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「ブルースの女王」デニス・ラサールが死去 78歳

Denise LaSalle

70年代に“Trapped By A Thing Called Love”などのヒットを放ち、2011年には「ブルースの殿堂」、2015年には「リズム&ブルースの殿堂」入りを果たしたベテラン女性シンガーのデニス・ラサール(Denise LaSalle)が亡くなったことが発表された。78歳だった。

デニス・ラサールは昨年10月、テネシー州ナッシュビルのヴァンダービルト大学医療センターに入院し、健康上の問題から右足を切断していたことが発表されていた。この際、デニス・ラサールは前年にうっ血性の心不全を起こして倒れていたことも明らかになり、回復しつつあったものの、「合併症を防ぐため」下肢切断に至ったと説明された。

そして今週、デニス・ラサールが亡くなったことが発表された。彼女は、夫ジェイムス・ウルフと暮らしていたテネシー州ジャクソンの病院で、現地時間で8日月曜の夜に家族に見守られながら息を引き取ったという。デニス・ラサールが具体的にどのような病状だったのか、また死因についてなどは明かされていない。

デニス・ラサールのプロデュースも手がけたウィリー・ミッチェル(Willie Mitchell)の息子であり、メンフィスの名門スタジオ[Royal Studios]のオーナーとして活躍しているローレンス“ブー”ミッチェル(Lawrence “Boo” Mitchell)は、AP通信に対して「彼女は非常に個性的な歌声の持ち主でした」と故人を偲んだ。また、デニス・ラサールが以前に経営していたレストラン[Blues Legend Café]などで働き、「息子のように接してくれました。私も親だと思っています」と言うウォルター・リードは、地元紙ジャクソン・サンに対し、「彼女はブルースの女王でした。数週間前に見舞ったところでしたが、快復に向けて頑張っていました」と振り返っている。

また、長年デニス・ラサールのバックコーラスを務め、2010年に行われた最後の来日公演にも同行したブルース・シンガーのカレン・ウルフ(Karen Wolfe)も、自身のFacebookで「この感情を表す言葉はない」などと哀しみを綴っている。カレン・ウルフは2016年に、デニス・ラサールをゲストに迎えた“Shake A Little Something”という楽曲も発表していた。

昨年10月に右足を切断したと発表された際、デニス・ラサールは[Denise LaSalle Blues Academy of Performing Arts]という音楽学校をジャクソンに設立しようと動いていることも発表されていた。プレスリリースでは当時、「ラサールさんがまず最初に気にしていたのは、Denise LaSalle Blues Academy of Performing Artsの進捗についてでした。この学校は、ラサールさんにとって長年の夢であり、若い人たちにブルースやゴスペル・ミュージックの基礎を学ぶ機会を与える場所を作りたいと彼女はずっと考えていたのです」と説明されていた。

ミシシッピ州生まれのデニス・ラサールは、シカゴに移ってブルース歌手として60年代後半から活躍。1971年に、デトロイトのWestbound Recordsから発表した“Trapped By A Thing Called Love”がR&Bチャートで1位、年間チャートでも85位となるヒットを記録したことで特に知られる。70年代には“Now Run And Tell That”、“Man Sized Job”などをヒットさせた一方で、70年代後半にはディスコ・ブームに接近し、“I’m So Hot”などはダンス・クラシックとして今も人気を呼んでいる。その後、80年代半ばから再びブルースやゴスペル、サザン・ソウルに回帰してコンスタントにリリースを続けており、「ブルースの女王」、「サザン・ソウルの女王」との呼び声も高く、2011年には「ブルースの殿堂」、2015年には「リズム&ブルースの殿堂」入りを果たした。

なお、これまでジェイ・Zやエリカ・バドゥからデスティニーズ・チャイルドまで数々のトップ・スターを手がけ、今月末に授賞式が開催されるグラミー賞の候補となっているケンドリック・ラマー『DAMN.』でもその才能を発揮した人気ヒップホップ・プロデューサーのナインス・ワンダー(9th Wonder)は、70年代後半、ABC Records期のデニス・ラサールを何度もサンプリングしており、彼が所属していたリトル・ブラザー(Little Brother)では、“Cross That Line”で“I’m Back To Collect”、“Next Day”で“Love Me Right”をサンプリングしており、ナインス・ワンダー自身の『The Dream Merchant Vol. 2』に収録された“Backlash”では“Feet Don’t Fail Me”が使用されている。