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久保田利伸 interview / 「何は無くとも歌、ソウル、R&B。その魅力に取り憑かれて40年なわけですよ」

デビュー30周年を迎えた久保田利伸がこの11月23日に発売するのが、これまでのコラボレーションを総括した『THE BADDEST〜Collaboration〜』。ただのfeaturingゲスト楽曲を集めたというだけでなく、デビュー前のミシェル・ンデゲオチェロがベースを弾いた“Let's Get A Groove ~Yo! Hips~”から友人ミュージック・ソウルチャイルドとの新録曲まで、久保田利伸だからこそ成し得たコラボレーションの数々をたっぷりと2枚組にして収めたベスト・アルバム。Disc 2は「英語詞編」ということで、90年代に全米デビューも果たし、日本人歌手として唯一『Soul Train』に出演したことも語り草な彼が、ザ・ルーツ、ラファエル・サディーク、アリ・シャヒード、アンジー・ストーンらとがっつり組んできたことを振り返ることができる。そのあまりに大きなレガシーを大いに語ってもらったこのインタビュー、予定時間を大幅に超えたその内容を余すことなくお伝えする。必読です。

取材・文/林 剛

US R&Bを中心としたブラック・ミュージックを翻訳して日本の歌謡曲~J-Popとして聴かせてきた久保田利伸。ソウル/R&B好きが昂じて現地のシーンに乗り込み、TOSHI(KUBOTA)名義で全編英語詞による米国市場向けのアルバムを3枚リリースしたこともR&Bリスナーの間では語り草となっている。特にその第2弾『Nothing But Your Love』(2000年)と第3弾『TIME TO SHARE』(2004年)は当時のネオ・ソウル・ムーヴメントの中にドップリと身を浸して作り上げたアルバムで、2016年の今、時代がひと回りしてサブ・ジャンルとして定着したネオ・ソウルというものを(呼称の是非はさておき)改めて考える上でも重要な作品であることは間違いない。若き日の無邪気な憧れも含めて、ブラック・ミュージックを偏愛し、それを自らの音楽に取り込んで世に広めた久保田のキャリアは、現在日本の音楽界において“ブラック・ミュージック”というキーワードがありがたがられる状況だけに、振り返る意義は大きいはずだ。

今回、デビュー30周年企画の一環としてリリースされるコラボ楽曲集『THE BADDEST~Collaboration~』(THE BADDESTと冠したベスト盤シリーズの第6弾にあたる)は、ブラック・ミュージックに身を捧げてきた久保田の“偏愛史”を知るにはうってつけだろう。デビュー30周年ということで、日本語歌詞編と英語歌詞編に分けられた2枚のCDに国内・海外アーティスト/プロデューサーとコラボした30曲を収録。ボサノヴァをテーマにした2013年作『PARALLEL WORLD II KUBOSSA』からダニエル・ジョビンのピアノをバックに歌ったアントニオ・カルロス・ジョビン作の名曲“Corcovado (Quiet Nights Of Quiet Stars)”などもチョイスされているが、MISIAとの“FLYING EASY LOVING CRAZY”やEXILE ATSUSHIとの“Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI”なども含めて、基本的には広い意味で“ブラック・ミュージック”という点で繋がったコラボレーションを軸としたベストになっている。

なんたって僕はスウィート・ソウル・ピーポーですから

共演相手をとってみてもそうだし、大きな意味でいうと、コラボレーション以外でもブラック・ミュージックと関係のないものはあんまり作ってきていない。だから、相手もそういうものが好きだったり、ソウルやヒップホップの魅力に取り憑かれている人じゃないとやりたくないですね。アメリカの人じゃなくても。キョンキョン(小泉今日子)とやった曲も入れてますけど、彼女とはソウル・バーでよく会ったりするので、そこも仲間に入れましょうよ、というね

——曲の雰囲気がどことなくラヴ・アンリミテッド(Love Unlimited)の“Walking In The Rain (With The One I Love)”風なキョンキョンとの“Moondust”は、キョンキョンのポエトリー・リーディングがネオ・ソウル的と言えなくもないですよね。

そうです、そこ黒いです。デュエットしたらちょっと違うところに行くかもしれないけど、ポエトリー・リーディングをやってるところが『ラブ・ジョーンズ』(1997年公開の映画)な感じで(笑)

——『ラブ・ジョーンズ』といえば、今、全米ツアー中の『Love Jones The Musical』(映画公開20周年を記念したミュージカル)を先日NYで観てきたのですが、主役のニーナを演じるのがクリセット・ミシェル(Chrisette Michele)で、それこそ久保田さんと親しいミュージック・ソウルチャイルド(Musiq Soulchild)が準主役として登場します。ミュージックは素で演技をやってる感じでしたが。

クリセット・ミシェル、あのコは歌えるでしょう? ミュージックは、そうなんだよ、器用じゃない。でも、凄くいいヤツなんだよな。あと、フロエトリー(Floetry)のマーシャ・アンブロージアス(Marsha Ambrosius)も出てるんでしたっけ?

