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STUART ZENDER interview / ディアンジェロから山下達郎まで……元ジャミロクワイが語る8枚

ジャミロクワイ結成から1998年まで在籍したことで知られる名ベース・プレイヤー、ステュアート・ゼンダー。ジャミロクワイ以降も、ローリン・ヒル『The Miseducation Of』(綴りがStewartになっているのが不満だそう)やアデル『19』などへの参加、マーク・ロンソンのバンドのミュージカル・ディレクターを務めるなど活躍している彼が、6月にひょっこり来日。せっかく日本にいるなら、とフレンドリーな彼に「What's In My Bag」な企画を仕掛けてみた。ディアンジェロとの『Voodoo』レコーディング秘話、山下達郎や八神純子、カシオペアといった彼の音楽趣味、そしてインコグニート最新作を始めとした最近の動向をカリスマ・ベーシストが語る。

取材・文・写真/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr)

ある日突然、ステュアート・ゼンダーが日本にいる、との報せが届いた。ジャミロクワイ在籍期に何度も日本は訪れているが、なんでも2年前、40歳の記念に初めてひとりで日本に(プライベートで)来たそうで、今回も、仕事を兼ねてはいるものの、日本の友人と会ったり自由に過ごしていた様子。日本の後は韓国に渡り、向こうのアーティストのプロデュースをする予定なのだとか。

来日情報をキャッチした我々は急きょ、ステュアートが参加しているインコグニートの最新作『In Search Of Better Days』のプロモーションになるなら喜んで、という彼の好意に甘えてインタビューを実施。せっかく日本に来ているなら、と、彼をタワーレコード渋谷店に連れて行き、好きなアルバムを選んでもらって語ってもらうという趣向に。いまだにCDがこれだけ売られているという日本の状況に「日本の音楽ファンは素晴らしいね」と述べながら、8枚を選んでもらった。

 


■ James Brown – 『In The Jungle Groove』

「最初はジェイムス・ブラウンから始めよう。『In The Jungle Groove』。彼はそもそも、僕にとって初めてのポップ・アイドルなんだ。子供の頃の話だね。5歳の頃は、彼みたいになりたいと思ってた(笑)。クレイジーに踊って、叫んで……子供なら誰もが憧れた存在だからね。『In The Jungle Groove』はファンキーなグルーヴが最高だ。クリスマスに亡くなったんだっけ? だから僕はクリスマスは、“ジェイムス・ブラウン・デー”として祝うことにしているよ(笑)。ファンクとソウルのゴッドファーザー。僕のアイドル、ジェイムス・ブラウンは大好きだ」

 


■ Weather Report – 『Black Market』

「次はウェザー・リポート。このアルバムで僕はどうベースギターを演奏するべきか学んだようなものだ。このアルバムはロンドンの友人に教えてもらったんだけど、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の演奏にすぐ惚れ込んだよ。アルフォンソ・ジョンソン(Alphonso Johnson)も弾いているけど……ジャコはレジェンドだ。彼はエレクトリック・ベースギターを変えてしまった。グルーヴ、テクニック、ハーモニクス……どれも信じられない素晴らしさだ。ウェザー・リポートの『Black Market』は、間違いなく僕のトップ5アルバムのひとつに入る作品だね」

 


■ Casiopea – 『The Premium Best』

「古い作品を続けていこうか……カシオペアだ。ジャパニーズ・フュージョン・ファンク。学校の友人が……僕はロンドンのアメリカン・コミュニティ・スクールに行ってたんだけど、彼女も素晴らしいベース・プレイヤーで、カシオペアを教えてもらったんだ。素晴らしくてびっくりしたよ。ベーシストにも会ったことがあるんだ……なんて名前だったっけ……自分の記憶力が憎らしいよ(笑)。サクライさん(櫻井哲夫)かな? カシオペアは本当にテクニカルで……技巧的過ぎるという人もいるくらいだけど、本当に素晴らしいよ」

 


■ 山下達郎 – 『For You』

「日本の音楽を続けて。この男、ヤマシタ・タツロウだ(※日本式に、姓→名の順で呼んでいた)。彼のサウンド、歌声はとてもクールで本当にファンキー。彼はまだ音楽を続けているの? おお、いいね。僕は自分のアルバムにずいぶんと長い時間をかけてしまっているけど、世界中の歌手に参加してもらいたいと思っていて、ぜひ彼にも参加してもらいたいと思っているんだ」


■ 八神純子 – 『Best 1978-1983』
(※『Full Moon』を探していたものの見当たらず、同時期のベストをチョイス)

「続けて、ヤガミ・ジュンコ。とても美しい歌声の持ち主で、素晴らしいピアニスト。これはベスト・アルバムだけど、彼女の80年代の作品はとてもクールだ。彼女にはいろんなポップ・ヒットもあるのは知っているけど、80年代のファンキーな曲が最高だね。僕がかけると、『それは誰だ!?』って聞かれるよ。彼女は間違いなくファンキー」

――山下達郎や八神純子はどうやって知ったんですか?

「テクノロジーのおかげだよ。YouTubeだ(笑)。YouTubeで聴いていると、関連楽曲なんか出てくるでしょ。特に日本のものはヴェイパーウェイヴで知ったかな。80年代の音楽をスロウダウンさせたりピッチを変えたりしてるんだ。彼女(八神純子)の楽曲もそれで使われてて。ヤマシタ・タツロウの曲もね。それで、『これは誰だ?』ってなって。ヴェイパーウェイヴにハマってたから、それで使われている曲を調べて、見つけるって感じだね」

――日本の昔の楽曲もよくヴェイパーウェイヴでサンプリングされていますからね。

「そのとおりだよ。ヴェイパーウェイヴ知ってるんだ? いいね。彼女(八神純子)も素晴らしいし、彼(山下達郎)も最高だ」(→ P2へ)