bmr

bmr>FEATURE>ALICIA KEYS interview / 「“メイクアップをしない”というのはメタファー。サウンドにも反映されていると思う」

FEATURE

ALICIA KEYS interview / 「“メイクアップをしない”というのはメタファー。サウンドにも反映されていると思う」

アリシア・キーズが、4年ぶりとなる新作『HERE』をこの11月に発売。すでに本国では全米チャート初登場2位、R&B/ヒップホップ・チャート1位となるなど好評を博している中、11月30日に待望の国内盤がリリースされる。これを記念して敢行されたオフィシャル・インタビューを紹介すると共に、アリシアが『HERE』に込めた想いを感じてみよう。

通訳・インタビュー/渡辺深雪 文/末崎裕之 (bmr)

プロダクション面では大半がイルミナリーズ制作だが、アルバムには他にも“In Common”を手がけたイランジェロと制作した“Holy War”、そして『アメイジング・スパイダーマン2』のコラボレーション“It’s On Again”でも組んだファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)のプロデュースによる“Work On It”も収録されている。ちなみに今回のインタビューの中で、イランジェロとの制作エピソードの部分のみ、bmrの独自質問となる。

アルバムでもお気に入りのうちのひとつに“Work On It”という曲があるんだけど、ファレルと私で一緒に作ったのよ。それから他のお気に入りの曲……まあアルバム全体が私のお気に入りではあるんだけど、“Holy War”っていう他の素晴らしい曲は、才能ある詩人で作詞者のビリー・ウォルシュ(Billy Walsh)と(イランジェロと)の共作だし、イランジェロとは“In Common”も共作したわ。アルバムには色々なタイプの曲があるけれど、中でも“Holy War”はベストのうちに入るわね。

イランジェロとの作業はクールだったわよ、このアルバムの他の曲でやったのと同じように、共同作業をしながら、色々な雰囲気を混ぜ合わせて仕上げていったの。“Holy War”は移動中にまず私がピアノで作り始めた曲なんだけど、コードを私が弾いて、そこから一緒に作曲しながら全体像を作り上げたの。途中でギターの方がいいね、ということになってピアノから切り替えて、そこからイランジェロが違った雰囲気とかサウンドを盛り込んでいった、という風にね。だからこれも作業の中でどんどん進化していった曲。まあ、それはアルバムのどの曲についても言えることなんだけど。どの曲にも関わった人たちについての何かが少しずつ入っていて、それがどの曲もこれまでの私たちのサウンドには無かった雰囲気をもたらしてくれているんだと思うわ

アリシア自身、「ベストのうちに入る」と言う“Holy War”は、彼女なりの反戦歌。ジョン・レノンの“Imagine”や、先日ノーベル賞を授賞することが話題になったボブ・ディランの“Blowin’ In The Wind”と比較されることも多い。ボブ・ディランといえば、2006年作『Modern Times』収録の“Thunders On The Mountain”の歌詞に、「I was thinking about Alicia Keys…」というラインが登場する。

そんな素晴らしい褒め言葉をもらえるなんて感激だわ、どうもありがとう。“Holy War”が“Blowin’ In The Wind”みたいな名曲と比較されるだなんて。でも、そのどちらの曲にも、それから“Imagine”みたいな曲にもあるような認識とか問いかけのようなものが、ここで共通する下敷きになっているんじゃないかな、とは思っているの。素晴らしいソングライティング、一筋縄ではいかない問いかけ、でもそこには正直さやピュアさもあって。そういう曲から最近大きく影響を受けていたの。

それに、聴いた時に、『ああ、私にもあんな曲が書けたらなあ!』って思うような曲を実際に自分で書いてみたいと夢見てきたし、それがいつか実現したらいいな、とも思っていたのよ。だからボブ・ディランのようなアーティストたちにはいつもインスピレーションを貰ってきた。世界で起こっている出来事とアートを掛け合わせる才能にもね。だって、それがアーティストのすべきことでしょう? そういうスピリットやハートを持ち合わせていたいな、って思うの。

