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久保田利伸 interview / 「何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ」

デビュー30周年を迎えた久保田利伸がこの11月23日に発売するのが、これまでのコラボレーションを総括した『THE BADDEST〜Collaboration〜』。ただのfeaturingゲスト楽曲を集めたというだけでなく、デビュー前のミシェル・ンデゲオチェロがベースを弾いた“Let's Get A Groove ~Yo! Hips~”から友人ミュージック・ソウルチャイルドとの新録曲まで、久保田利伸だからこそ成し得たコラボレーションの数々をたっぷりと2枚組にして収めたベスト・アルバム。Disc 2は「英語詞編」ということで、90年代に全米デビューも果たし、日本人として唯一『Soul Train』に出演したことも語り草な彼が、ザ・ルーツ、ラファエル・サディーク、アリ・シャヒード、アンジー・ストーンらとがっつり組んできたことを振り返ることができる。そのあまりに大きなレガシーを大いに語ってもらったこのインタビュー、予定時間を大幅に超えたその内容を余すことなくお伝えする。必読です。

取材・文/林 剛

プリンスは天才だったし、死んじゃうにはあまりにも早すぎて突然で、マイケル・ジャクソンが亡くなった時と同じくらいの違和感がありました

『TIME TO SHARE』を全米リリースした後、久保田、いや、TOSHIは、あの名物TV音楽番組『ソウル・トレイン』に日本のソロ・シンガーとしては初めて出演。同アルバムからカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)“Tripping Out”のリフを引用したシングル“Breaking Through”などを披露している。同曲はシカゴ・ステッパーズの定番ソングとしても本国のブラック・コミュニティで愛されているようで(とあるステッパーズ・ソングのリストには、『Nothing But Your Love』収録のラファエル・サディーク制作曲“Shame”も入っている)、大ヒットにこそなっていないものの、然るべき場所で根強く支持されているあたりは日本のファンにとっても誇らしい事実と言えるのではないだろうか。そして、その“Breaking Through”を手掛けたアイヴァン&カーヴィンはミュージック・ソウルチャイルドに数々の名曲を提供したチーム。こうした関係もあって久保田とミュージック・ソウルチャイルドとの仲も深まっていったわけだ。

そして今回のベストでは、英語歌詞編に収録される新曲としてミュージック・ソウルチャイルドとのデュエットとなる“SUKIYAKI~Ue wo muite arukou”を披露。今年7月に他界した永六輔が日本語詞を書いた坂本九の“上を向いて歩こう”(作曲は中村八大)を米国での通称“SUKIYAKI”として歌ったもので、R&Bリスナーであれば、琴の音からしてテイスト・オブ・ハニー(Taste Of Honey)のヴァージョンを意識したものであることが即座にわかるだろう。

確かに永六輔さんが亡くなったこともレコード会社の人を説得するための理由のひとつになりました。何で“SUKIYAKI”なの?って言われるかもしれないですが、僕はアメリカでライヴする時とかに、アメリカで大ヒット曲があるわけじゃないし、しかも日本人だから、『じゃあ、ジャパニーズ・シングをします』ってことでこの曲を歌っていたんですよ。日本語詞ではなくてテイスト・オブ・ハニーの英語ヴァージョンで。それで、今回ミュージックとやることが決まって、スケジュールがギリギリになったこともあって、一緒にオリジナル曲を作って歌うよりはアイツが口ずさめるかもしれない曲にしたんです。デビュー30周年のタイミングでもあるんで、ちょっと特別な感じのある曲がいいかなと思って、これにしたんですよね

——ミュージックらしさに加えて薄くトラップの薫りがするベーシック・トラックは、パスター・トロイ(Paster Troy)の弟で、近年ミュージックの側近として最新作『Life On Earth』などで腕をふるうJ・トロイ(ジョナサン・トロイ Jonathan Troy)が手掛けているということで、アトランタでの録音なんですよね。

本当はフィリーに行ってやる予定だったんですが、ミュージックのほうがミュージカル(『Love Jones The Musical』)が始まった時期で、スケジュールが重なっちゃったんですよね。その頃、ミュージカルはちょうどフィラデルフィア公演があって、フィリーだったら1日時間が取れるっていうんで、行くと言ったんですが、ミュージカルの追加公演が出ちゃったみたいで、レコーディングは当日のミュージカルが終わってからになると。それは良くないなと思って、その2週間後にアトランタで時間があると言われたので行きました

——J・トロイは、もちろんミュージックの推薦ですよね?

