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久保田利伸 interview / 「何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ」

デビュー30周年を迎えた久保田利伸がこの11月23日に発売するのが、これまでのコラボレーションを総括した『THE BADDEST〜Collaboration〜』。ただのfeaturingゲスト楽曲を集めたというだけでなく、デビュー前のミシェル・ンデゲオチェロがベースを弾いた“Let's Get A Groove ~Yo! Hips~”から友人ミュージック・ソウルチャイルドとの新録曲まで、久保田利伸だからこそ成し得たコラボレーションの数々をたっぷりと2枚組にして収めたベスト・アルバム。Disc 2は「英語詞編」ということで、90年代に全米デビューも果たし、日本人として唯一『Soul Train』に出演したことも語り草な彼が、ザ・ルーツ、ラファエル・サディーク、アリ・シャヒード、アンジー・ストーンらとがっつり組んできたことを振り返ることができる。そのあまりに大きなレガシーを大いに語ってもらったこのインタビュー、予定時間を大幅に超えたその内容を余すことなくお伝えする。必読です。

取材・文/林 剛

実はクール&ザ・ギャングのリード・ヴォーカルに誘われたことがあるんですよ。1年間だけやらないかって、ロバート“クール”ベルが言いに来て

——海外勢とのコラボに関しては、ジョージ・クリントン(George Clinton)など大御所との絡みがある一方で、久保田さんとの共演後にデビューして今では大物となっている人もいますが、そのチョイスというか審美眼は、時代的なことも踏まえて改めて見ると、かなり鋭いですよね。

いや、そんなに先見の明があるわけじゃないです。その時々のちょっとした出会いですよ。特に海外アーティストとのコラボは、自分の体が向こう(NY)にあったのがデカイですね。直接アーティストと知り合うこともあるし、アーティストのマネージャーがNYにいたりもする。例えば、リッチっていうザ・ルーツ(The Roots)のマネージャー(*)はNYで何度か偶然に会って、そういうところから繋がっていったり。ザ・ルーツは僕と(『Nothing But Your Love』の曲を)やる前から既に有名でしたけど、ちょうどエリカ・バドゥ(Erykah Badu)とかの歌モノをクエストラヴ(Questlove)たちがやるようになった頃で、いろいろやりたかったんでしょうね

*……リチャード・ニコルズ(Richard Nichols)。ザ・ルーツのプロデューサーでもあり、ジャジーファットナスティーズ(Jazzyfatnastees)のメルセデス・マルティネス(Mercedes Martinez)の旦那でもあったネオ・フィリーの裏番長的存在。2014年に55歳で他界。

日本と行き来しながらNYに住み始めたのが93年頃。その後、90年代半ばから10年近くを本格的にNYで過ごすことになる久保田だが、デビュー直前のミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)がベースを弾いた日本語歌詞曲“Let’s Get A Groove~Yo! Hips~”(92年)も、当時の久保田にNYが特別な地であることを意識させたコラボと言っていいだろう。

それもたまたまだったんですよ。NYには普通に一流のスタジオ・ベーシストがたくさんいて、そういう人たちと曲を作ることが多かったんですけど、ちょっとファンキーなベース、“巧くて程よくファンキー”じゃなくて、本当にファンキーなベーシストがいないかな?って(既に共演済みだった)キャロン・ウィーラー(Caron Wheeler)に話したら、『なんで早く言わないの? 凄いのがいるわ。女の子よ。凄く小ちゃくて、でもヘンなコ。何にも喋んないけどベースは凄いから』って言われてセッションしたのがデビュー前のミシェル・ンデゲオチェロだったんです

——サックスを吹いているのはマイケル・ブレッカー(Michael Brecker)ですが、曲としてはトム・ブラウン(Tom Browne)の“Funkin’ For Jamaica (N.Y.)”的なものがベース(基盤)になっていますよね。

それ言っちゃいますか(笑)。“ベースになってる系”で言えばいっぱいありますよ。いやでも、今となってはホントに“Funkin’ For Jamaica”のオマージュと言っていいです。あの曲が大好きで大好きで。あんな雰囲気の曲を作りたいと思って自分でデモを作ったんですが、デモはもっとオリジナルっぽかったんですよ。なんですが、ミシェル・ンデゲオチェロが最後にスタジオに来て生のファンキーなベースを弾いてから、あれでもかなり世界が変わってるんですよ。“Funkin’ For Jamaica”的なベースラインのデモを、彼女の個性を奪うといけないので1回だけ聴かせて、あとは好きにやってくれって言ったらミシェルのグルーヴに変わっていきましたね

——オリジナルのマーカス・ミラー的なベースとは違うと。

マーカスみたいな感じじゃない、荒削りなファンキーですね

——この頃のコラボは、数年後の全米デビューに少なからず影響を及ぼしているのかなと勝手に思っていたのですが。

いや、全然なってません(笑)。確かに時代的に言うとそうなりますけどね。これをやってる頃、NYの[Electric Lady Studios]でレコーディングしてたんですけど、あそこはミシェルも含めていろんなミュージシャンに会ったり、なんか人が集まってくるんですよ。“ジミヘンのスタジオ”ってこともあるのかもしれないですけど、一時期ザ・ルーツのクエストラヴも拠点にしてましたよね。スタジオが地下と1Fにあって、部屋が4つくらいあるんですけど、あるスタジオ(の部屋)ではブーツィ・コリンズ(Bootsy Collins)がテイ・トウワのプロジェクト(ディー・ライト)を一緒にやってたりね。僕自身は一刻も早くアメリカ進出したいっていう気持ちがあったんですが、日本のアルバムに専念していると準備がなかなか進まなくって。でも、その頃がベッタリNYに住みだす始まりです

