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TITO JACKSON interview / 「本当に長い時間がかかった。マイケルも亡くなってしまったし、いろんなことがあったよ」

ジャクソン5結成のきっかけを作った「最初の男」であり、ジャクソン・ファミリーの中で唯一ソロ・アルバムを発表していなかった「最後の男」……ティト・ジャクソンがついに長年待たれていたソロ作『Tito Time』を12月21日、世界に先駆けてここ日本で発表した。3人の息子たち=3Tや、ベティ・ライト、ジョセリン・ブラウン、ビッグ・ダディ・ケインらの助力も借りて、ついにソロ・アーティストとしてのティトがベールを脱ぐ。この発売を記念して、ソロ・プロジェクトに対するこれまでの想い、制作の経緯や参加メンバーについて、そして待たれるジャクソンズの新作に就いてなど、ティト・ジャクソンに直接、話を聞いた。

質問/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr) 取材協力/安江幸子 Photo by Taj Jackson

――あなたの“Get It Baby”がAdult R&B Songs Airplayチャートにランクインし、9人のきょうだい全員がそれぞれソロでビルボード・チャートにランクイン経験を持つという偉業を成し遂げました。今後破られることもないであろう大記録だと思いますが、改めてこの偉業についての感想をお聞かせ下さい。

「最高の気分だったよ。家族の中でも最後にリリースしたから、自分が同じことを成し遂げられるかどうか確信が持てなかったからね。家族もとても誇りに思ってくれたよ。この曲は今も全米で勢いがあって、スローダウンする気配がないんだ」

――初のソロ・アルバムということで表現したいもの、アイディアもたくさんあったのではと思いますが、どういう作品にしようというイメージは具体的にありましたか? レゲエ調の“Home Is Where The Heart Is”、カントリー調の“On My Way Home”など多彩なジャンルの音楽が聞こえてきますが、意図したものでしょうか。

「そうだな、まずこう言わせてくれ。このアルバムは、できるまで本当に長い時間がかかったんだ。メイキングの過程だけじゃなくて、構想自体がね。最初はブルース・アルバムを作ろうと思っていたんだ。それで4~5曲ブルースの曲を録音して、マスタリングまで済ませたものもあった。で、ブルースで全米、いや世界中をツアーしようと思っていたんだ。でもその時点で自分のキャリアを振り返ったり、その時の自分の立ち位置を考えてみたりしたら、私のファン層は基本的にブルースじゃないんだよね。どんな層かは君も分かっていると思うけど。それで最初のアルバムとしては、みんなが聴きたいものを作ろうと考えた。だから様々な要素を入れることにしたんだ。

カントリー調の曲は、大昔、私の子供時代まで遡るんだ。母親が聴いていたしね。ジャクソン・ストリート2300番地に住んでいた頃だよ。だから昔からカントリー・ミュージックは好きだった。私はいろんな音楽を楽しんでいるんだ。カントリーからロック、レゲエ、R&Bまで。と言いつつ(アルバムは)何か一本筋が通ったものにしたかった。何かが極端になり過ぎることのない程度にいろんなジャンルの音楽を繋げてみたんだ」

――確かにこのアルバムは、一本筋と言いますか、流れもありますよね。(ボーナストラックを除いて)アルバムはアップ・ナンバーから始まり、中盤はスロウな曲、そして終盤はセクシーなR&Bで締め括るという構成になっていますが、これもそういう流れを意図した曲順なのでしょうか?

「(アルバム中の)曲の流れを考えるときのやり方は、ショウの曲順を決めるのと一緒なんだ。コンサートでも、アーティストがステージに上がるとまずはアップテンポな曲からやるだろう? 2~3曲やったところでちょっとスローダウンして落ち着いてからは感情の起伏を刺激する。基本的に今回も同じように構成したんだ。

私や兄弟がアルバムを一緒に作るときはいつもそれが念頭にあるんだ。速い曲だけ、遅い曲だけというのはちょっと退屈だからね。こういう流れがあれば、好きな曲だけ聴いて他の曲はスキップするなんてことはないと思う。耳だって少しは休みたいだろうし、ハードなものを聴いた後は優しくソフトなものを聴きたがるのが自然だろうね」

――アルバムが実際にできるまで長い時間がかかったとのことでしたが、制作は具体的にいつ頃から始めたのでしょうか?

「まぁ、それほど長くかかった訳ではないから、私は“プロセス”と呼んでいるんだけどね。スタートからフィニッシュまではほんの数年のことだから。その間に他のプロジェクトを立ち上げたり、あとはスタジオを友人たちとイチから作ったりもしたんだ。アルバムはそのスタジオで録音した。マイケルも亡くなってしまったし、いろんなことがあったよ。また音楽をやろうという気になってからは2年くらいでアルバムを作り終えたんだ」

――ソロ・アルバムを作ろうと最初に思ったのはいつ頃だったのでしょうか?

