリジナル・スタジオ・アルバムとなる『ASTROWORLD』は、ドレイク、フランク・オーシャン、ザ・ウィークエンド、ファレル・ウィリアムス、ミーゴスのクエヴォとテイクオフ、レイ・シュリマーのスウェイ・リーといった人気者たちに加え、ジェイムス・ブレイク、サンダーキャットや、スティーヴィー・ワンダー、アース・ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリー、さらにはテイム・インパラやジョン・メイヤーまでが参加するという、豪華な内容でも話題の新作。

このトラヴィス・スコットの『ASTROWORLD』は、発売1週目はおよそ53万7000ユニット(1ユニット=アルバム1枚相当)を記録して、全米アルバム総合チャートで堂々の初登場1位を獲得。自身のキャリア最大のヒットとなっただけでなく、ドレイク『Scorpion』(1週目およそ73万2000ユニット)に次ぐ今年2番目のデビュー記録であり、また週間ストリーミング再生回数では歴代5番目の記録を打ち出し、さらに、53万7000ユニットのうち実売セールスはおよそ27万枚を記録しており、2018年発売作品で最大の実売セールス記録となるなど、大ヒットとなっている。

そして2週目もトラヴィス・スコットの『ASTROWORLD』が全米アルバム総合チャートを制した。8月25日付の最新チャートで、『ASTROWORLD』は総合およそ20万5000ユニットを記録。アメリカにおける音楽ストリーミング・サービスで収録楽曲が再生された回数の1週間の累計はおよそ1億6750万回を記録し、ストリーミングだけでおよそ12万5000ユニットを稼ぎだした(有料会員によるストリーミングは1250回再生につき1ユニット、広告付き無料ストリーミングは3750回再生につき1ユニットと換算される)ほか、実売セールスもおよそ7万8000枚と堅調だった。

このトラヴィス・スコットの『ASTROWORLD』と1位を争っていたのが、35歳の人気女性ラッパー、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)の新作『Queen』だ。エミネム、リル・ウェイン、フューチャー、スウェイ・リーにフォクシー・ブラウンといった人気ラッパーたちからアリアナ・グランデ、ザ・ウィークエンドまで参加した同作は、2014年12月に発表した『The Pinkprint』以来、実におよそ3年8ヵ月ぶりとなるニュー・アルバム。

8月10日に発表されたニッキー・ミナージュの『Queen』は、総合でおよそ18万5000ユニットを記録。トラヴィス・スコットにわずかに及ばなかった。このおよそ18万5000ユニットという数字は、2018年の女性アーティスト作品では、25歳の若手女性ラッパー、カーディ・Bの『Invasion Of Privacy』の1週目およそ25万5000ユニットに次ぐ、今年2番目のヒットとなる。『Queen』は、アメリカにおける音楽ストリーミング・サービスで収録楽曲が再生された回数の1週間の累計はおよそ1億2870万回を記録し、ストリーミングだけでおよそ9万7000ユニットに。前作『The Pinkprint』の頃はまだ音楽ストリーミング・サービスの市場が小さかったこともあり、ニッキーにとってはキャリア最大のストリーミング記録となった。また、実売セールスはおよそ7万8000枚だった。

トラヴィス・スコット『ASTROWORLD』とニッキー・ミナージュ『Queen』で共通しているのは、特典商法による実売セールスの底上げ施策だ。

音楽ストリーミング・サービスでの人気と共に勢力を増しているヒップホップ作品は、特にヒット作においては、総合ユニットにおけるストリーミングが占める割合が圧倒的であることが珍しくない。今年最大のヒットとなっているドレイクの『Scorpion』は1週目、総合およそ73万2000ユニットのうち、実に7割以上がストリーミングによるポイントで、実売セールスはおよそ16万枚に留まっていた。フューチャーが今年7月に発表した最新作『BEASTMODE 2』や、グラミー賞に輝いたチャンス・ザ・ラッパーの『Coloring Book』など、ストリーミング限定作品も少なくない。

