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ディアンジェロ、エリカ・バドゥのデビュー作をプロデュースしたいと申し出ていた

Erykah Badu - Baduizm

カリスマ的人気を誇る女性ソウル・シンガー、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)のデビュー・アルバム『Baduizm』が2月11日、発売20周年を迎えた。これを記念して、米Billboard誌が特別インタビューを敢行し、興味深いエピソードが本人や関係者の口から語られている。

1997年2月11日に発売された『Baduizm』は、全米チャート最高12位、R&B/Hip-Hopチャート1位のヒットとなった“On & On”を始め数々の名曲が収録され、エリカ・バドゥにとって自身最大のヒット・アルバムとなり、また翌年のグラミー賞では『Baduizm』が最優秀R&Bアルバム、“On & On”が最優秀R&Bボーカル・パフォーマンス(女性)に輝くなど、華々しいデビューを飾った作品となった。

同時期に登場したディアンジェロ(D’Angelo)らと共に、ニュー・クラシック・ソウル、後にネオ・ソウルと呼ばれるムーブメントを起こしたこの名作の発売20周年を記念して、米Billboard誌が特集記事を掲載。ディアンジェロや彼女をデビューさせ、マネジメントしていたことでも知られるキダー・マッセンバーグ(Kedar Massenburg)や、『Baduizm』の制作・発売に関わったミュージシャン、エンジニア、スタッフらと共にエリカ・バドゥが語っている。

デビューへの道を振り返ったエリカ・バドゥは、「私は常に半歩先にいると言われてて、みんながついてくるのを待たなきゃいけなかった」と述べ、パフ・ダディ(Puff Daddy)率いるBad Boy Records、当時はジェイ・Z(Jay-Z)のデビュー作などを発売していたPriority Recordsなど様々なレーベルのオーディションを受けるも、なかなかうまくいかなかったと明かした。ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)の父親マイケル・モールディン(Michael Mauldin)が当時アーバン部門を牽引していたColumbia Recordsのショウケースでは、デスティニーズ・チャイルド(Destiny’s Child)とも一緒になったとか。「でもレーベル(Columbia)は私がやりたいことを理解できていなくて。商業的でもないし主流でもなかったから。アーティスト・ディベロップメント(開発育成)に置こうとしたらしいけど、私はそれが何だか分からなくて、刑務所か何かかと思った(笑)。それで断って。パフィも(デモを)気にいってくれなかった」と振り返っている。

しかしその後、新しい才能やビジネスなどの発掘・支援などの側面も持つ〈SXSW〉(サウス・バイ・サウスウェスト)で、『Baduizm』の原型となったデモ『Country Cousins』を当時のモブ・ディープ(Mobb Deep)のマネージャーに渡す機会があり、それがキダー・マッセンバーグの手に渡ったという。キダーは“On & On”を聞いて、すぐにエリカ・バドゥの才能に着目した。それはキダーがデビューさせたディアンジェロの耳にも届く。キダーによると、「私の車でディアンジェロに“On & On”を聞かせたとき、彼は『なぁ、彼女はとんでもない才能の持ち主だよ。俺にアルバムをプロデュースさせてくれ』って言ったんだ。それで私は、『いやいやD、自分のアルバムも完成していないじゃないか!』って答えたよ」とのことで、ディアンジェロがプロデューサーを買って出ていたものの、「まだ22歳くらいだったけど、すでに彼はとにかくスローペースで、音楽においてこだわりが強かった」と手がかかっていたため、拒否したことを明かしている。

キダーはその後、ディアンジェロのダラス公演にエリカ・バドゥを前座に据え、彼女のライブ・パフォーマンスを観てから契約するかどうかを判断しようとしたという。彼女のライブを見て、「天才だとわかった」キダーは契約しようとしたが、当時エリカ・バドゥは従兄弟のフリー(Robert “Free” Bradford)とエリカ・フリーというデュオとして活動をしており、キダーは「ソロになるべき」と説得したとか。エリカは当時について、「もっとも大人の決断を迫られた」と振り返り、「離れたいと思ったことは一度もなかったけど、でもグループをやりたいわけでもなかった。ソロ・アーティストになりたかったの。でもとても仲良くやっていたから、そのことはしばらく話したことがなかった。最後に決意を明かしたときはとても苦しかった」と話した。

こうしてKedar Recordsと契約したエリカ・バドゥは、キダーの戦略でディアンジェロの“Lady (Remix)”のミュージック・ビデオにカメオ出演。またキダは、エリカ・バドゥへの注目をさらに集めるため、1996年に映画『High School High』のサウンドトラックで、ディアンジェロとのデュエットの形でマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの“Your Precious Love”をカバーさせるが、「ふたりともやりたがらかった」という。当時を知る音楽ジャーナリストは、「エリカが後に語ってくれたところによると、ディアンジェロも彼女もあのカバーを気に入っていないんだ。歌声が調和していないと思ってるらしい」と話している。

また『Baduizm』のヒット・シングル“On & On”で、オーディオ・トゥー(Audio Two)のクラシック“Top Billin”のビートをサンプリングしたのは、メアリー・J.ブライジ(Mary J. Blige)を意識したからだという。ジャー・ボーン(Jah Born / JaBorn Jamal)と制作したこの曲についてエリカは、「まだ18か19だったかな、ジャーボーン・ジャマルというダラスの若いアンダーグラウンド・プロデューサーと知り合って、一緒にビートを作った。メアリー・J.ブライジが“Real Love”で(“Top Billin”を)使っていて、それで“Real Love”っぽい曲を作ろうと思ったの。なぜなら彼女は私がもっともインスピレーションを受けた人のひとりだから」と話している。加えて、“On & On”は元々はもっとストリート感のある曲だったものの、キダーが連れてきたボブ・パワー(Bob Power)が「もっと、“歌”という感じに」しようと提案し、エリカ曰く「妥協」して今のバージョンになっており、エリカは今のバージョンについて「怒ってはいない」ものの、元のバージョンが気に入っているという。

なお、2015年末には末にミックステープ『But You Caint Use My Phone』をリリースしたエリカ・バドゥは、昨年の『Big Baby D.R.A.M.』で“WiFi”というスロウジャムでデュエットしたバージニア発の新鋭D.R.A.M.(ドラム)とのコラボレーションEPをリリースする予定。また、米Billboard誌が『Baduizm』に参加していないアーティストについてエリカ・バドゥにインタビューした際には、「親友」というロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)について、「私のほとんどのアルバムに参加していて、いま私が制作中の新曲にも参加してくれている」と話しており、自身のニュー・アルバムについても期待されるところだ。