bmr

bmr>NEWS>ディアンジェロ新作、当初はグラミー狙いでもっと早く完成させる予定だった

NEWS

ディアンジェロ新作、当初はグラミー狙いでもっと早く完成させる予定だった

D'Angelo & The Vanguard - Black Messiah

およそ15年ぶりとなるニュー・アルバム『Black Messiah』をまもなく発売すると今月13日に緊急告知し、15日にはデジタル配信先行で発売し、話題の的となっているディアンジェロ(D’Angelo)。クエストラブ(Questlove)などこの新作に携わった面々が相次いでサプライズ・リリースされたこのアルバムについて興味深い内情を明かしている。

ファレル、アリシア・キーズ、ジャスティン・ティンバーレイクなど数々のスターが、「天才」、「マストバイ」など絶賛のコメントをTwitterで出す中、今月23日にはついにフィジカルCD盤も発売されたディアンジェロの『Black Messiah』。2000年1月に発売され、音楽史に残る傑作となった『Voodoo』以来となる、実に15年ぶりの新作リリースは大きな話題となっているが、この新作制作に携わったザ・ルーツ(The Roots)のクエストラブや、エンジニアを務めたラッセル・エレヴァド(Russell Elevado)らがこのアルバムについて語っている。

クエストラブが立ち上げに関わったOkayplayerの掲示板では、クエストラブがファンからの質問に答える形で『Black Messiah』についてコメント。ここ数年、ディアンジェロの新作は完成間近だと繰り返してきたクエストラブは、ディアンジェロが2005年から契約しているRCA Records(※契約当時はJ Records)から完成を急かされていたと説明しながら、「本来のゴールは10月とされていた。グラミーのためにね。でもDがもうちょっと時間が欲しいと延長を(またも)懇願して、ミックスをさらによくするために4週間の猶予をもらったんだ(神様ありがとう)」と綴り、来年のグラミー賞のノミネート(※実際は今年9月30日の発売までが対象となる)を目標に進行していたものの、間に合わなかったことを明かしている。

ディアンジェロのツアー・マネージャーなどを務めていたアラン・リーズ(Alan Reeds)によれば、RCAは完成した『Black Messiah』を来年の始めに発売する予定でいたものの、米ファーガソンでの黒人射殺事件を起こした白人警官の不起訴が今年の11月末に決まったことなどの情勢を受けて、急きょ緊急リリースすることになったと説明している。

アルバム・アートワークを手がけたAFROPUNKのジョセリン・クーパー(Jocelyn Cooper)は、本来6ヶ月かけて制作するところを2週間という短い納期でアートワークを完成させたと話している。『Black Messiah』は、ディアンジェロが「音楽を通してメッセージを伝える」ために緊急リリースされたこともあり、スパイク・リーやネルソン・ジョージ、クエストラブらがコメントを寄せる動画シリーズも発売後に公開されている。

この『Black Messiah』は、『Voodoo』の発売直後から制作が進められるも度々中断したこともあって完成まで時間がかかった作品だが、当初は『James River』というタイトルが伝わっていた。これについてクエストラブは、「このアルバムは『James River』(と同じ)だ。タイトルを変えたのは、彼が、みんなが知っているタイトルというのが気に食わなかったからだよ」と説明している。また、クエストラブは、『Black Messiah』のために合計で70曲が用意されたと明かし、そのうち23曲がある程度出来上がっていたとコメント。一方でエンジニアのラッセル・エレヴァドは、「収録されなかった曲で完成に近かったのは数曲くらいだ。デモは何十とあったけどね」と語っている。クエストラブによればもっとも古い曲は“Betray My Heart”で、2000年~2001年頃からあった曲だという。

『Black Messiah』には、Qティップ(Q-Tip)やケンドラ・フォスター(Kendra Foster)が作詞に関わっているほか、ジェシー・ジョンソン(Jesse Johnson)、ジェイムス・ギャドソン(James Gadson)、ピノ・パラディーノ(Pino Palladino)、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)、クリス・デイヴ(Chris Dave)、クエストラブらが演奏に参加。アルバム自体も、ジェシー・ジョンソン、ピノ・パラディーノ、ケンドラ・フォスターらから成るバンド=ザ・ヴァンガード(The Vanguard)との共同名義で発売されている。

しかし、ディアンジェロが、このプロジェクトにおける(5人目のビートルズと呼ばれた)ジョージ・マーティンのような存在と言うラッセル・エレヴァドによると、「『Voodoo』直後の最初のレコーディングでは、多くが彼のソロだった。自分でドラムを叩き、ギターを弾き、ベースを弾いていたんだ。ディアンジェロとこのことを話したことはないけど、あの頃の彼は今までよりコラボレーションを減らし、自作自演を強めたものにしたかったんじゃないかな」と回想し、その後、他のミュージシャンたちとジャムセッションしながら作る方向に変わったと明かしている。

またエンジニアのベン・ケイン(Ben Kane)によれば、収録曲の中で“1000 Deaths”は、クエストラブがドラムを担当した以外、すべてのパートはディアンジェロの演奏によるものだという。アルバムから最初に公開された“Sugah Daddy”は、ドラムをクエストラブ、ベースとエレキシタールをピノ・パラデーノが演奏したが、さらにジェシー・ジョンソンらのギターを足したほか、ジェイムス・ギャドソンがドラムのキック、そして太ももを叩くボディパーカッションを担当したという。

ディアンジェロ&ザ・ヴァンガードの『Black Messiah』は、輸入盤CDやiTunesなどのデジタル配信で発売されているほか、日本盤は来年2月4日発売予定。HDTracksでは96kHz/24bitでのハイレゾ音源でも配信されている。また、このアルバムは「A面」「B面」の記載があり、「B面」の1曲目扱いとなる“Back To The Future (Part I)”の冒頭にはレコードに針を落とした音が聴こえるが、レコード盤は2月10日発売予定となっている。