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久保田利伸 interview / 「何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ」

デビュー30周年を迎えた久保田利伸がこの11月23日に発売するのが、これまでのコラボレーションを総括した『THE BADDEST〜Collaboration〜』。ただのfeaturingゲスト楽曲を集めたというだけでなく、デビュー前のミシェル・ンデゲオチェロがベースを弾いた“Let's Get A Groove ~Yo! Hips~”から友人ミュージック・ソウルチャイルドとの新録曲まで、久保田利伸だからこそ成し得たコラボレーションの数々をたっぷりと2枚組にして収めたベスト・アルバム。Disc 2は「英語詞編」ということで、90年代に全米デビューも果たし、日本人として唯一『Soul Train』に出演したことも語り草な彼が、ザ・ルーツ、ラファエル・サディーク、アリ・シャヒード、アンジー・ストーンらとがっつり組んできたことを振り返ることができる。そのあまりに大きなレガシーを大いに語ってもらったこのインタビュー、予定時間を大幅に超えたその内容を余すことなくお伝えする。必読です。

取材・文/林 剛

歌がド真ん中にあって、それ以外はオマケなんです。何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ

——時代を戻しますが、デュエットとしての海外勢とのコラボはアリソン・ウィリアムス(Alyson Williams)との“FOREVER YOURS”(91年)が初めてになるんですよね? アリソンがDef Jam傘下のR&Bレーベル=OBR(Original Black Recordings)から92年に出したセカンド・フル・アルバムの日本盤にもボーナス・トラックとして収録されて、NHK『紅白歌合戦』で歌われたことも憶えています。

同じ時期のレコーディングでジョージ・クリントンともやってましたけど、海外アーティストとの“歌いコラボ”ということではこれが初めてですね。これは単純にアリソンの“Just Call My Name”(89年)が大好きで、スタッフが『せっかくNYでレコーディングしてるんだから1曲くらいデュエットしようよ』って言うから、なら“Just Call My Name”を歌っていた人がいいです、と。僕は日本のソニー所属だから、その時Def Jamがソニー(Columbia)の配給だったこともあって話がすぐまとまって、やろうと。曲はもう作ってあって、これをやりたいと。

でも歌詞がなくて、僕がブロークン・イングリッシュ的な感じで書いていただけだった。そしたら、アリソンが『ジュースを呼ぶわ』って言って紹介されたのが(Def Jam/OBRから作品を出していた)オラン“ジュース”ジョーンズ(Oran “Juice” Jones)。“いいヤツ度”で言ったらミュージック・ソウルチャイルドと並ぶほどで、見た目も普通の感じで気軽に話せて、会った翌々日くらいには『お前のブロークン・イングリッシュをもとに作ったから』って持ってきましたよ。あのヘタウマなヴォーカルで歌った曲と一緒に

——この曲ではトークボックスも使われていて、当時キース・スウェット(Keith Sweat)が歌っていたスロウ・ジャムにも通じると言いますか。

そうだ、ホントだ。オールドスクールが大好きな、でも次のジェネレーションが好む感じだね。キース・スウェットっぽさはトークボックスのせいもあるし、打ち込みを使ったスロウ・ジャムっていう点もあるかな。僕大好きですから、キース・スウェット

——ライヴでは以前“In The Rain”をドラマティックス(The Dramatics)のオリジナル・ヴァージョンではなくキース・スウェット版を意識して歌われていましたよね。

大当たりです。あえてキース・スウェット版を意識しました。デビューして2年目くらいのステージでやっただけですけどね。実は今度、そういうのやりたいんです。今まで自分がステージで歌ってきたソウル名曲のカヴァーだけを集めたアルバムを。歌詞を覚えなくて済むし(笑)。そういうこと言うとレコード会社の人に大丈夫かなって思われるんだけど、カヴァーしてきた曲は有名だったり名曲だったりしてソウル以外の文脈で聴かれているものも多いから、いけると思うんですよ。それを近いうちにやれると楽しいかなと

——それは聴いてみたいですね。で、話を戻しますが、アリソンとの“FOREVER YOURS”は、バック・ヴォーカルがエムトゥーメイ(Mtume)一派だったタワサ・エイジー(Tawatha Agee)、アコースティック・ギターがカシーフ(Kashif)作品などでお馴染みのアイラ・シーゲル(Ira Siegel)、(エレクトリック・)ギターがフィリーの才人ランディ・バウランド(Randy Bowland)という一流どころが顔を揃えているわけですが、久保田さんの作品ではこういう人たちが本当にさりげなく起用されていますよね。

