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川畑 要 interview / R&Bへの愛情、ヴォーカリスト哲学、タイトル『0(ゼロ)』に込めた決意

松尾潔のプロデュースでデビューしてはや10年以上、CHEMISTRYの川畑要が、遂に初のソロ・アルバム『0(ゼロ)』を完成させた。そんな川畑が、自分の思いを直球でぶつけた60分。語られるのは、R&Bへの愛情、ヴォーカリスト哲学、EDM論、そしてアルバム・タイトルに秘められた自負。

取材・文/丸屋九兵衛

R&BシンガーたちがEDMの音にヴォーカルを乗っけてきて、そういったものを聴いてたら“あ、これってアリかも知れない”と思いました。それに、ああいったEDMビートの上でR&Bを歌ってるライブ風景が頭に浮かんだんですよ

「CHEMISTRYは毎回、お互いのキャラとか声とか、バランスを考えながらやってきたところがあると思うんですよ」
そう切り出した川畑要にとって、ソロ活動とは一つの必然だったのだろう。
「どこかで“これはあいつのほうが得意だから”と、お互い我慢してる部分があったと思います。その点、ソロは丸裸の自分一人。自分の思いを直球でぶつける場所なので、そこがまず違いますね」

そして完成したソロ・デビュー作。目立つのは、ファルセットを交えて自在に展開されるヴォーカルだ。
「レンジは、もともと堂珍のほうが高くて、そのまま彼のほうが高いというイメージが定着してる。でも今は、そんなにレンジが変わらないですけど。僕の場合は、“下のほうで響く、鼻にかかったような声がいい”と松尾潔さんが言ってくれましたね。
 ファルセットを使うようになったのはいつからだろう。CHEMISTRYの曲もファルセットで歌わないといけないところがけっこう多くて、気がついたら、サラッとやれるようになりましたね。
 ファルセットって、いろんな表情を出すじゃないですか。あれがいいんですよ、あれがソウルなんですよね。でも日本だと“カラオケで歌えない”とファルセットが入ってる曲を敬遠する考えがあるみたいです。そうじゃないんだよっていうことを知って欲しい。そのファルセットを歌えるようになるくらいの気合いがほしいです」


「Let’s Say I Do」

「とにかくR&B特有の歌ぢから、あれは日本にはないですよ。テクニカルな部分と、テクニカルなだけではなくて、ちゃんと乗ってくる情感。あの情感がちゃんとテクニックとともに伝わってくるって凄いなと思います。ヴォーカルでR&Bを超えるジャンルはない、と僕は思ってます」
そう力説する川畑だけあって、アルバム制作中もさまざまなR&Bに刺激を受けていたようだ。
「やっぱりクリス・ブラウン。彼のパワーはハンパないですねえ。何を聴いても“フィーチャリング・クリス・ブラウン”。いろいろなところに顔を出して、自分の見せ方をしっかりわかってて。そのスピード感にやられました。“頑張らないと、届くわけない”と痛感しました。
 あとはR・ケリー。『Love Letter』はよく聴いてますね。R&BがEDM化している時期に、あえて古いスタイルの曲ばかり収めたアルバムを出してくるのもR・ケリーの良さかな、と。何にでも入り込んで、何でもやりこなしてるように思えるんですよ。
 最近だとジャスティン・ティンバーレイクもいいなと思いましたし、ブルーノ・マーズも好きです。
チャーリー・ウィルソンも聴き込んでます。自分が年齢を重ねた時に、これくらいの余裕感と、音楽を楽しむ感じで歌いたいな、と思いましたね」

川畑にとって、本作中の自作曲「Android」は「EDM寄りの時のニーヨ」のイメージなのだという。そう、アルバムの中心をなすのは「EDMの洗礼を受けて以降のアメリカのR&B」に通じるサウンドだ。とはいえ、おおかたの熱心なR&Bリスナーが少なくとも一度はそうだったように、川畑も当初はEDMに抵抗を覚えたクチだ。
「正直に言えば、最初は入りづらかったです。ピコピコ感がキツくて、うるさいなあと思ってて。だけど、R&Bシンガーたちが、あの音にヴォーカルを乗っけてきて、そういったものを聴いてたら“あ、これってアリかも知れない”と思いました。特にアッシャーのアルバム『Raymond v. Raymond』ですかね。それに、ああいったEDMビートの上でR&Bを歌ってるライブ風景が頭に浮かんだんですよ。“これってストレートに盛り上がるな”と思いました。
 曲の構造って、自由なようでいて決まりがいくつかあって、日本だったら“Aメロ、Bメロ、サビ”というパターン。でもEDMなら、それをなくせるんですよね。なので“0”という曲では、AメロBメロがあるのは一番だけ、後はサビだけで押し切るんですよ。そういう意味では新しいと思いました」(→ P2へ)


「スターシップ」