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SpotifyがR.ケリーとXXXテンタシオンの音楽を「ポリシー違反」でプレイリストから削除

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Spotifyが現地時間で10日から、ヘイトコンテンツの削除を目指した新たなポリシーを発表。これに違反しているとして、R.ケリー(R. Kelly)やエクスエクスエクステンタシオン(XXXTentacion)の音楽が、同サービス作成のプレイリストから削除され、波紋を呼んでいる。

[6/5 update: Spotifyのヘイトコンテンツに対する新たなポリシー、「検閲だ」との猛反発を受けて早々に訂正。「説明があまりにも漠然としており、そのために混乱や懸念を招いた」と謝罪し、アーティストの“行い”で判断する方針を撤回 ]

Spotifyが新たに発表したポリシーは、ヘイトコンテンツを「人種、宗教、性自認、性別、民族性、国籍、性的指向、軍役経験、身体的障害などの特性に基づいて、個人やグループに対する憎しみや暴力を明らかに助長したり、支持したり、促したりする内容が主になっているコンテンツ」と規定。また「アーティストやクリエイターが、きわめて有害で憎むべき行動をした場合(例:性的暴行や子供に対する暴力)、そのアーティストやクリエイターとの関わり方に影響を与えるかもしれない」とも規定されている。具体的には、こうしたポリシー違反があった場合、該当コンテンツの削除、もしくはSpotifyでのプロモーションを止めるとしている。

そしてこの新たなポリシーに従って、「セックス・カルト」問題で厳しい批判にさらされている「R&B界の帝王」R.ケリーの音楽が、Spotifyのエディトリアル・チームが編集したプレイリストや、ユーザーの好みから分析するレコメンド機能から削除された。Spotify側は米Billboard誌の取材に対し、「我々は、Spotifyが所有・運営するプレイリストや、Discover Weeklyのようなアルゴリズムによるレコメンドから、R.ケリーの音楽を削除しています。彼の音楽は変わらずサービス上で聞くことはできますが、Spotifyが積極的にプロモーションしていくことは今後ありません」などと回答している。

具体的に何が違反しているかは発表されていないが、R.ケリーの件は後者の「アーティストやクリエイターが、きわめて有害で憎むべき行動をした場合」に当たると見られる。彼は昨年から「若い女性たちを“洗脳”し、“カルト”的な監禁をしている」と告発を受けており、今年3月に英BBCが放送したドキュメンタリー『R. Kelly: Sex, Girls and Videotapes』では、R.ケリーと14歳から交際していたという女性が「性的ペット」のように扱われたと話すなど、性的同意年齢を満たさない若い女性に対する性的暴行などの疑惑が持ち上がっている。こうした状況から先月から、R.ケリーに対するボイコット運動 #MuteRKelly が巻き起こっており、音楽フェスティバルへの出演が急きょキャンセルとなったり、ラジオ番組がR.ケリーの曲を放送しないと宣言するなど社会問題化している。

R.ケリー側は一貫として告発に対して無実を表明。今回のSpotifyの“ポリシー違反”についても、「虚偽の主張や、何も証明されていない疑惑に基づいた行動」だと主張している。さらに、「Spotifyは、重罪の判決を受けたことのあるアーティストや、ドメスティックバイオレンスで逮捕され有罪になったアーティスト、暴力的で女性を貶めるような歌詞を歌うアーティストを数多くプロモーションしています」と指摘し、「しかしケリー氏はこのいずれにも当てはまりません。Spotifyがこのことを理解できていないのは、嘆かわしく、短絡的だと言えます」と、厳しく批判している。

#MuteRKelly運動は企業に対してもボイコットへの協力を要請しており、R.ケリーの所属レーベル RCA Recordsや、アメリカ最大手のチケット販売会社 Ticketmasterに加え、大手音楽ストリーミング・サービスであるSpotifyの名前も挙がっていた。今回、SpotifyがR.ケリーにこうした措置を下したのには、#MuteRKelly運動の影響があるのではと推測されている。

しかし、今回の“ポリシー違反”と見なされたのは、R.ケリーだけではない。「ラップ界でもっとも物議を醸す男」とも評される20歳の新鋭ラッパー/シンガー、エクスエクスエクステンタシオンの音楽も同様にSpotifyによるプレイリストやレコメンド機能から削除された

今年3月に新作『?』を発表し、全米アルバム・チャートで初登場1位を獲得したエクスは、特にアルバム収録曲がストリーミング・サービスで再生された回数の1週間の合計がおよそ1億5940万回を記録するなど、ストリーミングでの人気で成功しているアーティスト。近年はストリーミングでの人気が牽引する形でヒップホップのヒットが数多く誕生しているが、特に「RapCaviar」というヒップホップのSpotifyのプレイリストは900万人以上のフォロワーを抱え、このプレイリストにピックアップされた楽曲は軒並みヒットするなど強い影響力を誇っている。エクスエクスエクステンタシオンの“SAD!”もRapCaviarに取り上げられ、一時は全米シングル・チャート最高7位を記録したが、今回の新ポリシー適用の影響で、RapCaviarからエクスエクスエクステンタシオンの楽曲はすっかり姿を消してしまっている。こちらもR.ケリーと同様に、プレイリストからは除外されたものの、Spotify上で彼の曲を聞くこと自体は変わらず可能だ。

このSpotifyの措置に対し、エクスエクスエクステンタシオンの広報は米Billboard誌に対し、「コメントはないが、質問はある」として、過去に性的暴行やドメスティックバイオレンスに問われたことのあるアーティスト名を列挙した上で、「Spotifyはこうしたアーティストたちもプレイリストから削除していくのか?」と疑問を提示している。広報が挙げたアーティストには、デヴィッド・ボウイ、ジェイムズ・ブラウン、マイケル・ジャクソン、マイルズ・デイヴィス、ドクター・ドレーらの名前がある。

Spotifyは、過去にエクスエクスエクステンタシオンに対してエディトリアル・コンテンツへの協力を求めたこともあり、事前の予告なしでこうした措置を行なったSpotifyに対し、アーティスト側は困惑や疑念を覚えているようだ。Spotify側が明確な基準を提示していかなければ、今後アーティストやレーベルからの反発は避けられないものと見られる。

音楽ストリーミング・サービスは右肩上がりで成長を続けており、2017年のアメリカにおけるストリーミングでの収益は前年比で43%増(およそ57億ドル)と大幅に拡大、収益全体の65%を占めるまでになっており、ストリーミング・サービスの影響力は強まるばかり。最大手であるSpotifyがどういった対応を見せるのか、注目される。