そんな回想をしている最中、突然思い出したように久保田の口から意外な告白が。

古い人たちの話になりますが……これ初めて話しますけど、僕ね、実はクール&ザ・ギャング(Kool & The Gang)のリード・ヴォーカルに誘われたことがあるんですよ。

90年代に入ってからですが、アフリカのナイジェリアでネルソン・マンデラ関連の記念フェスティヴァル(91年11月に開催されたチャリティ・イヴェント〈The Children Of Africa Concert〉)がありまして。そこにアメリカ、ジャマイカ、イギリスとかからファンキー系の人が集まって、キャロン・ウィーラーが呼んでくれてアジア人では僕だけが参加したんですが、その時にクール&ザ・ギャングも出ていたんですね。JT・テイラー(J.T. Taylor)が抜けた後(ダズ・バンドのスキップ・マーティンがリードの座に就いていた頃)のことですが、その縁で1年間だけやらないかって、ベースでリーダーのロバート“クール”ベル(Robert “Kool” Bell)が[Electric Lady Studios]まで言いに来たんですよ。

で、僕もバカですね……10年やってくれって言われたわけじゃないし、1年くらいだったらちょうどいいじゃないですか。だから試しにやるって言えばよかったのに、当時は“今クール&ザ・ギャングじゃねえんじゃないか?”と思って、自分のレコーディングもあったし、偉そうに断ってるんですよ。わざわざ2回くらいスタジオまで誘いに来てくれたのに。その“クール&ザ・ギャング事件”は、もの凄く後悔しています

それで思い出したのか、「あともうひとつ」と言って語り出した後悔がこれだ。

デビュー直前のエリカ・バドゥがアルバム(97年作『Baduizm』)を作ってる最中、[Electric Lady]ではない別のNYのスタジオで僕の隣の部屋で録音してたんですけど、デビュー前だからエリカのことを知らなかったんですよね。で、彼女が自分の作業に飽きちゃったのか、僕のスタジオに遊びに来たんです。(当時エリカをマネージメントしていた)キダー・マッセンバーグ(Kedar Massenburg)がちょこちょこ様子を見に来ていたので、『見てこい』って言われて来たのかもしれないですけど、30分くらい僕のスタジオに座ってたんですよ。でも、凄い地味で大人しくって華もない痩せっぽっちの女の子で、正直“このコはダメだろうなぁ”なんて思いながら、ただただ優しく笑っていただけだったんですけど……あの時もうちょっとちゃんと話をしていればよかったなぁと、本当に……。

後でコラボレーションの企画が出た時にエリカ・バドゥとやったら似合うだろうなみたいな曲が浮かぶんですけど、当時あんなに冷たくしといて今さら自分の方から声を掛けるのは、というね。だからクールとエリカ、このふたつの後悔があるんですよね」(→ P3に続く)

■ 初回生産限定盤 CD2枚組+特典DVD(MV10曲収録)+久保田利伸による全曲レコーディングエピソード・ブックレット付き ¥4,200(tax in)
■ 通常盤 CD2枚組 ¥3,600(tax in)

DISC 1
1. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
2. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
3. 無常 (feat. Mos Def)
4. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
5. Let’s Get A Groove ~Yo! Hips~ (Bass: Meshell Ndegeocello, Saxophon: Michael Brecker)
6. MIXED NUTS (P funk Chant: George Clinton, Bass & Guitar: William “Bootsy” Collins)
7. Soul 2 Soul feat. AI
8. POLE POLE TAXI (feat. Maceo Parker)
9. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI
10. Is it over ? (Hook Vocal: JUJU)
11. Keep it Rock (feat. WISE, Tarantula from Spontania)
12. a Love Story (KUBOSSA ver.) (Flugelhorn: TOKU)
13. Moondust (poetry reading by Kyoko Koizumi)
14. Keep Holding U (SunMin thanX Kubota)
15. Messengers’ Rhyme ~Rakushow, it’s your Show!~ (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
16. Love under the moon (Harmonica Solo: Toots Thielemans)

DISC 2
1. Never Turn Back (Feat. Pras)
2. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
3. LIVING FOR TODAY (Feat. Mos Def)
4. HOLD ME DOWN (Duet with Angie Stone)
5. Till She Comes (Produced by The Roots)
6. Nice & EZ (Produced by D’wayne Wiggins)
7. SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~ (feat. Musiq Soulchild)
8. Masquerade (Produced by The Roots)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. VOODOO WOMAN (Feat. Renee Neufville)
11. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) (Acoustic Piano: Daniel Jobim, Guitar: Goro Ito)
12. NEVA SATISFIED (Produced by Ali Shaheed Muhammad)
13. Pu Pu (Produced by Raphael Saadiq)
14. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)

特典DVD
1. Soul 2 Soul feat. AI
2. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI Recording Document Full ver.
3. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
4. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
5. Messengers’ Rhyme 〜Rakushow, it’s your Show!〜 (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
6. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
7. Masquerade (Produced by The Roots)
8. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)