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グラスパーがネオ・ソウル・ムーブメントから学んだこととは? 「コモンやディアンジェロのサウンドチェックが楽しみだった」

Robert Glasper

ジャズの枠を超えて活躍し、2012年作『Black Radio』がグラミー賞の最優秀R&Bアルバムに輝いたロバート・グラスパー・エクスペリメント(Robert Glasper Experiment)での活躍で知られるロバート・グラスパーが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて起こった「ネオ・ソウル」と呼ばれるムーブメントに受けた影響を語った。

トリオとしての活動だけでなく、ゴスペルやヒップホップ、ロックなどの要素を取り入れたバンド形態のロバート・グラスパー・エクスペリメントとしてジャンルを超えた人気を博し、ジャズ・ジャイアンツ、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の生誕90周年にあたる昨年は、マイルス・デイヴィスの音楽を再構築する意欲作『Everything’s Beautiful』の発表や、マイルス・デイヴィスの伝記映画『MILES AHEAD』の音楽を担当したことも話題になったロバート・グラスパー。ビラル(Bilal Oliver)のバンドでミュージカル・ディレクターを長年務め、故J・ディラ(J Dilla)のカバーやトリビュートを行うなど、ネオ・ソウルやヒップホップのシーンとも縁深い彼が、自身のキャリア初期を振り返り、その影響を語っている。

これはキーボーディストのインタビューを中心とした米雑誌/オンライン・メディアのKeyboardで語られたもの。ジャズ・シンガーの母親の影響でジャズ・ピアノを習い始めた話から始まり、回想はニューヨークのニュースクール大学へ進学した1997年へ。「ネオ・ソウル・ムーヴメントの最初期だった」というこの時期に、同じジャズ科に在籍したビラルと知り合ったことで、ザ・ルーツ(The Roots)のクエストラヴ(Questlove)を始め、ビラルの故郷フィラデルフィアから頭角を現し始めたミュージシャンたちと仲良くなったという。「あの頃は、ニューヨークとフィラデルフィアの奴らが、ニューヨークでよく一緒にジャムってて。ザ・ルーツやコモン(Common)、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)たちがいた。あのジャンルが生まれつつあったんだ。ニュースクールで俺はビラルと会って、仲良くなったその日に『俺と一緒にジャム・セッション行こうぜ!』って誘われて。そしてクエストラヴとか、フィラデルフィアの連中をみんな紹介してくれたんだ。俺は、クエストラヴの“ジャズ友達”だった。みんな俺をそう呼んだんだよ(笑)」と振り返った。

それまでは教会での演奏や、アコースティック・ジャズしか経験のなかったグラスパーにとって、ザ・ルーツとのセッションは「初めてヒップホップを演奏した」経験になったという。「高校の頃のバンドでヒップホップっぽいものは演奏したことはあったけど、ほとんどやらなかったし、そもそも自分たちが何をやっているかもよく分かってなかった。そのバンドのベーシストは、教会でも一緒に弾いていたんだけど、それがザ・ルーツで今ベースを弾いているマーク・ケリー(Mark Kelley)だってのがおかしな話でさ」と振り返り、当初からヒップホップの要素を取り入れることに無意識に興味を持っていたものの、何を目指しているかを自分でよく理解できていなかったようだ。「ヒップホップを本当の意味でどう演奏したらいいか、それを理解できたのは、クエストラヴとやってた時だね。特に、ディラの時代のヒップホップ。まるでヴァイブスが違うから。ザ・ルーツと一緒に演奏して、モス・デフ(Mos Def)やコモン(Common)、タリブ・クウェリ(Talib Kweli)がそれに合わせてラップをして……そういうセッションの中で、俺は“ビハインド・ザ・ビート”の何たるかを学んだよ。それから、ジェイムス・ポイザー(James Poyser)たちの演奏もしっかり観てた。ヒップホップとソウルを演奏する方法は、彼らから学んだね。ジェイムス・ポイザーたちが、コモンやディアンジェロ(D’Angelo)とサウンドチェックをするのが観たくて、待ちきれなかったよ」と研究に余念がなかったことを振り返り、こうした経験からビラルやモス・デフのミュージカル・ディレクターを務めることができたと語った。

また、高校の頃は、ローズ・ピアノ(エレクトリック・ピアノ)をあげようかと言われても、興味がなく断ってしまったというグラスパーは、J・ディラとの出会いがきっかけでローズに興味を持ったという。「1999年にディラと出会って、彼の家に行く機会があったんだ。彼は(サンプラーの)MPCを操って、一緒にジャムったんだ」、「ディラの家に行ったとき、ハービー(・ハンコック)の『Sunlight』を出してきて。忘れもしないよ。ディラはあのアルバムからたくさんサンプリングしたんだ。そのディラのプレイはもう、『うわ!』って。サウンドが素晴らしくてさ。それでローズを弾きたいと思うようになったよ。ハービーは最高のローズ・サウンドを聞かせてくれる」と語り、こうしたことがきっかけで大学時代にはハービー・ハンコック(Herbie Hancock)にハマったのだと振り返った。今では、テラス・マーティン(Terrace Martin)と共にハービーの新作をプロデュースしているとも話している。

なお、昨年12月にはトリオとしての来日公演も行ったばかりのロバート・グラスパーだが、早くも昨年発売の新作『ArtScience』を引っさげて、今度はロバート・グラスパー・エクスペリメントとして再来日が決定。6月4日(日)と5日(月)にビルボードライブ東京で、6日(火)と7日(水)にビルボードライブ大阪で、そして6月8日(木)に品川ステラボールで来日公演を行う。