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N.W.A.特集パート2 / ついに日本上陸! 映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』の真実

2015年末、ついにN.W.A.の伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』日本上陸。そして、N.W.A.のアルバム3作が揃って、歌詞・対訳初収録で日本リリース。そんな今こそ、ヒップホップ史が誇る「危険なグループ」の軌跡を振り返るべき時だろう。先週に続くN.W.A.特集の第2弾は、「日本で最もウェッサイなDJ」の一人、DJ Couzと、同映画の字幕監修も務めた丸屋九兵衛が語らう、映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』よもやま話である。

取材/金島康裕 文責/bmr編集部

LAでは「もう『ストレイト・アウタ・コンプトン』観た?」が挨拶に

丸屋九兵衛(以下丸)「さて、映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』。本国アメリカでは8月14日に上映が始まって、初登場週の興行収入が全米1位。しかもその週の2位『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』に4倍の差をつけての1位とか」

DJ Couz(以下C)「僕は公開日の夜にハリウッドのチャイニーズ・シアターで観たんですよ。その時、夜の一番最後の回だったんですけど、もう満席で。しかもハリウッドなのに客層はほぼブラック。僕らだけですね、アジア人は。他は全部ブラックでした」

丸「白人はいなかったんですか? 白人が観ないと全米1位になれないですよね」

C「まあそうですよね。でも、この映画は唯一くらいブラックがこぞって観に行った映画らしいですよ。他の映画とは比べものにならないくらい、ブラックの人が凄い割合だったと聞きました」

丸「結果、音楽伝記映画史上最高の収益を上げたらしいです。だから、ジェイミー・フォックス主演のレイ・チャールズ物語『Ray/レイ』なんかよりも勝ってるんですよね。映画の規模としてはあっちのほうがでかいと思うんですが」

C「それを考えたら『ストレイト・アウタ・コンプトン』は凄いですね」

丸「これだけ濃い内容で、それだけの業績を成し遂げたという。あと、この映画の凄いところは……プロデューサーは黒人、監督も黒人、主演ももちろん黒人で、有名な役者は誰もいない、そんな状況で、初登場1位。それはものすごい出来事だと思うんですよね」

C「とりあえず、公開日の5日くらい前にLAに行ったんですけど、もう街中全部がもう『ストレイト・アウタ・コンプトン』の大きな看板だらけ。5人が歩いているシーン、あれだらけですね。同じシーンで、向こうにもここにもあそこにも、みたいな。ハリウッド・ハイランドっていう、アカデミー賞とかをやる有名な交差点があるんですけど、そのあたりもこの映画の看板がたくさんあって。もう、どこもかしこも『ストレイト・アウタ・コンプトン』」

丸「まあ、これユニバーサル・ピクチャーズだからメジャー・スタジオの作品ではあるんですよね。メジャー作品じゃないとそういう広告埋め尽くしみたいなことは出来ないと思います」

C「それでも、やっぱりその時々でヒットを期待されている作品ってあるじゃないですか? それ以上に『ストレイト・アウタ・コンプトン』のほうが凄く注目されているのを感じました。僕の場合は周りがヒップホップ関係者だからってのもあると思うんですけど、LAのみんなとの挨拶が普段の“Whassup?”から“もう『ストレイト・アウタ・コンプトン』観た?”に変わって。それが挨拶になるくらい、皆の注目度が物凄く高いっていうのを感じましたね」

丸「わたしの場合は、6月だか7月だか、それぐらいからYouTubeで予告編を見て“なんか凄いかも”とは思ってました」

C「あと、僕も慣れ親しんでいるLAのラジオ業界でも、こんなことがありました。LAのラジオといえば、もともとはPower 106が一番人気で、たぶん20年近く1位だったんです。ところが、そのPower 106の看板パーソナリティのビック・ボーイがReal 92.3っていう新しいラジオ局に移ってから、Realの人気が凄くて。たぶん最初の1ヶ月でレーティングが変わったりしたんですよね。

8月は、そのRealもPower 106も、どちらも『ストレイト・アウタ・コンプトン』を推しまくってて、しょっちゅう宣伝はやってたんですけど、公開日の2、3日前にビッグ・ボーイのRealの方で、アイス・キューブ(Ice Cube)のエクスクルーシブ・インタビューが流れたんですよ。で、“わー、すげー!”ってなるじゃないですか? そしたら公開の前日に、今度はPower 106の方が、主要な出演者、イージー役、ドレー役、アイス・キューブ役をサプライズ出演させて」

丸「2つのラジオ局が奪い合うように『ストレイト・アウタ・コンプトン』を推しまくっていたわけですね?」

C「そうです。で、更にその翌朝、今度はリアルの方で、ドクター・ドレー(Dr. Dre)の独占インタビュー」

丸「それはダメ押しやね」

C「はい、Power 106は出演者推し、それに対してRealはアイス・キューブとドレーのレジェンド推しっていう。向こうはラジオ局が凄い影響力を持っているんですが、その業界の人気局がもうそれだけ推しまくって、その週のメイン・トピックにするくらい、この『ストレイト・アウタ・コンプトン』は皆から注目されてる映画なんだなと間近で感じました」(→ P2へ)