元テンプテーションズのデニス・エドワーズ、75歳の誕生日を前に亡くなる

テンプテーションズ(The Temptations)のリード・ボーカリストとして“Just My Imagination (Running Away With Me)”や“Papa Was A Rollin’ Stone”といった全米ナンバーワン・ヒットを放ち、またソロ・シンガーとして、ヒップホップのサンプリング・クラシックとして今なお愛される“Don’t Look Any Further”を歌ったことでも知られるデニス・エドワーズ(Dennis Edwards)が亡くなったことが発表された。74歳だった。
テンプテーションズのリード・ボーカリストとしてグラミー賞に輝き、1989年にはロックの殿堂入りも果たしたレジェンド・シンガーが、この世を去った。デニス・エドワーズは近年、妻と共にミズーリ州セントルイス近郊のフローリッサントに住んでいたとのことで、遺族がセントルイスの地元紙セントルイス・ポスト・ディスパッチに対し、亡くなったことを認めた。妻によると、昨年5月頃から髄膜炎によりイリノイ州シカゴの病院に入院していた。この髄膜炎による合併症により、現地時間で2月1日に亡くなったとのこと。2月3日には75歳の誕生日を迎えるところだった。
この訃報に、Motown Recordsの設立者であるベリー・ゴーディ(Berry Gordy, Jr.)は声明を発表し、「モータウン・ファミリーからまたひとつ、光が失われてしまった」としながら、「デニスは、テンプテーションズのこれからという重要な時期に加わるメンバーとして、まさに理想的なアーティストでした」、「デニス・エドワーズは、モータウンの歴史の中でいつまでも輝く光であることでしょう」などとデニス・エドワーズを讃えた。
また、1984年のデニス・エドワーズのソロ曲“Don’t Look Any Further”でフィーチャーされたことがきっかけで注目を集めたサイーダ・ギャレット(Siedah Garrett)を始め、ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)、チャック・D(Chuck D)、クエストラヴ(Questlove)、MC・ハマー(MC Hammer)など多くのミュージシャンたちが追悼のコメントを綴っている。同じMotown Recordsで活躍していたスモーキー・ロビンソン(Smokey Robinson)は米Rolling Stone誌に、「またひとり、モータウンの戦士が旅立ってしまったことを知るのは本当に悲しい。安らかに。君は素晴らしい才能の持ち主だった」と心境を明かした。
2011年には、クリーブランドで開催されたアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)のトリビュート・コンサートでアレサ・フランクリン、デニス・エドワーズ、ロナルド・アイズリー(Ronald Isley)の3者で“A Song For You”を披露し、元気な要素を見せていたが、ロナルド・アイズリーはこの時すでに、デニス・エドワーズが病気を患っていることを聞かされていたという。「彼が快復し、また一緒に歌えるよう祈っていた。でも彼は今、主のもとにいるんだね」とポスト・ディスパッチに語っている。
1943年2月3日生まれのデニス・エドワーズは、アラバマ州出身で生まれたが、幼少期に家族と共にデトロイトに引っ越した。父親の教会で歌うことで歌手としての才能を開花させ、ゴスペル・グループなどで歌った後、60年代初頭にはカントゥアーズ(The Contours)の初期メンバーとなったのを経て、1968年に脱退したデイヴィッド・ラフィン(David Ruffin)の代わりにテンプテーションズのリード・ボーカリストを務めることになる。そのソウルフルな歌声で、彼はテンプテーションズに“I Can’t Get Next To You”、“Just My Imagination (Running Away With Me)”、“Papa Was A Rollin’ Stone”といった全米ナンバーワン・ヒットを始め、“Ball Of Confusion (That’s What The World Is Today)”、“Cloud Nine”といった人気ヒットをもたらし、60年代末から70年代前半にかけて活躍した。特に、“Cloud Nine”でのグラミー賞獲得は、Motown Recordsのアーティストとして初だったとされる。
70年代後半からはグループへの脱退、再加入を何度か繰り返し、1989年を最後にテンプテーションズを離れたが、1984年に『Don’t Look Any Further』でソロ・デビュー。サイーダ・ギャレットとデュエットした表題曲“Don’t Look Any Further”は当時のR&Bチャートでヒットを記録したほか、エリック・B&ラキム(Eric B. & Rakim)の87年ヒット“Paid In Full”を筆頭に、トゥパック(2 Pac)、ジュニア・マフィア(Junior M.A.F.I.A.)、TLC、メアリー・メアリー(Mary Mary)など多くの後進アーティストたちに愛されてきたサンプリング・クラシックとなっており、近年もファット・ジョー(Fat Joe)“So Excited”で使われたばかり。
テンプテーションズは1989年にロックの殿堂入りを果たし、2013年にはグラミー功労賞も贈られている。
RIP Dennis Edwards, beautiful soul who gave me my first shot by recording and performing our classic duet “Don’t Look Any Further”, we’ve lost another great one. #DennisEdwards #TheTemptations #DontLookAnyFurther #RIPDennisEdwards #ThankYouDennisEdwars #restinpeace #FridayFeeling pic.twitter.com/cA5JkIdiQr
— SIEDAH GARRETT (@SIEDAHGARRETT) 2018年2月2日
We lost another brick in the foundation of music history, Mr. Dennis Edwards. Sending prayers & love vibes out… https://t.co/KIZ8Jdnjqu
— Bootsy Collins (@Bootsy_Collins) 2018年2月2日
.Man. Mr DENNIS Edwards voice shredded the MIC Rest In Beats
— Chuck D (@MrChuckD) 2018年2月2日