bmr

bmr>FEATURE>CRAIG DAVID interview / 「正直言って、ずっとあの頃のサウンドに戻りたい気持ちがあったんだ」

FEATURE

CRAIG DAVID interview / 「正直言って、ずっとあの頃のサウンドに戻りたい気持ちがあったんだ」

もう、誰もが言っていることだろう。クレイグ・デイヴィッドが復活した、と。米マイアミに移住後、カバー中心の『Signed Sealed Delivered』を発表してからは、ポツポツと新曲を公開するも、あまり話題にならなかった彼だが、ふたたびロンドンに戻ったのを皮切りに、シガラ、ブロンド、ケイトラナダといった気鋭の若手と続々とコラボレーション、2015年末に放った“When The Bassline Drops”が8年以上ぶりにUKトップ10ヒットとなるなど、急速に注目を集めている。その中で待望の6年半ぶり新作『Following My Intuition』がついに発売。これまでのコラボレーションから生まれた楽曲を中心に、現行ダンス・ミュージックとリンクするUKガラージから、90年代の薫り漂うR&Bまで、まさに16年前のデビュー作『Born To Do It』を彷彿とさせる、原点回帰な改作だ。bmrではこの勢いに乗るクレイグをキャッチ。現行シーンや再評価についての想い、新作にまつわるエピソードから、噂のドレイクとの接近についてまで、ロング・インタビューに応じてくれた。必読。

取材・文/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr) 通訳/Kana Muramatsu

“Fill Me In”を知らない若い子たちが「“新人”のクレイグ・デイヴィット最高だぜ」って言ってるかと思えば、昔から僕を知る人たちも絶賛してくれたり。2つの世代がひとつになってる気がして最高の気分だよ

――いよいよ新作が発売されるわけですが、今の気分はどうですか?

「最高だよ。新作発表に向けて気分もあがってる」

――6年ぶりになりますよね。

「そうだね。最後に発表したスタジオ録音作品(2010年発売の『Signed Sealed Delivered』)から6年。それだけ時間が空いて、僕自身にとっては最高だった。じっくり時間をかけて楽曲を制作することが出来たから。まさにデビュー作『Born To Do It』を作ったときと同じ気持ちだったんだ。とてもナチュラルでオーガニックな気分で取り組むことが出来た」

――2008年の『Greatest Hits』に収録された新曲“Where’s Your Love”は久々のガラージ・トラック(※カラーズのガラージ・クラシック“Hold On”ネタ)で、その頃あなたはガラージ・サウンドに回帰する作品・楽曲を作りたいと話していたと思うんですが、今おっしゃってたように、実現するまで時間がかかりましたよね。それはやはり、マイアミに移ったこと、そして現在はロンドンに戻ってきたことが大きかったのでしょうか?

「マイアミに移ったのは、マイアミの天候やライフスタイルの虜になってしまったからだった。まさに夢の中で生きていたような気分になってたんだ。少しの間だけね。マイアミではEDMが中心で、ヒット・ポップスもトラックが重要視されていた。だから自分で自分の音楽を書くには、UKに戻らないとダメだと思ったんだ。友人や家族の近くで、新人や誰も知らないソングライターやプロデューサーたちと一緒に仕事をしたいと思ったんだよ。不思議なことに、UKに戻ってから1年半の間で、期待の新人たちと一緒に仕事をして曲を作って、そしてソニーとも契約することが出来て、アルバムを発表することが出来ることになった。

そしてつい最近、15日間のアリーナ・ツアーを発表した(※後日さらに追加日程が発表されている)。ちょうど今日チケット販売が開始されたんだ。それよりもクレイジーなことに、1万5000人入る[O2 Arena]でもショーをすることになってる。しかも1日だけじゃなくて2日間も。1日目のショウが即完売したから、追加公演で2日目がさっき決定した。だからUKに戻って来てからの1年半、本当に素晴らしい出来事ばかりが起こってるよ」

―90年代のUKガラージを思わせる音楽性でディスクロージャー(Disclosure)が2013年~2014年にブレイクしたり、ここ数年で音楽シーンがあなたのためのシーンになりつつありますよね。あなたがソングライティングに関わったコナー・メイナード(Connor Maynard)Talking About”もUKガラージを意識したような楽曲でしたし、また、“Fill Me In”をジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)が“Recovery”で引用したり、ピア・ミア(Pia Mia)がリメイクしたりと、当時のガラージ・サウンドや『Born To Do It』への再評価が高まっている印象がありますが、現在の状況や、今のシーンをどのように感じていますか?