初めて“Thunders On The Mountain”を聴いた時は、『嘘でしょ、ボブ・ディランが自分の曲に私の名前を、何で?』ってビックリしたわ。今でもどうして彼がそうしたのか知らないけれど、でも最高だわ!(笑) 彼のソングブックの一つに自分が入るなんてね。ボブ・ディランのアメリカン・ソングブックにね。ワーオ。(ノーベル受賞は)素晴らしいことだと思うわ、最高のアーティストだし、伝説だし、人生も、偉大な作詞家であり詩人であり、そういうことの全てがアーティストを孤高の存在にするもので、彼を誰にとっても忘れられない人とするのよ。怖いもの知らずで正直で、実直で。それに何かを追いかけたりせず、ただ自分自身であり続けていて。彼は私にとっても大きなインスピレーションだわ、いつか私もノーベル平和賞が貰えるかしら!?

ソングライティング面でいうと、前作に続いてエミリー・サンデー(Emeli Sande)が“Kill Your Mama”を共作。そして、歌声がローリン・ヒルを思わせると話題のブルックリンの新鋭女性シンガー/ラッパー、ティッシュ・ハイマン(Tish Hyman)が“Blended Family”、“Where Do We Begin Now”のソングライティングに関わっている。

エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)がゲスト参加し、エディ・ブリッケル&ザ・ニュー・ボヘミアン(Eddie Brickell & The New Bohemian)の名曲“What I Am”を借用した“Blended Family (What You Do For Love)”は、スウィズの連れ子たち――すなわち元妻マションダ(Mashonda)とのあいだに生まれた子も含む――とも一緒に仲良く暮らしている自分たちのような「多種多様な家族」を歌っている。ビデオでは、かつて確執のあったマションダがカメオ出演するのも話題だ。

“Blended Family”のビデオは最高よ! 監督はハイプ・ウィリアムス(Hype Williams)で、彼との仕事は(ソロとしては)初めてだったんだけど、素晴らしくフォトグラフィックなマインドの持ち主なのよね。彼とは“Empire State Of Mind”で仕事したことはあったけれど、“Blended Family”では初めて彼と密なやりとりをして、物語を作っていったの。

この曲は現代の多種多様な家族のあり方についての曲で、それを目にしたりすることは素晴らしいし、祝福したいと思うわ。お母さんが2人いる家庭があってもいいし、お父さんが2人でお母さんが1人、っていうこともあると思うし。それに2つの宗教が家庭内で共存していたり、アジア人の母親に黒人の父親、という場合もあるかもしれないし、その全てがどれもオープンになっているの。私の家族もそうよ、夫には他のリレーションシップで出来た子どもたちがいるけれど、彼らは皆私の子どもでもあるし、それに彼と私との間にできた子どもたちもいるし。一つの共同体としてお互いを愛し合い、支え合っているのよ。

愛とは何か、家族とは何か、っていうことを示しているのがこのビデオで、とても感動的だし、パワフルなビデオになったわ。それにこういうトピックについてはまだあまり語られていないし、私の知り合いは大概がこういうブレンデッド・ファミリーから来ていたりするから、それを祝福できることは素晴らしいと思っているわ

最後に、アルバム・タイトルの『HERE』に込めた想いを明かしてもらおう。

私の言うhereとは、今その瞬間に私がいる場所のこと。“今”に焦点を合わせて、自分自身が誰かということについて明確な自覚があること。その瞬間に自分が感じていること、自分が経験していること、そして今その瞬間に誰かと共感し合っていることの全てを指すの

1. The Beginning (Interlude)
2. The Gospel
3. Pawn It All
4. Elaine Brown (Interlude)
5. Kill Your Mama
6. She Don’t Really Care / 1 Luv
7. Elevate (Interlude)
8. Illusion Of Bliss
9. Blended Family (What You Do For Love) [feat. A$AP Rocky]
10. Work On It
11. Cocoa Butter (Cross & Pic Interlude)
12. Girl Can’t Be Herself
13. You Glow (Interlude)
14. More Than We Know
15. Where Do We Begin Now
16. Holy War

[deluxe edition]
17. Hallelujah
18. In Common

[Japanese edition]
19. In Common (Black Coffee Remix)
20. In Common (Kaskade Remix)