ランディ・バウランドにまで反応してきたのは、これまで松尾潔だけでしたけどね(笑)。共演のキッカケは人によりますけど、例えばタワサの場合はフォンジー・ソーントン(Fonzi Thornton)が連れてきたのかな。NYでフォンジーというと流れ的にルーサー・ヴァンドロス(のバック・ヴォーカル)隊になるんですが、フォンジーは親日家でもあるんですよね。

今から29年前、NYに初めて旅行として行ったんですが、当時の事務所の人が、デビュー・アルバムがよく売れたからご褒美で憧れのNYに行ってこいって旅費を出してくれたんです。で、その時にスタッフが便乗してきたんですよ。でも、彼らは自費で行かなければいけないから仕事としてレコーディングを入れてきて。タダ(経費)で行けるからって。それで発売する予定もないのに、NYのミュージシャンとセッションしようって。その時にバック・コーラスとしてフォンジーが来たんですよ。“あ、ルーサーのアルバムで歌ってる人だ!”みたいな。で、それから1~2年経ってNYでアルバムをレコーディングしようって時にフォンジーを指名したら、(一緒に)タワサが来たんですよね。タワサもNYの歌い屋さんとしてバック・ヴォーカルでいろんなところに参加してますが、フォンジーとタワサのチームの、それぞれの声はいいんだけど、みんなで歌う感じがちょっとやりすぎに思えて……その次にオードリー・ウィーラー(Audrey Wheeler *)のチームを使い始めるんですよね。オードリーはデニース・ウィリアムス系の細い声で、そっちの方がいいなと思うことがあったりして。なんたって僕、彼女の子供の面倒も見てましたから(笑)

*……元アンリミテッド・タッチ(Unlimited Touch)で、ソロとしても活躍。ウィル・ダウニング(Will Downing)夫人でもある。

——こういうお話を聞いていると、ソウル/R&Bが好きで歌い続けてきた者同士の、ただ歌うことが好きでやっているピュアなコラボというか、そこらへんが久保田さんのシンガーとして信頼できる部分というか、そこをご自身でも強く意識されているような気がするのですが、いかがでしょうか。

その通りです。今も自分で曲を作りますし、レコーディングの現場もイチから全て見張ってますし、チャンスがあったら参加しますけど、その程度なんですよ。僕は楽器も下手だし、譜面もキッチリ書いて読めればと思うけど、でも歌がド真ん中にあって、それ以外はオマケなんです。だから、どんな曲を作っても、誰とコラボレーションしても、何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ。そういう歌であればあるほど楽しいですし、エクスタシーを感じるんですよね」(→ P4に続く)

■ 初回生産限定盤 CD2枚組+特典DVD(MV10曲収録)+久保田利伸による全曲レコーディングエピソード・ブックレット付き ¥4,200(tax in)
■ 通常盤 CD2枚組 ¥3,600(tax in)

DISC 1
1. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
2. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
3. 無常 (feat. Mos Def)
4. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
5. Let’s Get A Groove ~Yo! Hips~ (Bass: Meshell Ndegeocello, Saxophon: Michael Brecker)
6. MIXED NUTS (P funk Chant: George Clinton, Bass & Guitar: William “Bootsy” Collins)
7. Soul 2 Soul feat. AI
8. POLE POLE TAXI (feat. Maceo Parker)
9. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI
10. Is it over ? (Hook Vocal: JUJU)
11. Keep it Rock (feat. WISE, Tarantula from Spontania)
12. a Love Story (KUBOSSA ver.) (Flugelhorn: TOKU)
13. Moondust (poetry reading by Kyoko Koizumi)
14. Keep Holding U (SunMin thanX Kubota)
15. Messengers’ Rhyme ~Rakushow, it’s your Show!~ (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
16. Love under the moon (Harmonica Solo: Toots Thielemans)

DISC 2
1. Never Turn Back (Feat. Pras)
2. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
3. LIVING FOR TODAY (Feat. Mos Def)
4. HOLD ME DOWN (Duet with Angie Stone)
5. Till She Comes (Produced by The Roots)
6. Nice & EZ (Produced by D’wayne Wiggins)
7. SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~ (feat. Musiq Soulchild)
8. Masquerade (Produced by The Roots)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. VOODOO WOMAN (Feat. Renee Neufville)
11. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) (Acoustic Piano: Daniel Jobim, Guitar: Goro Ito)
12. NEVA SATISFIED (Produced by Ali Shaheed Muhammad)
13. Pu Pu (Produced by Raphael Saadiq)
14. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)

特典DVD
1. Soul 2 Soul feat. AI
2. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI Recording Document Full ver.
3. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
4. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
5. Messengers’ Rhyme 〜Rakushow, it’s your Show!〜 (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
6. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
7. Masquerade (Produced by The Roots)
8. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)