「まず、僕がずっと昔に作った音楽を今、再評価してくれて、それをリミックスしたりカバーしたりしてくれている状況は本当に光栄に思っている。そういう音楽を作っていきたいと思い続けてここまでやってきてるからね、なおさらさ。よくよく考えてみると、新作のタイトルでもある『Follow My Intuition』(直観を信じて動く)ことを、デビュー作『Born To Do It』でもやっていたことだと思う。でも、当時は何が“直観”なのか気付いてなかった気がするんだ。

どういうことかと言うと、たとえば当時、週末は家にこって曲を完成させると友達に伝える。でも友達は理解してくれなかった。『クラブに遊びに行こうぜ』、『楽しもうぜ』ってしつこく誘ってきてたんだ。それでも10回に9回は家に籠って曲を書いて、10回に1回は友達の誘いを受け入れて大騒ぎしに出かけた。でもその家に籠った90%の時間が、“Rewind”、“Fill Me In”、“7 Days”、“Walking Away”という、デビュー・アルバムに収められた楽曲を作り出したんだ。だから、『家に籠って曲を書け。そうしたいんだろ?』っていう心の声に耳を傾けた結果があの作品を生み出した。その声こそが“直観”だった。

それから16年早送りして今の話をすると、チャートや自分のポジション、流行の音を気にせず、ただただ音楽を作るのを楽しんでいたあの頃と同じフィーリングを覚えて初心に戻った時、不思議なことが起こり始めたんだ。会うべきして出会った人たちと出会うようになり、一緒にやるべきアーティストたちと一緒に仕事が出来るようになった。たとえば、カナダの新鋭ヒップホップ・プロデューサーのケイトラナダ(KAYTRANADA)。彼とは前から一緒に仕事をしていたけど、(一緒に曲を作った)その数ヶ月後に彼自身の作品(『99.9%』)を発表して話題となった。彼とは自然に仕事をするようになってたんだ。

それにシガラ(Sigala)もそう。彼がヒット曲“Easy Love”(2015年)を出した1年以上前から一緒に曲を作ってた。すべてが自然にそういう方向へ進んでいった。ブロンド(Blonde)とのコラボケイティ・B(Katy B)とのコラボも同じ。何かを意図してやったわけでなく、自然に集まって、自然に一緒に仕事をするようになった、本当にオーガニックな状態で物事が進んでいったんだ。結果的に、全ての点が線で繋がった感じ。本当に最高の状態でここまで来ていると実感している」

―去年「BBC Radio 1Xtra」で披露した、ジャック・U(Jack Ü)Where Are Ü Now”のトラックを使った“Fill Me In”のパフォーマンスは大きなバイラルを巻き起こしました。後にディプロ(Diplo)/メジャー・レイザー(Major Lazer)と共演するきっかけにもなったと思いますが、そもそも“Where Are Ü Now”と“Fill Me In”のマッシュアップはどういう風に生まれたのでしょうか?

「1XtraのDJのミスタージャム(MistaJam)の番組に呼ばれて出演したんだけど、ガラージ・シーン中心の番組をやってる人なんだ。TVでも放映されていて、昔のガラージ・シーンを紹介するだけでなく、MCを番組に招待してパフォーマンスさせたりする番組で。そこに招待されて、フリースタイルでパフォーマンスしてたんだよね。新曲も数曲織り交ぜながら。そしたら突然、ミスタージャムがジャックUの“Where Are Ü Now”のインストをかけ始めたんだ。そこにフリースタイルで僕が“Fill Me In”のメロディでトラックに完璧に合うように歌い始めた。それからラップもやったんだ。前からラップのライムを書いてて、いつ使えるかもわからないから、ずっと手元に用意してたんだよ。それで自分の携帯を取り出して、“16”のリリックをやり始めたんだ。

その時は深く考えてなかったんだけど、SNSでここまで拡散されることになるようなことはこれが初めてだった。スクリレックス(Skirllex)がツイートしてたり、ディプロが『番組の45分頃からのを観なきゃダメだ』とか言ってたり、ジャスティン・ビーバーベニー・ブランコ(Benny Blanco)もツイートしてたり。もうみんなが大騒ぎしてビックリしたよ。あの時、間違いなく何かが舞い降りてきたんだと思う。結局その時に歌った曲“16”をレコーディングすることになって、新作に収録することになった。あの曲は本当にみんなからのリクエストが多かった曲だったんだ。『どこで聴けるの?』『どこで買えるの?』ってよく訊かれた。本当に不思議だったのが、若い世代の子たちが初めて聴いて、まるで最新曲のように反応していたこと。“Fill Me In”が発売された頃を知らない世代だからね(笑)。だから若い子たちが、『“新人”のクレイグ・デイヴィットの“Fill Me In”最高だぜ』って言ってるかと思えば、昔から僕を知る人たちも『あのリミックス最高だったよ』って、2世代がそれぞれ違う形だけど、絶賛してくれているのは嬉しいことだよね。2つの世代がひとつになってる気がして最高の気分だよ」(→ P2に続く)

1. “Ain’t Giving Up” – Craig David & Sigala
2. “When The Bassline Drops” – Craig David & Big Narstie
3. “Don’t Go”
4. “Couldn’t Be Mine”
5. “One More Time”
6. “Change My Love”
7. “Nothing Like This” – Blonde & Craig David
8. “Got It Good” – KAYTRANADA feat. Craig David
9. “All We Needed”
10. “Louder Than Words”
11. “What If”
12. “Like A Fan”
13. “Better With You”
14. “No Holding Back” – Hardwell & Craig David
15. “Here With Me”
16. “Warm It Up”
17. “Sink Or Swim” [prod. by KAYTRANADA]

[Japanese bonus tracks]
18. “When The Bassline Drops (Todd Terry Remix)”
19. “One More Time (TroyBoi Remix)”