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キングギドラ『空からの力:20周年記念エディション』対談 / Kダブシャイン x 松田敦子

キングギドラ『空からの力:20周年記念エディション』リリース対談:Kダブシャイン x 松田敦子

インタビュー/渡辺志保

他のレコード会社にもデモテープを持って行ったけど、門前払いをくらってて。
メジャーからは「“DA.YO.NE”みたいな曲は無いの?」なんて言われて

Kダブシャイン、Zeebra、DJ OASISによるグループ、キングギドラ(現KGDR)が1995年に発表したデビュー・アルバム『空からの力』。その20周年を記念するリマスタリング盤のリリースを祝して、メンバーのKダブシャインと、当時ギドラのマネージャー的な動きをしていた、『bmr』でもお馴染みの通訳/ライター、松田敦子さんによる「ソラチカ」対談が実現した!

――本日はKダブシャインさんに加えて、Kダブさんとは旧知の仲である松田敦子(Akko)さんにもお越し頂きました。お二人はどんな関係で?

Kダブシャイン(以下、K):Akkoはかつて、雑誌『Fine』の編集部で働いていたんだよね。『空からの力』のリリースにあたって、マネージャーというか、パブリシストみたいな形で色々と雑誌への露出を取り計らってくれた方です。もともと、Akkoは俺の隣の区に住んでいて、それからの仲なんだよね。

Akko(以下、A):コッタくん(Kダブシャイン)と出会ったのは中三くらいのとき。お互い通っていた中学は違ったんだけど、当時は私も渋谷によく遊びに行っていて、同級生に紹介してもらったんです。そのあと、コッタくんがアメリカに行っちゃって、一時帰国したときに「ヒップホップ好きなの?」っていう話になったんだよね。私も当時、ア・トライブ・コールド・クエスト(A Trice Called Quest)とかデ・ラ・ソウル(De La Soul)とか聴いてたから、そこから会話が弾んで。本格的に日本に帰ってきたのは94年だったよね?

K:そう。その頃、もうAkkoは『Fine』で働いていたから、キングギドラのプロモーションを手伝ってくれとお願いして。『Fine』の音楽ページもAkkoが担当していて、そういう業界へのツテもたくさんあったんだ。あとは繋がりのあるクラブ・イベントにもブッキングしてくれたり。Akkoが最初に俺たちの音源を聴いたのはデモテープだった? ライブだった?

A:デモテープだったかな。当時の日本のヒップホップっていうと、EAST ENDとか、ああいうのばかりだったから、キングギドラのスタイルは普通に面白いなって感じた。「日本語でこういう風に韻を踏むんだ」と。私もその時はアメリカのヒップホップばかり聴いてたから、日本の作品はあんまり聴いてなかったの。語尾だけで韻を踏むのもあり得ないと思ってたから、コッタくんの韻の踏み方はすごいと思って。あと、本人が色々解説を喋ってくれるから、作品に関してはすごく勉強したって感じかな。

K:『空からの力』をリリースしたレーベル、P-VINEを紹介してくれたのもAkkoじゃない?

A:「P-VINEでやれば?」って担当のタギさんを紹介したんだよね。

K:他のレコード会社にもデモテープを持って行ったりしていたんだけど、割と門前払いをくらってて。いわゆるメジャーのメーカーさんからは「“DA.YO.NE”みたいな曲は無いの?」なんて言われて、「いや、そういうのじゃ無いんすよ」みたいなやり取りをしてたんだ。
 当時、日本語ラップのCD流通はFILE RECORDSが独占していて、実際にFILEからもオファーをもらっていた。でも、P-VINEはネタモノとかブレイク・ビーツのCDリリースとか雑誌の『bmr』の出版もやっていたし、「だったら、FILEよりこっちの方が黒くて面白いんじゃない」って。

――当時、レーベルとのディールを結んだり、制作の指揮を取ったりとディレクター的な役割を担うのは他のメンバーよりもKダブさんがメインだったのでしょうか?

K:俺はアメリカにいたときに向こうのラッパーが色々やってるのを見てきたから、「こうやって、この段階をうまく経ていけば、きっと上手くいく」みたいな流れが自分のなかでなんとなく出来てた。ヒデ(Zeebra)はちょっと不安だったみたいで、「コッタくん、本当にうまくいくのなあ、コレ」って言われることもあったけど。

A:確かに、そんな感じだったよね。全部、勢いでやってたし、よくメンバー間で衝突してたから私が間に入ることもあった。

K:この頃、あとの二人はのほほーんって感じだったから、「ガチでこれやんないと次に行けないぞ」って俺がよく文句言ってたのね。まだP-VINEと契約する前の段階でも、俺は「絶対うまくいくから」っていつも言ってたし。

――Kダブさんは高校生の頃からアメリカでの生活を続けていたわけですが、帰国した当時は日本のヒップホップ・シーンをどのように受け止めていたのでしょう?

K:日本で日本語のラップ作品をリリースしようと決めて帰国したときに、競争相手はどんな感じなんだろう?と思ってチェックしてたね。
 と言っても、当時は結構ナメてたっていうか、EAST END × YURIの「DA.YO.NE」とか、スチャダラパーの「今夜はブギーバック」とかは知ってたから、「あんな感じね」みたいな。「みんな、ラップをやってるつもりだろうけど、俺は(アメリカから)ヒップホップを持って帰って来てるから」っていう意識だったね。ヒップホップにおけるメッセージ性やリスペクトの精神、みたいな。
 当時はみんな自分の日常のことを軽くラップしてるだけだから、もうちょっと韻を踏んだりして、アートとしてのヒップホップを追求したほうがいいんじゃないの?とは思ってたね。
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『空からの力:20周年記念デラックス・エディション』(CD+DVD)
1. 未確認飛行物体接近中 (急接近 MIX)
2. 登場
3. 見まわそう
4. 大掃除
5. コードナンバー0117
6. フリースタイル・ダンジョン
7. 空からの力 ~Interlude
8. 空からの力 Part 2
9. 星の死阻止
10. 地下鉄
11. スタア誕生
12. 行方不明
13. 真実の弾丸
14. コネクション ~Outro
15. 空からの力 [Mind Funk Remix] (ボーナストラック)
16. 行方不明 [DJ Kensei’s Smooth Mix] (ボーナストラック)
17. 真実の弾丸 [Flute Mix] (ボーナストラック)
18. 見まわそう [Original Demo Version] (未発表デモ音源 (Saga Of K.G.))
19. 空からの力 Part 1 [Original Demo Version] (未発表デモ音源 (Saga Of K.G.))

[DVD 『影The Video』]
1. OPENING~未確認飛行物体接近中 [Live]
2. 大掃除 [Live]
3. 見まわそう [Live]
4. 行方不明 [Live]
5. 行方不明 [DJ Kensei’s Smooth Mix] [Music Clip]