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NAO YOSHIOKA / ジェイムス・ポイザーら7人が、Nao Yoshiokaの魅力と最新作『The Truth』を語る

昨年、デビュー作が全米でもリリースされ、米ソウル・メディアで最優秀新人を授賞。今年6月には歴史ある米音楽フェスに日本人として初めて出演するなど、着実にアメリカを始め世界で評価をされつつあるNao Yoshioka。日本が誇る女性ソウル・シンガーである彼女が、自身3作目として発表した最新作『The Truth』は、彼女の新境地を切り拓き、現行のR&B~ネオ・ソウル・シーンと共振する意欲作となった。この作品に関わった7人のクリエイターの発言を元に、Nao Yoshiokaの魅力、そして最新作『The Truth』を紐解いてみよう。

文/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr) 取材協力/SWEET SOUL RECORDS

今さら説明するまでもないだろうが、この1~2年でのNao Yoshiokaの活躍は目を瞠るものがある。デビュー当初からbmrでも何度か紹介してきたが、昨年7月には、エリック・ロバーソンやビラルらの作品をリリースしているニューヨークのPurpose Music Groupから『The Light』が発売、全米デビューを飾り、ニューヨークのBlue Noteでの単独公演も成功。昨年末には米ソウル・メディアのSoultracksによる〈Readers’ Choice Awards〉で最優秀新人賞に輝き、また彼女のライブ・パフォーマンスを観た担当プロデューサーからオファーを受けて今年6月には〈Capital Jazz Fest〉に出演。レイラ・ハサウェイ、マーカス・ミラーらが出演する「Pavilion Stage」でのショウケースに登場した彼女は、スタンディング・オベーションを受けたという。

この充実した活動を経て、今年9月21日にリリースされた最新作が『The Truth』だ。制作の経緯・背景については、彼女が所属するSWEET SOUL RECORDSの代表であり、Nao Yoshiokaのトータル・プロデューサーでもある山内直己氏のブログに詳細が綴られているのでそちらに譲るが、本作で彼女は大きな転換点を迎えたといっていい。

当初は、ニーナ・シモンやエタ・ジェイムズ、アレサ・フランクリンらの楽曲を歌うことで、そのソウルフルな歌声のインパクトを前面に打ち出してきた。親しみやすいキャラクターと小柄な身体からは想像もつかない、ゴスペルを経由した魂の「うた」に驚き、ファンになった人は少なくないはずだ。デビュー前に彼女に会った時、ジョス・ストーンへの憧れを口にしていたNao Yoshiokaには、レトロなイメージが強くあった。だが、レーベルメイトとなる世界各国のアーティストたちと触れ、そして実際に北米・欧州とインターナショナルにツアーするようになった彼女は、ただボーカリストとして成長しただけでなく、“今”の空気をたっぷり吸い込んだ。その結実が、『The Truth』なのだ。現行のR&Bやネオ・ソウルの要素を取り入れ、フレッシュになったサウンド。そして、いい意味でリラックスした歌声は、時に繊細に、時に今までになくセクシーに迫り、艶やかな表現力を身に付けている。


2013年のライブより、“Think”のカバー映像


最新作『The Truth』スニペット

彼女の最高傑作となった『The Truth』は、旧知の面子を含むSWEET SOULファミリーに加えて、アリシア・キーズやジル・スコット、ザ・ルーツなどの制作に携わるなど実際にUSシーンで頭角を現し始めた才能たち、そしてネオ・フィリーの重鎮ジェイムス・ポイザーとのコラボレーションが実現したことで誕生した。いかにこのアルバムが作られたか、そして彼らはNao Yoshiokaというアーティストをどのように見ているのか。今回、アルバムに参加した7名に話を訊いてみた。

Naoは自分がどうしたいのかを理解していたから、とてもリスペクトできた ―― カーリー・マティーン

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Khari Mateen

まず最初に紹介するのはカーリー・マティーン(Khari Mateen)。フィラデルフィア出身の彼は、ザ・ルーツの2006年作『Game Theory』、2008年作『Rising Down』や2011年作『Undun』(“Make My”など)を始め、ジル・スコットの2007年作『The Real Thing: Words And Sounds Vol. 3』や2011年作『The Light Of The Sun』でプロデュースを務めたことで知られる。本作『The Truth』では、イントロとアウトロ、そして表題曲“The Truth”を手がけた。

彼女の最初の印象は、『ワオ、この小さな子がこんなすごいソウル・ヴァイブを出しているのか!』だったね。アハハ(笑)。それが彼女の音楽を聞いたとき、自分が頭の中で思っていたことだった。こういう人だろうな、とルックスから想像するのと、実際が同じとは限らない。この教訓を、自分は人生で何度も教えられたよ。もう一度言うと、いい意味ですごく驚いたね

彼女の第一印象を訊ねたとき、「驚いた」という返答は、後述のジェイムス・ポイザーを始め、やはり多かった。

そして、Naoと是非一緒に音楽を作りたいと申し出たカーリー。「Naoと一緒に歩いてランチしに行って、音楽や人生について話し合ったことを思い出すね。自分はそうやって音楽とアプローチしていくんだ。心を開いてもらえれば、何を考えているのかということがクリアに見えてきて、どうしたらいいのかが分かる。意味のある音楽を作るには、必要なことなんだ」、「Naoと彼女のチームはとても明確に方向性を固めていた。ほとんどのアーティストはそれほどじゃない。でも彼女は、自分がどうしたいのかを理解していたから、とてもリスペクトできた。自分が何を望んでいるかを理解することは難しいことだ。さらに言うと、人と一緒に制作し、さらにその人の耳を驚かせるということはもっと難しいことなんだよ(それをNaoはできた)」と、彼女との制作を振り返る。「意味のある音楽」という表現は他の回答でも登場したが、それはNaoが「意味のある音楽」を作っているアーティストだとカーリーが考えているからだろう。では、そのNaoは将来どんなアーティストになっているだろう?

今と同じようにオープンな心の持ち主で、でもさらにハードワーカーになっているだろうね。サウンド面で変化はあるかもしれないけど、メッセージは変わらないだろう。彼女の人生の捉え方、キャリアの考え方はとてもいいなと思ってるんだ。自分が信じることのできないもので妥協してしまうと、人は、生きていくために必要な、自分自身の一部を失うことになる。あまりに失いすぎれば、自分という存在は空っぽになって、空虚な人間になるだろう。でもNaoは、心から意味がある音楽を作り続けるだろうし、だから彼女はこれからも、一部も失うことなく完全な状態のままでいるだろうね」(→ P2に続く)

1. Journey (Intro)
2. Borderless
3. The Truth
4. Freedom & Sound
5. Beautiful Imperfections
6. I Love When
7. Set Me Free
8. Spark
9. Journey II (Outro)

[tower records exclusive bonus tracks]
10. Fireking
11. Make the Change (James Poyser Remix)