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アレサ・フランクリン、40年以上前にお蔵入りしたドキュメンタリーの上映を差し止め

Courtesy of Amazing Grace Movie LLC

“クイーン・オブ・ソウル” アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)が1972年に発表した名盤『Amazing Grace』のお蔵入りとなっていた制作ドキュメンタリーが、40年以上の時を経て今年9月、海外の国際映画祭で初めて大々的にお披露目される予定だったが、アレサ本人の訴えで上映が中止になったことが分かった。

『Amazing Grace』は1972年1月、アレサ・フランクリンが29歳のときにロサンジェルスの教会[New Temple Missionary Baptist Church]にて2日間に渡ってレコーディングされたゴスペル・ライブ・アルバム。米国内で200万枚以上を売り上げたこのアルバムは、アレサの50年以上に渡るこれまでのキャリアでもっとも売れた作品であり、またゴスペル作品としても史上もっとも売れたアルバムでもある。ミック・ジャガー(Mick Jagger)も観に来ていたというこのライブ・コンサートは当時、『追憶』や『愛と哀しみの果て』で知られるシドニー・ポラック監督によって撮影され、アルバム発売の翌年、1973年にドキュメンタリー映画としてワーナー・ブラザーズから公開される予定だったものの、録音された音声と映像がうまく合わず、使える映像が20時間分に限られるなどのトラブルがあり、完成されることなく頓挫。そのまま陽の目を見る機会はなく、お蔵入りとなったままだった。

シドニー・ポラック監督も2008年に亡くなっており、幻のドキュメンタリーとなるかと思われたが、アレサがAtlantic Recordsに在籍していた時代に同レーベルで働いていたアラン・エリオットが関心を持ち、『Amazing Grace』のプロデューサーであるジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)に話を持ちかけ、2007年にポラック監督と交渉していたという。実現に向けてやり取りを続けていたものの、末期がんだったポラック監督の容態は悪くなっていき、2008年5月にこの世を去った。だが、完成を求めていたポラック監督の遺志を継いでアラン・エリオットは、監督の死後2年をかけて、デジタル技術を使って音声が映像と合わない問題を解決。映像の使用についてもワーナー・ブラザーズ側をなんとか説得し、2010年には一部で試写会を設けるなどほぼ完成。公開に向けて予告編映像も作られた。そして今年9月、87分のドキュメンタリー映画として、4日に開催されるコロラド州テルユライドでのテルユライド映画祭、そして10日にトロント国際映画祭でついにプレミア上映される予定だった。

しかし、40年以上の時を経て公開が実現しそうだと音楽ファンが喜んだ矢先、アレサ・フランクリンが9月4日、テルユライド映画祭でその日行われる予定の映画上映の緊急差し止めを裁判所に請求した。コロラド州の連邦裁判所は、映画は当時のコンサート映像を元に成立しており、「フランクリンさんは、彼女の許可なく当時の映像が放送・上映・配給されることを禁ずる法的権利を有している」として差し止めを認め、上映は急きょ中止となった。アレサ側の訴状では、映画はアレサのパブリシティ権や肖像権などを犯しているとしたほか、著作権法の反ブートレグ条項(ライブ、コンサートを無断で録音するブートレグを禁止する条項)に違反しているとも指摘しているという。

アレサ・フランクリンは以前にもアラン・エリオットを訴えており、その際は、当時の契約書のうちアレサの分だけ発見されなかったため、アレサの合意なしには映像を使わないというアレサ側の主張を受け入れ、2011年に和解した。その後アレサ・フランクリンが使用に同意した契約書が昨年になって発見され、アラン・エリオットは上映に踏み切った形だ。しかし、裁判所判事によれば、このアレサの契約書は音楽レコーディングについての同意のみになっており、映画公開への同意をしていることにはならないと判断されたという。

インタビューなどでは、アレサ・フランクリンはこのドキュメンタリー映画について「気に入っている」と発言しているとのことだが、アレサが、永久に映画が公開されないようになることを望んでいるのか、あるいはロイヤリティを求めているのか、どちらの立場にあるのかもはっきりしていない。一部報道では、今回の差し止めは14日間のみとなる一時的な措置だという。10日に上映予定となっているトロント国際映画祭の運営側は、現時点では同映画祭での上映についての法的措置は取られていないとのことだが、現状ではすんなり上映という運びとはならないものと見られる。