ケンドリック・ラマー、『DAMN.』の曲順を逆にした「コレクターズ・エディション」を発売

昨年の第58回グラミー賞で5冠、来年1月の第60回グラミー賞では7ノミネートを受けている30歳のスター・ラッパー、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が、アルバム・オブ・ザ・イヤー候補となっている『DAMN.』の「コレクターズ・エディション」を発売した。
2017年を代表するヒット作のひとつであり、来年のグラミー賞ではアルバム・オブ・ザ・イヤー部門や最優秀ラップ・アルバム部門にもノミネートを受けているケンドリック・ラマーの『DAMN.』。Rolling Stone誌、Complexなどの年間ベスト・アルバム・ランキングで1位に選ばれ、TIME誌やEntertainment Weekly、Stereogum、Noisyなどで年間2位、NMEで年間3位と、絶賛の声が相次いでいる。
この傑作のコレクターズ・エディションが出るという話は今週月曜、Microsoftのオンライン・ストアに突然ラインナップされたことから話題になっていた。これはすぐに削除されたものの、「DAMN.」と書かれたTシャツを着たケンドリックが写るモノクロのアートワークなどの発売情報が明らかに。中でも注目を集めたのはトラックリストで、『DAMN.』のラストを飾った“DUCKWORTH.”が1曲目、『DAMN.』のオープニングを飾った“BLOOD.”が最後と、曲順が真逆に。
『DAMN.』は発売当初から「リヴァース」がひとつの大きな要素となっていると指摘されており、自身の姓を冠した“DUCKWORTH.”の終盤や、“FEAR.”の途中などに逆再生のパートがあることや、リアーナ(Rihanna)が参加した“LOYALTY.”のトラックが、ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)のヒット曲“24K Magic”の冒頭をサンプリング、逆再生したものだという点がある。また、“DUCKWORTH.”のオープニングではキッド・カプリ(Kid Cupri)が「リヴァース」を呼びかけているが、アルバム全体のストーリーも、最後の“DUCKWORTH.”で「父親なしに育っていたら、ガンファイトで死んでいただろう」と触れられ、冒頭の“BLOOD.”ではケンドリックが銃で撃たれて死ぬという描写があるなど、トラックリストの最後から遡って聴くほうが話の流れとしてしっくりくるという指摘もあった。
そして8月にはケンドリック・ラマー自ら、MTV Newsのインタビューの中で、「アルバムが出て1週間くらいかな、逆からアルバムをプレイすることができるって気づいてもらえた」、「スタジオにいた時からじっくり計画を立ててやったことだ」と述べ、「最後から聞いていくと、ケンドリック・ラマ―の二重性や複雑さの対比が浮かびあがる。でも、(どちらから聞くのも)両方ともが俺という人間を表しているんだ」と語るなど、意図的に曲順を逆にしていたことを認めた。
実際に12月8日に発売された『DAMN. COLLECTORS EDITION.』は、このケンドリックの意図を反映した形で曲順が真逆になっているというわけだ。Apple MusicやSpotifyなどのサービスで曲順を逆にしたプレイリストを作って楽しんでいるファンも少なくなかったが、アートワークが一新されたこともあり、熱心なファンには必須のコレクターズ・アイテムとなりそうだ。
ケンドリック・ラマー、発売当初から言われてきた「『DAMN.』は逆から聴ける」という指摘を認める。「スタジオにいた時からじっくり計画を立ててやったこと」 [NEWS] https://t.co/oG2vIMlu9J pic.twitter.com/Uwoe05nq0l
— bmr (@bmr_jp) 2017年8月25日
1. DUCKWORTH.
2. GOD.
3. FEAR.
4. XXX. (feat. U2)
5. LOVE. (feat. Zacari)
6. LUST.
7. HUMBLE.
8. PRIDE.
9. LOYALTY. (feat. Rihanna)
10. FEEL.
11. ELEMENT.
12. YAH.
13. DNA.
14. BLOOD.