こうした中でトラヴィス・スコットの『ASTROWORLD』やニッキー・ミナージュ『Queen』が実売セールスを伸ばした背景には、「バンドル」と言われるセット販売方法がある。ヘルムート・ラングとのカプセル・コレクションや、NIKEのエアフォース1のコラボレーション・モデルを発表するなどファッション面でも注目されているトラヴィス・スコットは、公式サイトで『ASTROWORLD』をテーマにした限定Tシャツなどの新商品を発売、これらの商品に『ASTROWORLD』のデジタル・ダウンロードがセットになっており、こうした“グッズとのセット売り”によって『ASTROWORLD』のダウンロード販売数を増やした。ニッキー・ミナージュも、『Queen』のリリースにあたって同様に、『Queen』のダウンロードがセットになったTシャツなどのグッズ販売を始めており、さらに今年9月からの北米ツアーのチケットとのセット販売と合わせて、『Queen』のダウンロード販売数を押し上げた

こうした販売方法は、昨今増え始めており、近年の成功例ではピンク(P!nk)の『Beautiful Trauma』が挙げられる。同作は北米ツアーのチケット付きCDを発売し、初動セールスがおよそ38万4000枚を記録する大ヒットとなったが、そのうち20万枚以上がこのチケット付きCDの売り上げによるものと見られている。またテイラー・スウィフトの『Reputation』は、初動セールスおよそ121.6万枚、年間でおよそ190万枚を記録して2017年のアメリカでの実売セールス1位となったが、同作は、米小売チェーンのターゲット限定で、72Pの雑誌風の冊子をVol.1Vol. 2の2種類をそれぞれセットにした限定CDも販売されており、ターゲット限定盤だけで50万枚以上が売れたとされている。ストリーミングの拡大の一方で、実売セールスは下降の一方だが、ヒップホップにおいてもこうした“特典商法”はさらに増えていきそうだ。

なおニッキー・ミナージュの場合、リリースから4日後には、『Queen』にシックスナイン(6ix9ine)との“FEFE”を追加した『Queen (Bonus Version)』を新たに配信リリースするという“アップデート”をストリーミング・サービスで敢行。ここ最近は、カニエ・ウェストが『ye』の歌詞を変更したり、ドレイクが『Scorpion』で細かな変更を行ったりといった“アップデート”を行うことも珍しくなくなってきたが、ニッキー・ミナージュの場合、全米シングル総合チャートで初登場4位、現在もトップ5をキープするなど大ヒット中である“FEFE”を『Queen』に加えることで、週間ストリーミング再生回数のかさ上げを狙ったと見られる。

8月25日付の全米アルバム総合チャート、初登場から5週連続で首位を制していたものの、先週ついにトラヴィス・スコットに首位を奪われたドレイクの『Scorpion』は、今週およそ10万2000ユニットで、先週2位から3位にダウン。なお、2位のニッキー・ミナージュ『Queen』とドレイク『Scorpion』は同じYoung Money / Cash Money / Republic Recordsからのリリースだが、Young Money / Cash Moneyの2作品がトップ3内に入ったのはこれが初めてとなる。

また、今週4位には、19歳の新進ラッパー、トリッピー・レッド(Trippie Redd)のデビュー・アルバム『Life’s A Trip』がおよそ7万2000ユニットで初登場。昨年発表したミックステープ『A Love Letter To You 2』は初登場34位で、トリッピー・レッドにとっては全米アルバム総合チャートのトップ30に入ること自体、これが初めて。

2018年のアメリカ上半期において最大のヒット作となったポスト・マローン(Post Malone)『beerbongs & bentleys』は、1ランクダウンの今週5位に。“Lucid Dreams”が全米シングル総合チャートでトップ10ヒット中の新人ジュース・ワールド(Juice WRLD)『Goodbye & Good Riddance』は6位をキープしており、8月25日付の全米アルバム総合チャートはトップ10中、上位6位までがラッパーの作品で占められた先週の8月17日付チャートでは、史上初めて上位8位が全てラッパーの作品となるなど、ヒップホップ勢の勢いが続いている。また、カーディ・Bの『Invasion Of Privacy』が今週8位、エクスエクスエクステンタシオンの『?』が今週10位と、全米アルバム総合チャートのトップ10中8作がラッパーによる作品となっている。