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いま、ジェイムズ・ブラウンを読むということ Part 1 / ネルソン・ジョージ interview

ジェイムズ・ブラウンは、ブラック・ミュージック・ヒストリーにおける最大の偉人の一人である。リズム&ブルースからソウルへ移行する時代の原動力となり、その後はファンクというジャンルまで築き上げた男なのだから。そんなレジェンド、JBの半世紀にわたる軌跡を、「それぞれの時代でどう語られ、どう評価されてきたか」をポイントに集大成したのが書籍『JB論 ジェイムズ・ブラウン闘論集 1959-2007』だ。そのJBの命日にあたる12月25日からスタートするこのインタビュー・シリーズ「いま、ジェイムズ・ブラウンを読むということ」は、同書の編者である二人のプロフェッショナルに、彼ら自身のJB論やJB観を問う、という試みだ。パート1にあたる今回は、『リズム&ブルースの死』等の著者で知られる名ジャーナリスト、ネルソン・ジョージに話を聞いた。

取材・文/押野素子 Interview by Motoko Oshino Matthews

JBはソウルのパフォーマーで、それからクロスオーヴァーし、60年代後半には全国的に名声を博した。彼はファンクの父となり、その後はディスコもやった。この本には、これら全ての音楽的変遷が含まれている

——この本『JB論 ジェイムズ・ブラウン闘論集 1959-2007』は、誰のアイディアから生まれたのですか? この本を作ろうと思ったキッカケは?

「私のアイディアだったと思う。ジェイムズ・ブラウン(James Brown)が亡くなった時、彼に関する伝記がいろいろと出版されていた。それを見て私は、『60年代、70年代、80年代、そして21世紀に至るまでのジェイムズ・ブラウンの記事を選び、本を作ったら面白いかもしれない』と思ったんだ。彼は長いキャリアの中で壮大な旅をしてきた歴史的な人物だからね。それに、伝記というのは著者ひとりだけの視点から書かれるものだが、様々な記事を載せれば、30、40といった視点が集まるだろう?

アラン・リーズ(Alan Leeds)とは昔からの友人で、彼は凄いジェイムズ・ブラウン・コレクションを持っているんだ。彼は70年代、ジェイムズ・ブラウンと仕事をしていたし、彼のレコードや記念品を集めていた。だから、彼ならたくさんのお宝を持っていると思ったんだ。実際に、彼はこの本に掲載されている記事の殆どを持っていた。そして私は、他の経路でさまざまな記事を見つけた。しかし、大半がアランの持っていた記事だったなあ。

だから私の主な仕事は、記事を編集することだった。記事の中には非常に長いものもあったし、様々な記事の中で同じことがあまり繰り返されないように編集しつつ、彼がどのように評価されていたかの視点を残すよう努めたよ。

50年代後半から60年代前半にかけて、彼はソウル・ミュージックのパフォーマーで、それからクロスオーヴァーし、60年代後半には全国的に名声を博した。彼はファンクの父となり、その後はディスコもやった。この本には、これら全ての音楽的変遷が含まれている。そして、彼に対する評価がいかに変化していったかも分かるようになっているんだ。

アランは、ジェイムズ・ブラウンの年代記をまとめ、素晴らしい仕事をしてくれたよ。それでも、これは私とアランの共同作業だった。私は出版社に話を持って行き、出版社で当時編集をやっていた女性が、私たちのアイディアを気に入り、熱心にサポートしてくれたんだ」

Nelson George

——全ての記事について、使用許諾を取ったんですよね? 大変な作業では?

「ああ、非常に手のかかる仕事だったよ。記事を見つけることよりも、著者を見つけることの方が大変だった。特に昔の人たちは、既に亡くなっている人もいたし。有名なライターや小説家が書いた記事もあるし、ライター陣も幅広いよ。何人かは私の友人だ。

Rolling Stone誌に掲載されていた記事については、雑誌側から使用許諾を得なければならなかった。この作業は面倒だったね。しかし、様々なタイプの記事を選んだことで、多様な意見が掲載され、この本がエキサイティングなものになったと思う。彼(ジェイムズ・ブラウン)は、政治的な影響力を持つ人物と考えられていることもあったし、素晴らしいアーティストだと評されていることもあったけれど、もう終わった人だと考えられている時期もあった。

偉大な人物というのは、時代によって変化していくものだ。ブラウンもR&Bアーティストから、ゴッドファーザー・オブ・ソウルになり、ブラック・コミュニティに影響を与える政治的な人物だと考えられていたが、70年代半ばにはピークを過ぎた過去の人だと思われていた。しかし、ヒップホップ・キッズが彼の音楽をサンプリングすることにより、復活を果たしたんだ」

——本の中で、特に気に入っている記事はどれですか?

「Crawdaddy誌の記事かな。タイトルは何だったっけ……それから、アフリカを旅した記事も好きだ。ナイジェリアの新聞に掲載されていた記事は素晴らしかったね。アメリカ以外の国の考えが読める機会ってあまりないだろう? それから、キャリア初期の記事も好きだな。ジェイムズが、スターとして成功しつつある人物として描かれていたのがいいんだ。あとは、アランが書いたジェイムズ・ブラウンの葬式の記事。そして、Rolling Stone誌のジョナサン・リーサムの記事も良かった。アフリカに関する記事、初期の記事、晩年の記事が特に気に入っている」

——彼についてボロカス書いている記事もありましたね。

「ああ、そういった記事も紹介したかったんだ。人々が彼を尊敬していなかった時期もあるからね。一般大衆から彼がどのように見られていたのか、全てをリアルに示したかった。どんな人物であれ、賞賛しかされていない、なんてことは絶対にないのだから」 (→ P2に続く)