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NPG interview / ニュー・パワー・ジェネレーションの面々が語る

2017年3月31日から4月2日までビルボードライブで開催された〈ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション tribute to プリンス〉公演。2016年4月に突然この世を去ったプリンスの音楽を支えてきたニュー・パワー・ジェネレーションの面々が日本で特別なトリビュート公演を行った。bmrでは、ミュージカル・ディレクターを務めたアンドリュー・グーシェイ、そして90年代からプリンスとの交流のあるベテラン、マーヴァ・キングを中心に、短いながらNPGに入った経緯、そしてプリンスとの思い出を聞いていた。

取材・文/末﨑裕之 hiroyukisuezaki 通訳/Kana Muramatsu Photo by Masanori Naruse

スティーヴィー・ワンダーの誕生日パーティで、誰かが私を後ろから押してきて、『なんてヤツ』と思ったら、それがプリンスだった ―― マーヴァ・キング

(⇒ P1より)
マーヴァ「私の場合は元々スティーヴィー・ワンダーと一緒にやっていて(※ワンダーラヴの一員だった)。(1995年発売の)『Natural Wonder』の日本公演にもいたんだよ。それでスティーヴィーの誕生日パーティがあって、そこにプリンスがいて。パーティが始まる前に、誰かが私を後ろから押してきて、『なんてヤツ』と思ったんだけど、実はそれがプリンスだったの(笑)。それがプリンスだってのは後で分かったことだけどね。気に入った子にそうやって自分に関心を向けさせる人なの。

その時プリンスは、私がスティーヴィーのシンガーだとは思いもよらなかったみたいだけど、パフォーマンス中にスティーヴィーが私に前で歌うように言って。6人のシンガーの中から私にね。するとプリンスが、(パフォーマンスを観て)『俺のシンガーだ』って思ったって。だから私がステージから降りようとしたら、セキュリティから『The Artist wants to talk to you』(アーティストがあなたと話をしたいと言ってます)って声をかけられたんだけど、私は周りを見回して、『どの人?』って訊き返したら、『The Artist』(アーティストです)って。意味が分からず私は、『Who is the artist?』(“アーティストって誰よ?)(笑)って訊いたんだけど、『The Artist』(あのアーティスト)としか答えないもんだから、『もういいわ』ってなったんだけど。そしたら待ち構えられていて、呼ばれて向かってみたら、『私を押したヤツなの?』(笑) 

そんなこんなでいろんな情報を訊ねられて、2日後にはペイズリーパークに行ってレコーディングしていたわ。9曲レコーディングするように指示されて。マイケル・ブランドと一緒にやったりね。でも当時、私は他に4人のアーティストのところでバックコーラスとして仕事していたから、ニューヨークに行ったり、LAに戻ったりと他の仕事で忙しくてずっとペイズリーパークにいることもできなくて、6曲しか録音できていなくて。それでも1週間後にプリンスは、ニュー・パワー・ジェネレーションのライブがニューヨークであるから来ないかと誘ってくれて、ジョーンズビーチの会場に行ったら、とにかくこんなにオーディエンスが騒いでるのは見たことがないってくらいうるさくて、それがプリンスとディアンジェロがアフターパーティで一緒にやった時だった。それでプリンスから、ジェネレーションのメンバーになってくれって正式に言われて、もちろん、って返事したの。当時、私がバンドで唯一のシンガーだったけど、プリンスはただ歌うだけのシンガーは求めないから、私もダンスをやったりパーカッションをやったりしていたわ

アンドリュー「私がプリンスと会ったのは2006年だった。〈BET Awards〉で、私がシャカ・カーンのミュージカル・ディレクターをやっていた時だね。彼女が生涯功労賞(Lifetime Achievement)を授賞した年だ。それが初めてプリンスに会った時で、私を彼が正式に雇ったのが2011年。シャカが、プリンスの(〈Welcome 2 America〉のツアーの)ノースキャロライナ公演の前座を務めた時に彼がショウを観て、感銘を受けたみたいで私をバックステージで探してくれたんだ。それで、アレンジが素晴らしいとかすごく褒めてくれて。

最後に彼の前座を務めたのが、2011年10月(※8月の間違いと思われる)(デンマークの)コペンハーゲンでプリンスが自分のフェスティバルを主催したんだ。〈NPG Music Festival〉。そこでシャカ・カーンのステージの時に彼がやってきて、一緒に“The Sweet Thing”をやったんだ。12月にシャカとの契約が終わったんだけど、その1週間後にカサンドラ(・オニール)から、プリンスがあなたの電話番号を知りたがっている、と連絡が来たから、教えていいよと返事をしたら翌日に電話が来て。ニューイヤーのショウに参加してくれないかと誘われて、是非、と承諾した。すると、『じゃあミネソタまで来てほしいんだけど、詳しいことはアシスタントに連絡させるよ』と言われて、すぐにアシスタントから電話が来たと思ったら、明日にもミネアポリスに来てくれと言われて。それで翌日にはミネソタ州にいたよ。

