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[live report] プリンスのカバーも飛び出した、ハイリーン日本での初単独公演 at モーションブルー横浜

Hyleen at Motion Blue Yokohama, 2017

ダフトパンク“Get Lucky”やレイラ・ハサウェイ“Something”などのカバーが反響を起こし、前者は『フリー・ソウル・2010s・アーバン・メロウ』に収録されて2014年1月にJ-WaveのTokio Hot 100にランクイン、後者はレイラ本人がSNSでシェアしたことも話題になったハイリーン(・ギル)。

2014年に発表したデビュー・アルバム『U & I』(⇒ 全曲フル試聴可)は、オマー、フランク・マッコム、マーカス・パーカー(メイシオ・パーカーの甥っ子)らのゲスト参加+全編のドラムをクリス・デイヴが担当+ミックスとマスタリングを担当したのがRGE『Black Radio』&『Black Radio 2』コンビ、という強力な布陣を敷いていたことでも話題になりました。

今年4月に日本先行で最新作『B-Side』を発表していた25歳のフランス人女性SSW/ギタリストが、この11月末~12月にかけて初のジャパン・ツアーを敢行(来日自体も3年ぶり)。横浜、千葉、渋谷での公演を終え、残すところ、6日(水)の池袋Absolute Blue、そして9日(土)にSoulflexプレゼンツで大阪は心斎橋のTHE GOOD THINGにて、この2公演となりますが、初日11月30日(木)に行われたモーションブルー横浜公演のライブ・レポートをお届けします。

Hyleen

彼女を世に送りだしたガッタ(GOTTA)のプロデュースによる『U & I』は、ロバート・グラスパー・エクスペリメント『Black Radio』といったジャズ文脈からのネオ・ソウルとリンクするような洗練された作品だったが、今思えば、豪華なゲストに囲まれ、背伸びしていた部分もあっただろうか。ガッタと離れ、自らアレンジまでを手がけ、全編スタジオでのセッションから作り上げていった最新作『B-Side』は、「リアル」で「自分のパーソナリティのいろんな顔、内面」を見せる等身大のアルバムに仕上がった。結果、前作ではそこまで感じられなかったファンクやポップがある種の荒々しさと共にそこかしこに覗く作品に。特にファンクのインスト・ナンバーとなる“Beside You”、“Beside Me”あたりは『B-Side』ならではの感触だろう。

モーションブルー横浜で味わった彼女の初単独公演は、そんな彼女の「Bサイド」をより顕著に示したかのようなショウだった。拍手と共に登場したのは、思ったよりも小柄で可憐な印象のハイリーン、『B-Side』のセッション・メンバーでもあるドラムのニコラ・ヴィカロ、そして今春からバンド・メンバーとなっているらしい鍵盤のジュリアン・ブルサン。ニコラはキャリア初期から彼女を支えているジャズ・ドラマー。すでにこのトリオ編成で何度もライブを重ねているようだし、またドイツ・ツアーを経ての来日ということもあって、新顔のジュリアンとも息のあったパフォーマンスを見せる。

Julien Boursin

カジュアルな格好で、いい意味で飾り気のないハイリーンが爪弾くギターから始まったのは、『B-Side』のリード・シングルである“Looking At”。『U & I』からの延長線上にあるようなジャジーな佇まいも持つこの曲から始まるのは、絶妙な導入か……とも思ったが、結局『B-Side』以前の楽曲は一切やることはなく、今のハイリーンを表現するステージだった。英語があまり得意ではないようで、フレンチ訛りの英語を時にぎこちない様子で話すMCでの姿も微笑ましい。かと思えば、プリンス“Purple Rain”の冒頭を思わせる導入の3拍子バラード“My First Of All”などではギターソロを聞かせたり、また時には足踏み式のボーカルエフェクターで、スクリュードのような低音をコーラス的に鳴らして歌に変化を付けたりとしながら、とにかく「楽しそう」という顔で演奏するジュリアン&ニコラとグルーヴを刻んでいく。

そしてファーストステージの最後に「サプライズ」と彼女が宣言して放たれたのは、“Feel Like Makin’ Love”のカバー。ジョージ・ベンソン版あたりを思わせるアップテンポなジャズ・ファンク・アレンジはハイリーン自身のアイディアだそうだが、彼女のカッティング・ギターとクラップから始まったグルーヴ、それに重なっていくジュリアン&ニコラの手に汗握るパフォーマンスで、会場の熱気は一気に最高潮に。これをファーストステージだけでなくこの夜のハイライトと挙げる人は少なくないだろう。それくらい素晴らしく、フレッシュな解釈のカバーだった。

Hyleen

笑顔の絶えないジュリアン&ニコラと反して、抑制的でクールな印象のハイリーンだが、彼女が影響源にプリンスやディアンジェロの名も挙げる「ファンクの人」であるのは、セカンドステージでも大いに感じられた。クールダウンを促すかのように彼女の弾き語りだけで歌われた“Fly High”などもあったが、そのファンキーなカッティングが響く“Breeze”ではニコラのドラムソロ・パートもフィーチャーされ、会場を盛り上げていく。セカンドステージの最後では、「踊らない?」と言って、「今夜はドント・ストップ」的な80sブギー感もある“I’m On The Ride”で締め括る。

Nicolas Viccaro

“My First Of All”でのギターソロや“Feel Like Makin’ Love”のカバーを観たあたりから、「プリンスが気に入りそうな子だな」という印象をなんとなく抱いていたが、アンコールの拍手を受けて、彼女が「じゃあ、また別のサプライズを」と言って始めたのは、なんと“I Feel For You”。チャカ・カーン版というよりは、歌い上げない彼女のボーカルや、アレンジからしてもおそらくベースはプリンス本家を意識したものだろう。ここでもニコラの怒涛のドラムソロがフィーチャーされ、会場の温度をふたたび上げて、2時間近いステージは幕を閉じた。殿下が生きていたら……と感傷混じりの想像も掻き立てられもしたが、これからの彼女のキャリアが楽しみになった来日公演だった。

Hyleen (vocal, guitar)
Nicolas Viccaro (drums)
Julien Boursin (keys)

Enjoying Japan #japan #hyleen #BSide #music #tour #tokyo

H Y L E E Nさん(@hyleen)がシェアした投稿 –

1. Looking At
2. Majestic Land (*unreleased song)
3. Inside (*unreleased song)
4. My First Of All
5. I Just Wonder
6. Feel Like Makin’ Love
-
7. Dark Knight
8. Black Box
9. Breeze
10. Fly High
11. To You
12. I’m On The Ride
- [encore]
13. I Feel For You

〈ハイリーン日本ツアー〉
池袋公演
日程:2017年12月6日(水)[1st] OPEN 19:00 / START 19:30 – 20:30 [2nd] 21:00 – 22:00
会場:Absolute Blue (東京都豊島区西池袋1-5 / 03-5904-8576)
ミュージックチャージ:¥3,500 / 1drink order
HYLEEN Live at Absolute Blue

大阪公演 Soul Flex presents “HYLEEN Live in Osaka with NU minor”
日程:2017年12月9日(土)18:00 – 0:00
会場:THE GOOD THING (大阪市大阪市中央区南船場4-14-1 / 06-4704-8708)
ミュージックチャージ:[adv] ¥2,500 [door] ¥3,000 / 1drink order