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鎮座DOPENESS & DOPING BAND interview 彼らが「ドープ」を再定義する!

時にメロディアス、時にアクロバティック。変幻自在のフロウで日本のヒップホップ界をかき回し、異彩を放ち続けるラッパー、鎮座DOPENESS。そんな彼の新作『だいぶ気持ちいいね』は、「鎮座DOPENESS & DOPING BAND」名義だ。当代随一の異能ラッパーが、バンドでの表現に挑んだ理由は? bmr.jpのfeatureには初登場の鎮座DOPENESSと、DOPING BANDのマスター、IZPON(パーカッション/ Kingdom☆Afrocks)が、リスナーとしての遍歴から謎のキューバ生活まで、じっくり語ってくれた。

取材・文/丸屋九兵衛(bmr)

フリースタイルの目的は刺激ですかね。勝つ時もあれば、負ける時もある。
そういうのも含めて、楽しむというところに持って行きたい

--ずっと気になっていたんですが、鎮座DOPENESS……なんでこんな不思議な名前なんですか?

鎮座DOPENESS(以下、鎮座)「グループを始めた当初、名前も決めずに活動してたんです。そこで、KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE’Sと鎮座DOPENESSとを書いて、“どっちの名前にするー?”とチームメイトに見せたんですよ。そしたら、“鎮座DOPENESSはないわ。KOCHITOLA~のほうがまだ良い”と。それがグループ名に採用されて、残ったほうを自分の名前に」

--そんな経緯があったんですか。

鎮座「KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE’Sという名前は、その時期にウルトラマグネティック・MCズがむちゃむちゃ好きだったから。一方、いま考えると”なんで鎮座だったんだろう”という感じはあるんですけどね。DOPENESSのネスは、ラウドネスがいるからいいか!と。メタルとは縁遠いんですけど」

--ラップを研究するため、リリックの「書き取り」をしていたと聞きました。誰のどんな曲を?

鎮座「NIPPSのヴァース、“大怪我”の最後の部分ですね。あと、クリス・クロス」

--へっ?

鎮座「クリス・クロスの“Tonite’s tha Night”っていう曲をカタカナで書き取ってみたんですよ。(KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE’Sの)SABOはキングギドラの歌詞を書き取ってました。そうやって構造を研究……と言っても、ただ書いて読んだだけという気もします」

--フランク・シナトラも、歌詞を覚える時は書き取りしてたらしいですよ。

鎮座「それヤバいですね。使えますね。今後は、“フランク・シナトラもそうだったらしいよ”って言います」

--歌を混ぜるようなスタイルはどうやって生まれたんですか?

鎮座「フリースタイルやってる時に、“俺、どうやらラップだけだとノリきれないみたい”と思って。もともとジャミロクワイとかサニーデイサービスとか、自分が気持ちいいってことだけを追って音楽を聴いてるから、自分が作る時も、それだけを追ってみようって。自然にこんな感じになったんです」

--特に影響を受けたラッパーは?

鎮座「メソッド・マンのフロウが変わってんな、いいな~とは思ってました。同時にウォーレン・Gも好きで、もちろんネイト・ドッグも。そういう感じを、自分の曲でも歌っぽく気持ちよく出せればなあ、と思ったんですよ」

--ソロ・デビュー作『100%RAP』を出した後の2009年に、ULTIMATE MC BATTLEで優勝してるんですね。フリースタイル・バトルに対してはどんな思いが?

鎮座「なんで出るのかってことですか? 目的は刺激ですかね。絶対に勝ち負けがあって、勝つ時もあれば、負ける時もある。そういうのも含めて、楽しむというところに持って行きたい。前は負けたくねえとか緊張するとかだったけど、今はただ、さらしまくりたい。どんな状況でもいいから。だから今年も出たいなあと」
最近は、上手くて外さないバンドマンが多いけど、
ときどき外すけど絶対的なオリジナリティ、それとストリート感がある人じゃないと

--で、今作『だいぶ気持ちいいね』はバンド名義です。なぜバンド?

