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次に訴えられるのはファレルの「ハッピー」? 「ブラード・ラインズ」問題、ファレル&ロビン・シック側は控訴へ

Pharrell - Happy

2013年夏に12週に渡って全米チャート1位を独占したロビン・シック(Robin Thicke)の世界的ヒット・シングル“Blurred Lines”が、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の1977年のヒット曲“Got To Give It Up”の著作権を侵害していると認められたばかりだが、マーヴィン・ゲイの遺族側はさらなる訴訟に持ち込むかもしれない。

マーヴィン・ゲイの遺族は、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がプロデュースし、2013年に世界的ヒットとなったロビン・シック“Blurred Lines”が、マーヴィン・ゲイの“Got To Give It Up”を無断で盗用したとして提訴。「著作権者の権利は譜面上に書かれているものだけに限定される」という過去の判例を踏まえ、ロビン・シック&ファレル側は譜面上まったく違う曲であり、パーカッションやボーカルが作るサウンドの“フィーリング”が似ていてもそれは著作権侵害には当たらないと主張。「誰もジャンルやスタイル、グルーヴというものを“所有”することはできない」と訴えたが、現地時間で今週12日についに判決が下り、敗訴。740万ドル、およそ9億円の損害があるとされた。

マーヴィン・ゲイの遺族は、同様にロビン・シックが2011年にリリースした『Love After War』のリード・シングル“Love After War”もマーヴィン・ゲイの1976年のアルバム『I Want You』収録の“After The Dance”を無断で盗用していると裁判中に訴え、こちらも著作権侵害が認められている。遺族側は今回の判例を踏まえて、さらなる訴訟を起こす可能性もありそうだ。CBS Newsが報じたところによると、遺族側は昨年ファレルが大ヒットさせた“Happy”が、マーヴィン・ゲイの“Ain’t That Peculiar”に酷似していると考えているという。歌手や女優としても活動したことでも知られ、今回の訴訟の原告でもあるマーヴィン・ゲイの娘ノーナ・ゲイ(Nona Gaye)は、「嘘は吐きたくないわ。この2曲のサウンドは似ていると私は考えている」とコメント。同様に原告で、マーヴィンの息子にあたるマーヴィン・ゲイ三世も「あれは“Ain’t That Peculiar”」だと述べている。ファレルの“Happy”は全米チャートで10週1位を獲得、アメリカだけで昨年内に645万ダウンロードを記録し、昨年もっとも売れたシングルとなるなど大ヒット。先日のグラミー賞でも授賞の栄誉に輝いている。

もっとも遺族側は、現時点においては訴訟を起こす意向はないという。ノーナは、「インスパイアされることが悪いと思ってるわけじゃないの。私だって音楽をやっていたときは(他のアーティストから)インスパイアされてきたわ」と語った。一方でマーヴィン・ゲイの元妻ジャニスは、“Blurred Lines”について改めて訊ねられ、「インスパイアされるのはいい。でも、ひとつの曲からそのエッセンスをまるっきり取り出したとしたら、話は違うのよ。ファレルがあの曲を1時間で作ったと話しているのを聞いたとき、『そりゃ、1977年に出来ていたものだもの』とまず思ったわ。『40年前に出来たものを作り直すのにどうして20分以上もかかったの?』ってね」と述べている。

今回の敗訴について、ロビン・シックとファレル、ゲスト参加したラッパーのT.I.は連名で声明を発表し、判決について、「きわめて残念」であり、「音楽にとって恐ろしい前例となり、クリエイティビティは後退することになるでしょう」などと表明していたが、ロビン・シック&ファレル側の弁護士ハワード・キングによれば再審理請求へと動くようだ。キング弁護士は、今回の訴訟の発端は、ゲイ側が“Blurred Lines”の著作権100%を譲り渡すことを求めてきたことにあることを明かし、「我々は、世界中のソングライターのためにも、この判決が成り立つものではないことを確かめなければいけない」と力強く語った。また、ファレルの“Happy”が遺族側から言及されていることについて、ファレルが法廷で述べた比喩を引用しながら、「ファレルは、マーヴィン・ゲイが彼にとってアイドルのひとりであることをためらうことなく認めている。だが、この件はシルクとレーヨン(のように別種のもの)だ。シルクとレーヨンは同じような感触でも、構造的にまったく別のもの。この2曲のようにね」と答えている。

Blurred Lines”が著作権侵害にあたるという今回の判決は様々な議論を呼んでいる。デッドマウスらをクライアントに持つ弁護士は、「インスパイアされたということで著作権侵害にあたるとみなされるとは、今日は非常に嘆かわしい日だ」とコメント。ロビン・シックが証言で、レコーディング中はドラッグやアルコールで酩酊しハイになっていたと述べ、マーヴィン・ゲイを意識して制作したという発売当時のインタビューなどでの発言を翻してしまったことで「陪審員にバイアスがかかった」と敗因に言及しつつ、「著作権侵害を決定づける根拠にはならない」と語った。一方で、スモーキー・ロビンソンらをクライアントに持つ弁護士が「今回の判決がアーティスト・コミュニティに恐ろしい影響を与えうるという懸念は、おそらく誇張しすぎだろう」と話すなど、判決を妥当とする声もある。

ヒップホップ・アーティストらを数々担当した弁護士でもあるコンバット・ジャックは、「外から見ていただけなので今回の訴訟の全てを知っているわけではないが、マーヴィン・ゲイの作品の要素が“Blurred Lines”に取り入れられたことははっきりしている。たとえファレルが“インスパイア”されただけで“フィーリング”を持ち込んだだけだと言っても、“Got To Give It Up”があってあの曲を作ったのは間違いない」とし、「“影響を受けている”以上」の曲になっていることから判決は妥当とコメント。「通常、サンプリングの許可を求める際は、マスターを管理しているレコード会社、そして著作権を持つパブリッシャーの2つにお金を支払わなければいけない。だが多くの場合、予算を少なく収めたいプロデューサーはレコード会社にお金を払わず、曲を演奏し直すことでパブリッシャーだけにお金を支払う。“Blurred Lines”の場合、“Got To Give It Up”をそのまま使っているわけではないから、この場合レコード会社は関係ない。パブリッシャーの話なんだ。そして私が話したように、“Blurred Lines”と“Got To Give It Up”を交互に聞けば、とても似ていると思うだろう。たとえそれが偶然にそうなったとしてもね」と説明し、これは「弾き直し」に該当する案件だとしている。また、ファレルらが主張する“フィーリング”についても、「“Blurred Lines”はフィーリングが似ているというだけじゃない。(ファレルの)ネプチューンズがプロデュースしたジャスティン・ティバーレイクの曲を聞いて、マイケル・ジャクソンっぽいと感じるだろう。だがマイケル・ジャクソンの特定の曲と似ているというわけではない。それがフィーリングだ。しかし、特定のある曲に聞こえるという曲は、これはフィーリングという問題じゃない。特定の曲をコピーしたように聞こえる曲であれば、お金を支払わなければならないだろう」との解釈を語っている。

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