そうですね。時間もなかったし、トラブルが少ないようにと考えて、自分のよく知ってるヤツか、ミュージック側の誰かを使いたいと。で、ミュージックからJ・トロイなら自由にできるっていうので紹介されて、データで(トラックを)3回くらいやりとりしました。坂本九のオリジナルとかメアリー・J・ブライジ(Mary J. Blige)が“Everything”でオマージュしてたやつではなく、テイスト・オブ・ハニーを聴いてからのアレンジということで、そのオマージュとしては琴の音がコンコンコンと大きく入っていていいんですけど、日本人としては(琴の音が)ちょっとクラシックすぎるだろうと思って、琴の音をやめてくれと言ったんです。で、琴の音を無しにしたものが返ってきたら、これがつまんなくって……ゴメン、やっぱり琴の音を戻そうって。それでミュージックとセッションする前の日にアトランタに入って、J・トロイともう一度オケを作り直して録音しました

——個人的な話になりますが、96年、NYに滞在していた時、WBLS-FMを聴いていたらテイスト・オブ・ハニーの“SUKIYAKI”がかかって、その後に久保田さんの全米デビュー・アルバムのCMが流れたんですよ。今でもハッキリ憶えているのですが、それを思い出すと今回のカヴァーは本当に感慨深いです。

いいですねぇ。96年はまさにそうですね。それは美しい話ですね。素晴らしい

——ところで、今年に限らずですが、久保田さんとも浅からぬ関係にあるソウル/R&Bアーティストの訃報が続いてますよね。とりわけプリンス(Prince)の死は、それこそ第一弾の『THE BADDEST』(89年)は[Paisley Park Studios]で過去のシングル曲などをリミックス(“TIMEシャワーに射たれて…”にはPerspectiveから登場する直前のサウンズ・オブ・ブラックネスが参加)したベストだったわけですし、久保田さんにとって大きかったのではないかと。

実はプリンスって、好きな曲がそんなに多いわけではないんですよ。ソウルが好きな僕にとっては、彼のやっていることは幅が広すぎるんですよね。ザ・タイム(The Time)っぽいほうが好みなんですが、好きな曲は“Do Me Baby”と“Sexy MF”、あともうひとつはプリンスが(ペイズリー・パーク名義で)テヴィン・キャンベル(Tevin Campbell)に提供した“Shhh”という曲。極上のスロウ・ジャムですよ。

天才だったし、死んじゃうにはあまりにも早すぎて突然で、それはマイケル・ジャクソンが亡くなった時と同じくらいの違和感がありましたし、事実を受け止めるのに時間がかかりますよね。作品はたくさん残してくれましたが、彼の場合はずぅーっとライヴが凄かったので、そういった意味ではもったいないというか、大事なものを失ったという感じです。何十年にひとりの天才じゃないですか。あと僕にとって大きかったのは、2013年に亡くなったジョージ・デューク(George Duke)。僕はジャズ・ピープルではないんだけど、あのファンキーおじさんも好きだったので残念だった。そういえば僕、(2015年末に亡くなった)ナタリー・コール(Natalie Cole)とライヴでデュエットしてたんですよ。26年前、オノ・ヨーコさんが仕切ってたジョン・レノン生誕50周年コンサートで。“ソウル歌い”は僕くらいだったので、ナタリー・コールとビートルズの曲(“Ticket To Ride”)を歌いましたね

——プリンス~ザ・タイムといえば、マーク・ロンソン(Mark Ronson)とブルーノ・マーズ(Bruno Mars)の“Uptown Funk”に代表されるミネポリス・ファンク・オマージュみたいなものが続きますが、どうですか?

可愛いです。無邪気にみんなが楽しんでる感じを見て、音楽っていいなと思いますね。ブルーノ・マーズは可愛いですよ

■ 初回生産限定盤 CD2枚組+特典DVD(MV10曲収録)+久保田利伸による全曲レコーディングエピソード・ブックレット付き ¥4,200(tax in)
■ 通常盤 CD2枚組 ¥3,600(tax in)

DISC 1
1. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
2. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
3. 無常 (feat. Mos Def)
4. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
5. Let’s Get A Groove ~Yo! Hips~ (Bass: Meshell Ndegeocello, Saxophon: Michael Brecker)
6. MIXED NUTS (P funk Chant: George Clinton, Bass & Guitar: William “Bootsy” Collins)
7. Soul 2 Soul feat. AI
8. POLE POLE TAXI (feat. Maceo Parker)
9. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI
10. Is it over ? (Hook Vocal: JUJU)
11. Keep it Rock (feat. WISE, Tarantula from Spontania)
12. a Love Story (KUBOSSA ver.) (Flugelhorn: TOKU)
13. Moondust (poetry reading by Kyoko Koizumi)
14. Keep Holding U (SunMin thanX Kubota)
15. Messengers’ Rhyme ~Rakushow, it’s your Show!~ (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
16. Love under the moon (Harmonica Solo: Toots Thielemans)

DISC 2
1. Never Turn Back (Feat. Pras)
2. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
3. LIVING FOR TODAY (Feat. Mos Def)
4. HOLD ME DOWN (Duet with Angie Stone)
5. Till She Comes (Produced by The Roots)
6. Nice & EZ (Produced by D’wayne Wiggins)
7. SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~ (feat. Musiq Soulchild)
8. Masquerade (Produced by The Roots)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. VOODOO WOMAN (Feat. Renee Neufville)
11. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) (Acoustic Piano: Daniel Jobim, Guitar: Goro Ito)
12. NEVA SATISFIED (Produced by Ali Shaheed Muhammad)
13. Pu Pu (Produced by Raphael Saadiq)
14. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)

特典DVD
1. Soul 2 Soul feat. AI
2. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI Recording Document Full ver.
3. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
4. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
5. Messengers’ Rhyme 〜Rakushow, it’s your Show!〜 (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
6. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
7. Masquerade (Produced by The Roots)
8. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)