ホテルに到着したと思ったら、今夜11時からショウがあるからその前に迎えに来ると伝えられて、ペイズリーパークに到着したら、今度はマイケル・ブランドとふたりでスタジオでずっと待たされて(笑)。彼とは初体面だったから話をしてたんだけど、仕方ないからふたりでセッションを始めたんだ。多分、それをどこかでプリンスが聴いていたんだろうね。マーヴァのストーリーみたいなもので(笑)、プリンスはいつもそんな感じだから。しばらくしたら女の子がやってきて、あと5分でプリンスが来ますと言われて、それでようやくプリンスを顔を合わせたよ

時間が迫る中、最後にマーヴァ・キングがとってもおきのプリンスとのエピソードをたっぷりと語ってくれた。

マーヴァ「そうね……あの日は、フフフ、とても面白かったな。私たちがツアーをしていた時、プリンスが映画を観るとなると、映画館を貸し切って、みんなで行かなきゃいけないの。私はクタクタだったし、週にたった1日のオフの日だというのに、もちろん行かなければいけないわけで。私は映画館で(あまりに疲れていて)座った途端に寝てしまって。起きたらもう映画は終わって、出る時間だった。それでツアー・バスに戻ってまた私は寝始めたんだけど。バスは、プリンス専用のバスと、バンド・メンバーのバスと2台分かれてるのね。私たちのバスが先に出たんだけど、セキュリティが映画館を最後にチェックしていたら、私が財布を忘れてしまったことに気づいて。それで後でプリンスから、『君がそんな年齢だとは思わなかった』って言われちゃったの、もうサイアク(笑)。プリンスがセキュリティから私の財布を奪って、中をのぞいて、私のID(にある生年月日)を見たのよ。プリンスったら『君は24歳か25歳ぐらいだと思ってたのに』って言うのよ。『いいえ、全然。明らかに違うでしょ』って返したら、『ワーオ、僕と同じくらいなんだ』なんて言うから、私は『ええ、そうですね~』って(笑)。セキュリティが後でごめんねって言ってたわ(笑)。

そうそう、私がプリンスにやり返した話もあるの。1998年だったかな、ヒューストンでのニューイヤーズ・イヴ。私はパフォーマンスのために、友人がデザインしたとても素敵なロングドレスを着ていて、プリンスも『新年っぽくていいね』なんて褒めてくれてた。それでショウの最後には毎回、私にスポットライトが当たって、『私と踊りたい人いる?』ってオーディエンスに呼びかけるコーナーがあって。プリンスが、『マーヴァと踊りたい人は? 手を挙げて!』って呼びかけるんだけど、その夜に仕掛けたの。

ビリー・ボブ・ティースって分かる? 変な風に見える付け歯。周りから、止めろ、絶対やるな、って止められたけど、私は絶対やってやると思って、その歯を忍ばせて。プリンスが、『マーヴァと踊りたい人は?』って呼びかけたら、私はこうするの(オーディエンスに向かって歯を見せる)。そうするとみんな手を下げてしまうの。それでプリンスは見回しながら『2500人もいるのにマーヴァと踊りたい人はいないの? 誰も?』って焦っちゃって。やっとひとりの男が『じゃあ』って手を挙げてくれて、『よし、ステージに上がって。他にマーヴァと踊りたい人はいない?』って。プリンスが私を見るときは口を閉じて歯を隠すの。それで仕方なく、そのひとりだけがステージに上がって私と踊ったんだけど、プリンスがギターを弾いているときに私がプリンスに近づいて、バッ!て歯を見せたら、彼ったら……(と硬直した様子を演じる) (笑)。そのショウは撮影が入ってたから、私はすぐに後ろを向いてダンスを続けたけど、プリンスはよほどショックだったのか、何もできなくなっていたわ(笑)。

でも撮影が入ってるから200名とかすごい数のクルーがいて、バックステージに戻ったらみんな口ぐちに、『あーあ、やっちゃったよ』、『彼女はクビになるね』とか言ってた。でもね、プリンスは結局そのことについて一言も触れなかった(笑)。私とも、誰とも、一度もこのことを話さなかったの(笑)。それでみんなから、『君がやることはすべて許されてしまうんだね』、『あんなにショックを受けていたんだから、他の誰かならクビだったよ』って言われたわ(笑)」

来日メンバー:
Andrew Gouche (Bass, Vocals, MD)
Marva King (Vocals)
T.J. Wilkins (Vocals)
Gorden Campbell (Drums)
Cassandra O’Neal (Keyboards, Vocals)
Rick Marcel (Guitar, Vocals)
Marcus Anderson (Saxophone, Vocals)
Lynn Grissett (Trumpet)
Adrian Crutchfield (Saxophone, Vocals)
Joey Rayfield (Trombone)
Bernard “BK” Jackson (Baritone Saxophone, Vocals)