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アカデミー作品賞『ムーンライト』の音楽はチョップド&スクリュードにインスパイアされた

Moonlight - music by Nicholas Britell

先日の第89回アカデミー賞で、作品賞を始め3冠に輝いた映画『ムーンライト』が日本でまもなく公開されるが、スコアを担当した作曲家ニコラス・ブリテルによると、劇中の音楽は、チョップド&スクリュードと呼ばれる南部ヒップホップの影響を受けて制作されたという。

『ムーンライト』は、麻薬戦争に揺れるマイアミの貧しい地域を舞台に、ひとりの黒人男性が様々な逆境の中で成長していく姿を描く人間ドラマ。今年1月に発表された第74回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)に輝き、先日のアカデミー賞では脚色賞、助演男優賞、そして最重要部門である作品賞に輝くなど、作品性は高く評価されている。日本公開は当初、4月28日(金・祝前日)からを予定していたが、あまりの反響に、急きょ3月31日(金)からの緊急公開と拡大上映が決まったばかりだ。

アフリカ系アメリカ人監督による初のアカデミー作品賞、同性愛を描いた作品による初のアカデミー作品賞など、歴史的な受賞になったこともあって、本国アメリカでも今週末におよそ1500館の劇場での拡大上映が決まった『ムーンライト』だが、アメリカでは元々昨年10月から公開されたこともあって、2月末にすでにDVD/ブルーレイが発売済。その特典映像が一部で話題になっている。それは、『ムーンライト』の音楽を担当したニコラス・ブリテルのインタビュー。ニコラスによると、バリー・ジェンキンス監督は「チョップド&スクリュード」と呼ばれるヒップホップ音楽にインスピレーションを受けたそうで、それを『ムーンライト』の音楽に反映させようということになったという。

チョップド&スクリュードというのは米南部テキサスで発展したスタイルの一種で、印象的なフレーズなどを抜き出し、サンプリングして繰り返したり、レコードの回転数を遅くした時のように、ピッチ(音程)を極端に下げ、スローテンポにするといったリミックスから生まれた独特のサウンド。元々は主人公のシャロンが聴いている音楽という設定から、「クラシックのスコアでチョップド&スクリュードの手法を取り入れてみたらどうだろう?」というアイディアが生まれ、バリー・ジェンキンス監督もその発想をすぐに気に入り、実現したとか。こうした経緯からか、実際に『ムーンライト』の音楽のリミックスを発表する動きも出ている。

また、ヒップホップと『ムーンライト』と言えば、助演男優賞に輝いた俳優マハーシャラ・アリが、ラッパーだった過去についても注目を集めている。『ハウス・オブ・カード 野望の階段』や『Marvel ルーク・ケイジ』などの出演で知られるマハーシャラ・アリだが、ラッパー時代はプリンス・アリ(Prince Ali)と名乗って活動。2006年に『Corner Ensemble』でアルバム・デビューを果たし、翌年には地元オークランドのハイエログリフィックス(Hieroglyphics)によるインディ・レーベルであるHieroglyphics Imperiumから2作目『Curb Side Service』をリリースしている。父親がニューヨーカーで、またニューヨーク大学のティッシュ・スクール・オブ・アートに進学したこともあってか、ベイエリアのラッパーながら、ナズ(Nas)などイーストコーストのラップ・スタイルに影響を受けており、飼い猫もナズと名付けているという。ヒップホップ専門誌XXLによる昨年のインタビューでも、「あなたが聴いてきた中で重要な意味を持ったアルバムは?」との問いに真っ先にナズの『Illmatic』を挙げている。