「ソロをやりたいとは、ジャクソン5時代からずっと思っていたよ。実際は何をやっていたかというと、高校時代の恋人と結婚して、子供を授かって……ジャクソン5としてのスケジュールもあったし忙しかったんだ。それで、私は待つことにした。息子たちの成長を見届けたり、きょうだいの手助けをしたりしてね。そうして歳を重ねるまで待った。そして今がその時なんだ」

――「ジャクソン5時代からずっと思っていた」と仰いましたが、まさに当時、Motownでソロを出そうという話が一度あったそうですね。

「そうだね。その話は私が結婚するよりもずっと前からあった。15~6歳の頃だったかな。ジャッキーとマーロン……あ、あの時はマーロンは違ったな……ジャッキーとジャーメイン、それからマイケルも出していたから、グループ全員がそれぞれソロを出すという話があったんだ。私も2曲くらい作りかけていたけれど、父がMotownから私たちを移籍させたから、完成させることができなかった。その数年後には結婚もしたしね。その話はしたか(笑)」

――このタイミングでのソロ作のリリースというのには、何か具体的なきっかけがあったのでしょうか。

「いろんなきっかけがあったんだ。久しぶりに人前で演奏したらファンたちから『今度はアルバムを出さなくちゃね』と言われたのもあったし、『彼だけまだ出していない』と言われていたのもあったし、色々あったけれど、家族全員が……自分の息子たちも何年も前にアルバムを出してからは、自分も少なくとも1枚は出したいと思っていたんだ。今はもっと出したいと思っているから、次の作品もすでに作り始めているんだ。これからも続けるよ」

――もう次の作品を作り始めているんですね。ようやく『Tito Time』が出る訳ですが、タイトルには、やはり「It’s my time」、いよいよ自分で輝くときがやってきた!というような想いが込められているのでしょうか。

「自分で輝くとかそういう風に思っている訳じゃないけれど、リタイアを考えないときがやってきた、という思いはあるね。エネルギーも有り余っているし、今にも羽ばたく準備ができているんだ」

――確かにアルバム全体的にエネルギーが溢れているといいますか、もし失礼でなければ「若々しい」印象を受けました。

「ありがとう」

――もう何十年も最前線で活躍し続けているというのにまだまだどんどんいけそうで、素晴らしいことだと思います。

「できるだけ年取ったとは思わないようにしているけどね(笑)。まだまだ先は長いよ」

――このアルバムに収録されている“We Made It”は2011年にすでにリリースされていて、当時は『So Far So Good』というアルバムをリリース予定だと話していましたが、あれはどうなったのでしょうか?

「そのときは何曲か作って、“We Made It”はその1つだった。“So Far So Good”という曲もあったんだ(※『Tito Time』にも収録されている)。その時リリースのスポンサーになってくれるはずだった人がいたけど、結局予算不足でプロモーションもアルバムとしての正式なリリースもできなくて、お蔵入りになってしまって、プロジェクトを引き上げたんだ。それで、しかるべき時が来るまで待つことにした。すでに出回っていた音源も引き上げてね。確か1年間くらいは出回っていたと思うけど、マーケティングやプロモーションは一切行われなかったんだ」

――『Tito Time』は、その『So Far So Good』に手を加えたということでしょうか?

「“We Made It”や“So Far So Good”は残っているけど、残りはもっと最近になってから書いた曲だよ」

――その“So Far So Good”は、息子さんたち……3Tと一緒にやっている曲ですが、マイケルも生前に聞いたそうですね。どういう感想をもらいましたか?

「とても気に入ってくれていたよ。いい曲だねと言ってくれた。あの曲は3Tが書いて、バックでも歌ってくれている。プロデュースは真ん中の息子のタリルが手がけてくれたんだ」

――息子さんたちは4曲(ボーナストラックを含めると5曲)をプロデュースしていますね。

「実は、ソロのリリースを一番後押ししてくれたのは息子たちなんだ。父親がアルバムを出す姿が見たいと言ってくれてね。彼らが原動力となってくれたおかげでまずは2~3曲録音することができた。そこから発展していったんだよ」

――息子さんたちにプロデュースしてもらうというのはどういう気分でしたか?

「最高だったよ。作業は子供たちに任せて、私はただ歌えば良かったからね(笑)。そういう風に教育したんだ(笑)」

――土台作りを担当してくれた訳ですね。

「そう。実際、あの子たちはとても優れたプロデューサーであり、シンガーであり、エンタテイナーでもある。将来的にはあの子たちも日本でビッグになると思うよ」(→ P2に続く)

1. Get It Baby (feat. Big Daddy Kane)
2. When The Magic Happens (duet with Jocelyn Brown)
3. Put It On Me
4. We Made It
5. One Way Street
6. So Far So Good (feat. 3T)
7. On My Way Home
8. Jammer Street (feat. 3T)
9. She Gotta Go
10. Not Afraid (feat. Roo)
11. Cruisin’ (feat. Betty Wright)

[Japanese bonus tracks]
12. T.I.T.O. Love
13. I Ain’t Goin’ Nowhere (feat. 3T)
14. Home Is Where The Heart Is
15. Get It Baby (NONA REEVES Remix)
16. We Made It (Remix feat. GOTA NISHIDERA)