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Billboard JAPAN連同企画:ローリン・ヒル / ソウルを継ぐ者

bmrがBillboard JAPANとタッグを組んでお送りする新・連動企画。来日を直前に控えたアーティストたちの過去と現在を結ぶものだ。第二弾として取り上げるのはローリン・ヒル。今回は、『bmr』誌1998年8月号に、当時の編集長・岩間慎一が書いた「ローリン・ヒル、“ソウル”を継ぐ者」を再掲載する。

文/岩間慎一

スタジオで何千ものフックを唄いまくる彼女に、ワイクリフは驚嘆したという……

2年前に来日したロバータ・フラックが“Killing Me Softly With His Song”を唄う前に、「ある日ラジオからフージーズ(The Fugees)のこの曲が流れてきて」と嬉しそうに紹介したのは印象的だった。もともとロバータは、この曲(ロリ・リーバーマンのバージョンだったか)を飛行機の中で耳にして一発で惚れ込んだ、というような逸話があったはず。それが約20年を経て、再びこんな形で彼女の耳に飛び込んでくるとは思いもしなかったろう。

「ソウルを継ぐ者」、ローリン・ヒル。かつて、常套手段とはいえ“Moody’s Mood For Love”を口ずさむ彼女に「おや?」と思ったのは、フージーズ1作め『Blunted On Reality』の“Some Seek Stardom”を聴いたとき。彼らの場合、レゲエの影響なのか、有名曲の引用は数知れないが、ギター曲「アルハンブラの想い出」をヘンな風ににぶった切ってループさせてしまうような(“Family Business”)ワイクリフ(Wyclef Jean)の感覚というのは、ローリンにかなりの影響を与えてはきただろう(“Rumble In The Jungleで、ABBAのトラックにチップ・テイラーの“Angel Of The Morning”を滑り込ませるアイディアなども、おそらく彼のもの)。

しかし彼女のウタごころが大きな飛躍を見せるのは、やはり『The Score』以降のこと。スタジオで何千もの(?)フックを唄いまくる彼女に、ワイクリフは驚嘆したというが、ティーナ・マリー(Teena Marie)の“Ooo La La La”も、そういった中で飛び出してきたものだという(ATCQファンの彼女、例のロータリー・コネクション“Memory Band”のコーラスからこの曲を発想したんだろうか?)。

先にレゲエの影響について触れたが、一聴するとストレートに元メロを再現しているようなその歌唱も、じつは微妙にメランコリックにローリン調に変調してある(ように聞かせる)ことに気づくはずだ。ティーナ・マリーのキンキン声で溌剌とはじき出されるラインと、ローリンのそれとはやはり異なる感触をもつし、それは他のカバーや引用曲にしてもそうだ。

どこか能天気なカーティス・ブロウ( Kurtis Blow)のオリジナル→ナズ(Nas) feat. ローリン版“If I Ruled the World”という例はもちろん、もともとがメランコリックなスティーヴィ・ワンダー(Stevie Wonder)“Never Dreamed You’d Leave In Summer”→コモン(Common) feat. ローリンの“Retrospect For Life”にしたって、よりブルーなムードは増幅されている(「君の瞳に恋してる」こと“Can’t Take My Eyes Off Of You”も、この曲のカバーのなかではダントツにブルーだッ)。デルフォニックス(The Delfonics)“Ready Or Not Here I Come”→フージーズ“Ready Or Not”にしても、問題になったエンヤ(Enya)“Boadicea”のラインが大きく影響しているとはいえ、同様のこと。

いや、メロディだけじゃない。ワイクリフのソロ『The Carnival』中の“Sang Feji”において、歌詞も変えてゴスペリッシュに唄われる「朝日のあたる家」などは、かつてのニーナ・シモン(Nina Simone)による同曲のブルーズィなカバーを凌ぐほどだし、前記“Killing Me Softly…”にしても、本来はアンチ武器等のメッセージを込めて歌詞を変えた“Killing THEM Softly”への許諾がおりずに、あのような忠実なカバーに落ち着いたというし(その名残は後半に潜ませてあるが)。

サンプリング感覚、レゲエからの影響、ワイクリフのセンスと、いろいろな要素はあるだろうが、ローリンのコンシャス・マインドと生きる姿勢は、彼女の「血」ともいえるメランコリックな歌唱にポジティブなメッセージを込めるという、彼女なりの「ソウルの継承」という形で、僕らの魂(ソウル)に染み込んでくるのだろう。
(『bmr』1998年8月号より再掲載)

>> bmr×billboard連動企画「Lauryn Hill – past and present- ローリン・ヒルの軌跡:デビューから今まで」

ローリン・ヒル東京公演
会場:東京 Billboard Live TOKYO
日時:
2015年9月25日(金)開場:18:30/開演:20:00
2015年9月27日(日)開場:17:00/開演:18:30
料金:サービス 42,000円/カジュアル 40,000円(※カジュアルのみ1DRINK付)
予約受付開始:会員 7/15(水)/一般:7/22(水)

※本公演は1日1ショーの特別営業時間となります
※本公演はwebのみの予約受付となります

ローリン・ヒル大阪公演
会場:梅田 Billboard Live OSAKA
日時:2015年9月29日(火)
1stステージ 開場:17:30/開演:19:00
2ndステージ 開場:20:30/開演:21:30
料金:サービス 42,000円/カジュアル 40,500円(※カジュアルのみ1DRINK付)

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MTV presents SOUL CAMP 2015

出演アーティスト:
2015年9月22日(火・祝日)
COMMON / BIZ MARKIE / TALIB KWELI /YASIIN BEY (MOS DEF) / DJ JAZZY JEFF and more

2015年9月23日(水・祝日)
Ms. LAURYN HILL / THE BEATNUTS / BLACK STAR / BIZ MARKIE and more

日程:2015年9月22日(火・祝)~9月23日(水・祝)
時間:12:00-OPEN / 13:00-START (20:00 END予定)
会場:
<LIVE AREA> TOYOSU PIT
<DJ & FOOD AREA> MAGIC BEACH
<BBQ AREA> LOVE KINGDOM
<FAMILY & KIDS AREA> MIFA Football Park
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