bmr

bmr>NEWS>音楽配信プラットフォームのBandcamp、2017年は実売セールスがさらに拡大

NEWS

音楽配信プラットフォームのBandcamp、2017年は実売セールスがさらに拡大

Bandcamp

CDやデジタル・ダウンロード販売の実売セールスが年々下降していく中、主にインディペンデントのアーティストやレーベルの音楽配信プラットフォームとして人気のBandcamp(バンドキャンプ)は右肩上がりの成長を遂げている。2017年の年間レビューでは、CD/デジタルなどあらゆる形態での実売セールスが前年より伸びていると報告した。

音楽セールスなどの実態を調査し報告するニールセン・ミュージックが発表したアメリカにおける2017年の年間レポートによれば、ストリーミング・サービスの人気拡大により音楽消費全体は前年に比べて12.5%増と拡大している中で、アルバムの実売セールスは前年比17.7%減。CDセールスもデジタル・ダウンロードのセールスもいずれも減少傾向にある。つい最近は、米最大の家電量販店チェーンとして知られるベストバイが今上半期中に店舗でのCD販売から撤退するとも報じられている

しかし一方で、Bandcampは引き続き好調だ。2016年の年間レビューでもダウンロードだけでなく、CD、レコード、カセットテープ、グッズ販売などいずれも前年より売り上げが伸びていることを報告していたが、先日発表された2017年の年間レビューによると、2017年はさらに、Bandcampでのデジタル・アルバム・セールスは前年比16%増、単曲でのダウンロードも33%増で、レコードは前年比54%増、CDは18%増、カセットテープも41%増、そしてグッズ販売も36%増と、いずれも上昇傾向に。2016年は、ユーザーが支払った金額は2億ドル(およそ230億円=当時)近いと報告されていたが、2017年はこれが2億7000万ドル(およそ288億円)に達したとしている。

この9月には創立10周年を迎えるBandcampだが、実売セールスがシュリンク傾向にある中、Bandcampの好調ぶりはひと際目立つ成功と言える。Bandcampは2016年の年間レビューで、メジャー・レーベル主導の定額制音楽ストリーミング・サービスのビジネス・モデルはアーティストへの還元が少ないという意味において崩壊していると言及したブルームバーグの記事を紹介しながら、こうした音楽業界の構造変化における「オルタナティブ」としてBandcampが存在しており、売り上げが右肩上がりであるという事実がこれを証明していると主張していた。2017年はますます定額制音楽ストリーミング・サービスが存在感を示した年となったが、一方でストリーミング・サービス最大手のSpotifyはストリーミング回数に応じた支払い料率をさらに下げたとも報じられており、Bandcampの成長は、「メジャー・レーベルに支配されている」とも指摘されるストリーミング・サービスのカウンターとしての役割を期待されている証かもしれない。

Bandcampは2007年に非上場企業として創立され、2008年から音楽配信プラットフォームとしてサービスを開始。soundcloudやYouTubeなどのように音源や映像をストリーミング再生することができるが、特徴的なのは、アルバムなどひとつの商品ページから購入リンク、試聴リンク、作品の情報などがすべてまとまっていること。また、アーティスト自身が価格を設定できるため、無料ダウンロードにすることも可能で、設定により、アルバム全曲をフルで試聴可能にしたり、特定の楽曲のみを試聴可能にすることもできる。

他にも、アルバムの楽曲ごとのページもできるため、楽曲ごとの歌詞や制作者のクレジット情報などが記載されていることが多く、他のデジタル配信サービスよりも情報量が多いケースが少なくない。加えて、デジタル・ダウンロードもmp3(320kbps)から、元の音源を圧縮しないwav、aiff形式や、元の音声データからの音質の劣化が無いとされる可逆圧縮のflac形式など高音質でダウンロード可能であったり、CDやレコード、カセットテープから、近年はTシャツなどのグッズ販売も可能に。購入・ダウンロード時にはメールアドレスの登録を求めることが可能なため、購入者・ダウンロード者にダイレクトに新作のニュースなどを送ることができるなど、様々な利点があることで、特にインディペンデントのアーティスト/レーベルから支持されている。

なお、Bandcampは毎年、Bandcamp配信作品を対象とした年間ベスト・ランキングを独自に発表しており、2017年のベスト・アルバムは鬼才モーゼス・サムニー(Moses Sumney)の待望のデビュー・アルバム『Aromanticism』が選ばれている。