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ジェイ・Zによる新音楽サービス「タイダル」がローンチ カニエ、マドンナらも共同オーナーに

TIDAL

大御所ラッパーであり、人気ミュージシャンを多数抱えるマネジメント/レーベル Roc Nationを始め、音楽フェスの主催、香水やアルコール飲料のプロデュース、映画製作などビジネスマンとしての活躍でも知られるジェイ・Z(Jay Z)が、先日買収が報じられた定額制音楽ストリーミング・サービス「TIDAL」(タイダル)を再ローンチ。妻ビヨンセ(Beyonce)や、カニエ・ウェスト(Kanye West)、リアーナ(Rihanna)、アリシア・キーズ(Alicia Keys)からダフト・パンク(Daft Punk)、マドンナ(Madonna)、コールドプレイのクリス・マーティン(Chris Martin of Coldplay)など錚々たる面子も共同オーナーとなり、この新サービスを後押ししている。

米経済誌フォーブスによるヒップホップ長者番付「Cash King List」で、昨年も1年間でおよそ6000万ドルを稼ぎ出したとして2位となったジェイ・Z。彼は、自身のPanther Bidco社を使って、今年1月30日、およそ5620万ドル(およそ67億円)でスウェーデンのAspiro社の過半数の株式取得に動き、今月10日に承認され、買収に成功した。同社は、2011年に北欧向けに音楽ストリーミング・サービス「WiMP」をスタートさせており、昨年10月には北米やイギリスでも展開されるサービスとして「TIDAL」をスタートさせたばかり。

経営権を獲得したジェイ・Zは、「TIDAL」の再ローンチを米時間で今月30日に発表。カニエ・ウェスト、リアーナ、アリシア・キーズ、アッシャー(Usher)など人気アーティストがTwitterでプロモーションに協力、ハッシュタグ「#TIDALforALL」がトレンド入りするなど話題になったほか、インターネット生中継された記者会見にはジェイ・Z、妻ビヨンセを始め、アリシア・キーズ、カルヴィン・ハリス(Calvin Harris)、クリス・マーティン、ダフト・パンク、ジャック・ホワイト(Jack White)、J・コール(J. Cole)、カニエ・ウェスト、デッドマウス(deadmau5)、マドンナ、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、リアーナ、アッシャーらが出席。また、これらスターが勢揃いしたティーザー映像も公開され、「なにかすごいことが起こる」という予感を抱かせるローンチとなっている。

TIDAL」は月額定額制のサブスクリプション型となる音楽ストリーミング・サービスで、日本をのぞく世界35ヵ国で展開。1ヶ月9.99ドル(およそ1200円)、高音質で提供される「Hi-Fi」プランでは1ヶ月およそ19.99ドル(およそ2400円)となっている。「Hi-Fi」プランでは競合となるSpotifyなどと比べておよそ2倍の価格差があるが、CDクオリティのFLAC、ALAC(Apple Lossless)といったロスレス形式の音楽を1411kbps(44.1kHz/16 bit)で提供。公式サイトでも「高音質ストリーミング」を謳っており、音質の良さを武器としている。

また、Spotifyでの配信が取りやめになったテイラー・スウィフト(Taylor Swift)のアルバムが最新作『1989』をのぞいて「TIDAL」では提供されているほか、SpotifyやBeatsではまだ配信されていないリアーナの最新シングル“Bitch Better Have My Money”が「TIDAL」では聴けるなど、アーティスト主導型というところを強みに競合と差別化を図っていくようだ。他にもビヨンセ、ジェイ・Zらが作成したプレイリスト、アリシア・キーズが昨年行った世界ツアーのニューヨーク公演の舞台裏映像などが楽しめるという。今後も「TIDAL」独占・先行でのリリースが行われると見られている。

記者会見では、アリシア、カニエ、マドンナら出席アーティストたちが「TIDAL」の共同オーナーであることを宣言する文書に署名。「TIDAL」が、「アーティストによって所有されるプラットフォーム」であり、「音楽の価値を取り戻す」ことを目的としていると説明された。アーティストへの配分など詳細なシステムは明らかにされていないが、共同オーナーとなったアリシア、カニエ、マドンナらには、Aspiroの株式が3%ずつ渡されたとのこと。共同オーナーとなったアーティストたちには、今年2月のグラミー賞の直前に極秘ミーティングを行って接触したという。

ジェイ・Zは米Billboard誌の取材に対し、「人々は、音楽への敬意を持っていない。音楽の本当の価値を落としていっている。最近は音楽は無料だと思っている。水に6ドルは払うのに。それが今のみんなの気分なんだ」と述べ、1年半前から音楽ストリーミング・サービスに着手しようと考えていたことを明かしている。また、Spotifyなど定額制音楽ストリーミング・サービスは制作者への利益還元が低いと指摘されている状況について、「たとえば俺ならツアーに出ることもできるが、曲を作っている奴らはどうだろう? アーティストじゃなくてコンテンツ・クリエイターは? 彼らに利益が正しく還元されないのなら、我々はソングライターやプロデューサーをいずれ失うことになるだろう。中には別の仕事を始める者もいるだろう。我々は素晴らしいソングライターを失いつつある状況にあると思うんだ」などと語り、「たとえばもしアロー・ブラックや彼のソングライターたちだったら、1億6800万回再生で4000ドルしか受け取れないということにはならないだろう」と、アロー・ブラック(Aloe Blacc)が大ヒット曲“Wake Me Up”のPandoraにおける印税収入が極端に少なかったことを嘆いていたことに触れ、Spotifyを揶揄している。