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ファレル、「ブラード・ラインズ」著作権侵害判決に警鐘 「これからのクリエイターが不利になる」

Pharrell Williams

ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がプロデュースし、2013年夏に12週に渡って全米チャート1位を独占するなど世界的ヒットを記録したロビン・シック(Robin Thicke)“Blurred Lines”がマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の曲の著作権を侵害しているとの判決が下った件について、ファレルが敗訴後、初めて自身の意見を口にした。

故マーヴィン・ゲイの著作権を持つマーヴィン・ゲイの遺族が、ロビン・シックの大ヒット曲“Blurred Lines”がマーヴィン・ゲイの1977年のヒット曲“Got To Give It Up”を無断で盗用しているとして著作権侵害を訴えた問題は、ファレルやロビン・シック側は「著作権者の権利は譜面上に書かれているものだけに限定される」という過去の判例を元に、“フィーリング”が同じである、似たように“聞こえる”というのは著作権侵害にはあたらないとの主張をしていたが、今月上旬、“Blurred Lines”は著作権侵害を犯していると陪審員が裁定。740万ドル、およそ9億円の損害があるとされ、ロビン・シックに180万ドル(およそ2.1億円)、ファレルに160万ドル(およそ1.9億円)の支払いが命じられた。

かねてよりファレルは、「譜面を読むことだ。そうすればまったく違う曲だと分かる。譜面が読めて演奏できる人は、ピアノの前に座って両方を演奏してみればいい。一方はマイナー・コードで、もう一方はメジャー・コードだ。音の高さですら一緒じゃない」として著作権侵害を完全否定。裁判中にも、「シルクとレーヨンは同じような感触でも、構造的にまったく別のもの」という例えを出して両曲の違いを説明していた。今回の敗訴については、ロビン・シック、ファレル側の弁護士が再審理請求へと動いているが、Financial Times紙のインタビューにファレルが自身の意見を語っている。

ファレルは、裁判の冒頭でも述べられた「誰もジャンルやスタイル、グルーヴというものを“所有”することはできない」との主張を繰り返すかのように、「フィーリングやエモーションを所有するなんてできない」とコメントし、「著作権侵害などない」と改めてはっきり否定。そしてこの判決の影響について、「何かからインスパイアを受けてものを作るあらゆるクリエイターたちが、不利になることになる。この判決はファッション、音楽、デザイン……あらゆるものに適用され得る。インスパイアを受ける自由を失えば、いずれ、訴訟を恐れ身動きの取れなくなったエンターテイメント業界を見ることになるだろう。あなたの部屋にあるもの全てが、何らかのインスパイアを受けて生まれている。それを禁止してしまえば、クリエイティヴィティが無くなる」と警鐘を鳴らした。同紙では、映画会社ミラマックスの設立者といても知られる映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる意見も掲載しており、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインといったアーティストの名前を挙げ、彼らがポップカルチャーの影響を受けインスピレーションを得ていなければ「なにも生まれなかっただろう」と、ファレルを擁護してる。

またAccess Hollywoodのインタビューでファレルは、「個人的な意見だが、陪審員は感情によって判断し、決して実際の論点、すなわち著作権侵害かどうかということで判断していなかった」とコメント。楽曲の発表時に、マーヴィンの“Got To Give It Up”を意識して作ったとインタビュー等で発言していたのに対し、裁判中にロビン・シックがこうした当時の発言について、「ドラッグやアルコールの問題を抱え」ていたために正常な状態ではなく、売れるために虚偽を語っていたとも述べるなど発言を翻してしまったことで、相手の弁護士が陪審員に対し「正直な人間でないと言っているロビン・シックのことをあなたは信じますか?」と問いかけるなど陪審員に与える印象の面でファレル・ロビン側に不利に働いたと見られており、ファレルはこうした審理について疑念を呈しているものと思われる。ファレルは改めて、「著作権侵害はない。それが今回の裁判の争点だ。インスピレーションがあったかどうかではない。インスピレーションを受けるのは自由だ。だから我々はインスピレーションの自由のために闘う」と話している。

今回の敗訴についてはミュージシャン側からも多くの反論が巻き起こっており、ジョン・レジェンド(John Legend)は、「似たように聞こえるとか感じるというだけで著作権を侵害するに足るとなると、我々は注意深くならなければならないだろうね。でもちょっと心配なのは、今回の判決がきっかけとなって訴訟合戦になることだ」と皮肉を交えながら判決に批判的な意見を述べた。40年近くのキャリアを誇り、数々のフォロワーも生んでいるナイル・ロジャース(Nile Rodgers)もまた、「似ているとも思わない。純粋に楽曲の構成において、彼らは負けることはなかったはずだ。“Got To Give It Up”は明確にブルーズの構造を持っているが、“Blurred Lines”はそうじゃない」と述べ、この敗訴について「衝撃的だ」と語っている。

この“Blurred Lines”騒動は様々な余波を生んでいるが、中でも「盗用された」とみなされたマーヴィン・ゲイの“Got To Give It Up”は、今回の敗訴を受けて皮肉にも、1週間で1万ダウンロードを売り上げるなど再ヒット。R&B Digital Songsチャートで18位をマークした。またベスト盤『Number 1′s』もおよそ4000枚を売り上げて全米チャート175位に登場。10数年ぶりにマーヴィン・ゲイの名前が全米チャートに載ることになった。

なお遺族側もまた今回の判決に納得しておらず、“Blurred Lines”のゲスト・ラッパーであったT.I.や、ロビン・シックが所属するファレルのレーベル Star Trak Entertainmentを始め、リリース元であるInterscope Records、その親会社であるUniversal Musicなどにも責任があると主張。また、ファレルやロビン・シックが賠償金を支払うまで、“Blurred Lines”の発売やライブ・パフォーマンスなどが禁止されるよう求めているとのこと。

>> 続報: ロビン・シックが敗訴について言及 「とても驚いた。だからこそ我々は控訴しようとしているんだ」(2015.7.14.)
>> 続報: “Blurred Lines”の著作権収入について50%をマーヴィン・ゲイ遺族側が受け取ることに(2015.7.19.)