——はい、1曲歌うだけなんですが。で、フロエトリーといえば、久保田さんが『Nothing But Your Love』を出した後にデビューした女性デュオですけど、彼女たちも同時期によく似た環境(フィラデルフィア)でアルバムを作っていたんですよね。

そう。それで実は、今回モス・デフ(Mos Def)と一緒にやった曲を“無常”と“LIVING FOR TODAY”の2曲入れてますけど、歌じゃなくてラップのゲストとしてフロエトリー(のフロエシストことナタリー・スチュアート)にしようかモス・デフにしようか迷ってたんですよ。“Floetic”がヒットした後だったかな。両方とも料金(ギャラ)が一緒で、凄く安かったから余計迷いましたね。結局、スケジュールが空いてて近くにいたモス・デフになったんですけど……フロエトリー、かなり好きです

インタヴュー序盤からちょっと脱線してしまったが、以降もこの調子で話が進んでいく。

それにしても、今回のコラボ集を聴くと、改めて共演者のビッグ・ネームぶりに驚かされる。新人シンガーであれば宣材資料に太字で書かれるようなアーティストがとりたてて強調されることなく参加していたりして、ゆえに久保田利伸という人の存在の大きさも実感するわけだが、実際は30曲以上あるコラボから選び抜いた楽曲は当然ながらクオリティが高く、日本人がブラック・ミュージックを偏愛しながら接近していった最良の結果が示されていて、ミュージシャンはもちろん、リスナーとしても参考になる部分が多い。

30曲あって結構多いですが、今回入ってない曲でも記憶に残っているコラボ、価値のあるコラボはありますよ。デュエットに限らず、スタジオ・ミュージシャンやプロデューサーまで含めると。最後まで入れるか迷ったんですけど、例えば『Nothing But Your Love』のタイトル曲のリミックス・アナログ(シングル)の一曲として、J・ディラ、名義はジェイ・ディー(J. Dilla / Jay Dee)でしたけど、彼にリミックスしてもらったやつとか。でも、さすがにそこまでいっちゃうと日本のスタッフとかレコード会社の人も含めて誰も知らなくて(笑)

——こちらとしては入れて欲しかったですが(笑)。ちなみに、今回のコラボ集のジャケットですが、黒人レスラーとのプロレス風のそれだったりしますけど、プロレスお好きなんですか?

いや全然です。全く詳しくないです。プロレス好きはロックの人に多いんじゃないですか。なんたって僕はスウィート・ソウル・ピーポーですから。だから、プロレスがどうこうじゃなくて、単に人と絡みたいっていう。なんだか痛い目にあってるのが面白いみたいな感じですね。デザイナーの方が複数くれたアイディアの中で一番ふざけてる、ユーモラスだったのがこれで。黒人女性と絡んでるデザイン案もあって、それだとストレートでリアリティがありすぎると思ってこうしたんですが、言ってみればコラボレーションのコブラツイストですよ。ライディングされそうでされてないっていう(笑)」(→ P2に続く)

■ 初回生産限定盤 CD2枚組+特典DVD(MV10曲収録)+久保田利伸による全曲レコーディングエピソード・ブックレット付き ¥4,200(tax in)
■ 通常盤 CD2枚組 ¥3,600(tax in)

DISC 1
1. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
2. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
3. 無常 (feat. Mos Def)
4. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
5. Let’s Get A Groove ~Yo! Hips~ (Bass: Meshell Ndegeocello, Saxophon: Michael Brecker)
6. MIXED NUTS (P funk Chant: George Clinton, Bass & Guitar: William “Bootsy” Collins)
7. Soul 2 Soul feat. AI
8. POLE POLE TAXI (feat. Maceo Parker)
9. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI
10. Is it over ? (Hook Vocal: JUJU)
11. Keep it Rock (feat. WISE, Tarantula from Spontania)
12. a Love Story (KUBOSSA ver.) (Flugelhorn: TOKU)
13. Moondust (poetry reading by Kyoko Koizumi)
14. Keep Holding U (SunMin thanX Kubota)
15. Messengers’ Rhyme ~Rakushow, it’s your Show!~ (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
16. Love under the moon (Harmonica Solo: Toots Thielemans)

DISC 2
1. Never Turn Back (Feat. Pras)
2. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
3. LIVING FOR TODAY (Feat. Mos Def)
4. HOLD ME DOWN (Duet with Angie Stone)
5. Till She Comes (Produced by The Roots)
6. Nice & EZ (Produced by D’wayne Wiggins)
7. SUKIYAKI ~Ue wo muite arukou~ (feat. Musiq Soulchild)
8. Masquerade (Produced by The Roots)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. VOODOO WOMAN (Feat. Renee Neufville)
11. Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars) (Acoustic Piano: Daniel Jobim, Guitar: Goro Ito)
12. NEVA SATISFIED (Produced by Ali Shaheed Muhammad)
13. Pu Pu (Produced by Raphael Saadiq)
14. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)

特典DVD
1. Soul 2 Soul feat. AI
2. Golden Smile feat. EXILE ATSUSHI Recording Document Full ver.
3. FLYING EASY LOVING CRAZY (TOSHINOBU KUBOTA feat. MISIA)
4. M☆A☆G☆I☆C (KUBOTA meets KREVA)
5. Messengers’ Rhyme 〜Rakushow, it’s your Show!〜 (Rakushow Voice: Naoko Iijima)
6. LA・LA・LA LOVE SONG (Toshinobu Kubota with Naomi Campbell)
7. Masquerade (Produced by The Roots)
8. Funk It Up (Guitar: Nile Rodgers)
9. Just The Two Of Us (Duet with Caron Wheeler)
10. FOREVER YOURS (Duet with Alyson Williams)