鎮座「バンドでもやったら?という意見があって。IZPONがバンマスなら広がりあるし、自由そう……と」

IZPON「僕は鎮座DOPENESSのファンだったから、バンドの件は依頼されて、もちろん一も二もなく」

--そもそも、ふたりのなれそめは?

鎮座「HIFANAの楽曲に参加させてもらってから、一緒にライヴもやることになって。IZPONはHIFANAのKEIZOmachine!の兄ちゃんだから、ライヴにもパーカッションで参加してて。僕も参加してたから“あ、お兄ちゃんですか”みたいな感じで」

--DOPING GANDの構成を教えて下さい。

IZPON「編成はドラム、ベース、ギター、パーカッション、コーラス、DJ。そこに鎮くんを入れて7人です」

--キーボードはいない?

IZPON「ライヴの時は、僕がパーカッションをやりながらキーボードを。経費削減のため(笑)」

鎮座「バンドの全員がキャラも育ちもバラバラなので面白いですね。どうやったら集まるんだろう、こんなメンバーが、と言いたくなる感じ」

IZPON「鎮くんのバンドに、普通のソツない人たちを集めても面白くないだろうと」

--ということはメンバーは、ソツのある皆さん?

IZPON「みんな、一般社会と距離があるタイプ(笑)。最近は、上手くて外さない人が多いけど、そうじゃなくて、ときどき外すけど絶対的なオリジナリティ、それとストリート感がある人じゃないと。そこを重視したら、こうなっちゃった」

鎮座「共通するのはセッション感ですかねえ。みんな自分の気持ちよさしか音楽に求めてない、僕も含めて」

IZPON「全員が自分の持っている感性だけで行動した。今回のアルバムはそういう感じ。これから先は、もう少し”狙う”こともやってみたいなとは思ってるけど」

--ウォー(War)の曲って、セッションを繰り返して曲として形になっていくか、あるいはエンジニアが苦労してテープをつなぐマイルス方式か、だったみたいですよ。

IZPON「今回はまさにそんな感じですよ」
ヒップホップから入ったけど、ジャンルを考えないで自分の好きなものだけ聴いたら?
と思ってやり始めたら、止まんなくなっちゃって

--ところで、IZPONさんのヒップホップ体験は?

IZPON「最初に聴くようになったのはパブリック・エナミー(Public Enemy)かな。でも、そこからシャインヘッドとかスーパーキャットとかイエローマンとか、レゲエを聴くようになったんですよ」

--では、この10年くらいヒップホップはあまり聴いていない?

IZPON「日本にいるあいだはほとんど聴いてなくて。でも2001年から2006年まで、キューバにいたんですよ。マイアミが近いこともあってアメリカのヒップホップはやたら流れてるから、そういうものには触れてましたね」
(以下、キューバでの生活が詳細に語られるが、残念ながら割愛)

--そんなキューバ生活で得たラテン風味のせいか、ワシがこのアルバムを聴いて連想したのはクレイジーケンバンドでした。

IZPON「実はCKBのパーカッションの人が、僕の最初の師匠なんですよ」

鎮座「CKB、めちゃめちゃ好きなんで、なんて素敵な比喩なんだろうと思いました。光栄です。”肉体関係”の頃、特に好きでしたね。とにかく僕は、ヒップホップから入ったけど、ジャンルを考えないで自分の好きなものだけ聴いたらどうなるんだろう?と思ってやり始めたら、止まんなくなっちゃって。それが自分の表現にも返ってきちゃった」

--この鎮座DOPENESS & DOPING BANDは期間限定プロジェクトですか?

鎮座「決めてないですね。ただ、いい衣装あるし、それが古着になるまで活動できるかなとは思ってますね」

IZPON「プロポーズの言葉みたいだよね(笑)」

--DOPINGバンドなしの鎮座DOPENESSとしても活動を続けるんですよね?

鎮座「もちろん。バンドはバンドで、ソロの活動とはまた違う反応があるし。それぞれ違う反応をもらえながら続けていければいいですね」