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チャンス・ザ・ラッパー新作、ストリーミング限定作品で史上初めて全米チャート入り

Chance The Rapper - Coloring Book

シカゴの23歳ラッパー、チャンス・ザ・ラッパー(Chance the Rapper)が先日Apple Music限定で発表した話題の新作『Coloring Book』が全米チャートで初登場8位にランクイン。ストリーミング限定でのリリースによる作品として史上初めて全米チャート入りを果たした。

チャンス・ザ・ラッパーは、2013年に発表したミックステープ『Acid Rap』がさまざまなメディアの2013年のベスト・アルバム・ランキングで上位に選ばれるなど高く評価されたことでブレイク。以降、イギリスの鬼才プロデューサー/シンガー、ジェイムス・ブレイク(James Blake)や、人気ダンス系プロデューサー/DJのスクリレックス(Skrillex)らから、世界的ポップ・スターのジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の作品へゲスト参加するなど活躍し、最近ではカニエ・ウェスト(Kanye West)の最新作『The Life Of Pablo』への参加も話題になったばかり。

その彼が、米時間で5月12日夜に発表した待望の新作『Coloring Book』は、カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバーなど豪華アーティストが集結しただけでなく、様々なメディアでほぼ満点を獲得するなどその音楽性が絶賛されているが、いわゆる一般的な“販売”はなく、現状ではApple Musicにおけるストリーミングのみという限定的なリリースとなっている。

そしてこの話題作『Coloring Book』が、ストリーミング再生回数のポイントだけで全米チャートにランクイン。米Billboardの全米アルバム・チャートは、2015年始めからストリーミング・サービスでの再生回数を反映させる方針にチャート・ポリシーを改訂しており、ストリーミング・サービスで1500回再生されるとアルバム1枚ぶんのセールスに相当すると換算される。『Coloring Book』は5月13日(金)から19日(木)までの7日間でおよそ5730万回の再生回数を記録したため、およそ3万8000枚相当に。これで全米アルバム・チャート初登場8位となった。CD発売やダウンロード販売などは無く、ストリーミング・サービスのみ提供という形でリリースされた作品が、全米チャートにランクインするのは史上初めて。

昨年にTIDAL、Apple Musicと新たな定額制ストリーミング・サービスがスタートし、最大手のSpotifyへの対抗策として独占コンテンツの提供に力を入れるようになった背景もあって、特にここ半年はストリーミング再生回数が牽引する形で全米チャートの高順位に付けるケースが増しており、2億4510万回という圧倒的な数字でストリーミング・サービスの週間再生回数の記録を大幅に更新したドレイク(Drake)の『Views』(Apple Music独占先行)や、それに次ぐ週間再生回数およそ1億1520万回を誇るビヨンセ(Beyonce)『Lemonade』(ストリーミングはTIDAL独占)など記録的な再生回数が次々に生まれている。

チャンス・ザ・ラッパーのこの『Coloring Book』は、現時点でApple Musicでのストリーミング以外のリリースは予定されていない。なお、リリース直後にはミックステープ・サイトのDatpiffで無料ダウンロードできる状態で公開されていたものの、ほぼ半日で削除。Datpiff側は、アーティストによってアップロードされた公式なリリースとしていたが、チャンス・ザ・ラッパー側は、チャンス本人は関与しておらず、流出音源だとして否定。Datpiff側に削除するよう求めていた。同タイミングで、『Coloring Book』に未収録の“Grown Ass Kid”という曲が何者かによってアップロードされており、チャンスが音源のリークに怒るコメントをTwitterに投稿している。

チャンス・ザ・ラッパーはこれまで、無料ダウンロードできるミックステープなどの形態でリリースを続け、有料販売をしないという方針を貫いている。先日Apple Musicのインターネット・ラジオ局「Beats 1」の番組に出演したチャンスは、「レーベルのやり方は賛同できないんだ。360度契約しなきゃいけないとかさ」と、変わらずレコード会社と契約するという従来の形を否定する発言をしており、「今は音楽にとって、分かれ目となる重大な局面だと思う。チャートはもう変化してきている。ストリーミングを反映させたりね。自分としてはどうでもいいけど、でも少なくとも彼らは動きだしている。グラミー賞も新しい動きをしようとしていると思う。商業リリースでなければ賞のノミネート対象にならないってことについてね」と語っている。グラミー賞は、「アメリカにおいて一般的な流通形態で商業的にリリースされたもの」で、「有料で売り出され、購入できる作品」に候補資格があると規定しているが、『Coloring Book』のリリース・タイミングで始まった署名運動がまもなく目標の3万5000人に達成するなど、無料作品もグラミー賞の対象にすべきではとの議論が巻き起こっている