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コンピ『Perfect R&B 6! URBAN LIFE 2015』に見る現代R&Bの王道

R&Bシーンに追い風が吹いているように思える2015年初頭。しかし、この現代における王道のR&Bとはどんなものか、そして、それはどこにあるのか? 評論家・荘 治虫氏が見出した答えが、このコンピレーション『Perfect R&B 6! URBAN LIFE 2015』だった……。

文/荘 治虫

R&B好きにとってのR&Bとはどのあたりを指すのか。
各自の趣味性に走った音楽ではない、最大公約数として愉しまれるR&Bとは?

 R&Bが来ているのだという。
 ディアンジェロが最新作のタイトル通り救世主のごとく祀り上げられ、サム・スミスがグラミーの主要三部門を独占し、ポスト・ビヨークと目されるFKAツイッグスが脚光を浴びるいま、「R&Bが来ている」のだという。

 たしかにそうなのだろう。ただ、その「来ている」というR&Bが、筆者が「R&Bとして愛聴」している音楽と完全に合致しているのかと言えば、答えはノーだ。もちろん、ディアンジェロがいくらギターを歪ませたからと言って、彼の音楽がR&Bではなくなってしまったというつもりもなければ、サム・スミスやFKAツイッグスの音楽にR&Bを見出す行為を否定するつもりもない。ついでに言えば、「R&Bなんてくだらねえ」(1999年、池城美菜子さんによるインタヴューより。『bmrレガシー ディアンジェロとネオ・ソウル』収録)というかつての発言が誤解させるのだろう、ディアンジェロの音楽はR&Bではないという極端な論調を見かけるが、そもそも彼のヒーローはアーロン・ホールなのだからして、D氏にそれはそれは濃いR&Bエキスが流れていることは疑いようもないわけで。

 それでも、『Black Messiah』にしろ、サム・スミスやFKA・ツイッグスのアルバムにしろ、音楽シーンにおける重要性やアルバムの出来栄えの評価とはまったく別の次元で、これこそがR&Bだ!と言える作品ではない(と思う)こともまた事実だ。もちろん、ジャンルというものは便宜上つけられるラベルでしかないわけで、視点が変われば分け方も変わるし、ロックな文脈から『Black Messiah』が現代R&Bの代表作と捉えられることに文句を言うつもりは毛頭ない。

 それを前提として、じゃあ、筆者個人の考えるいまのR&Bとは何なのよ、という話である。もう少し広がりを持たせれば、筆者のようなR&B好きにとってのR&Bとはどのあたりを指すのか。各自の趣味性に走った重箱の隅的な音楽ではない、最大公約数として愉しまれる、ありきたりかもしれないけれど素晴らしいR&Bとは? 紙媒体の専門誌が消え去って久しい現在、この問いに対する答えについては、R&Bリスナーの中はもとより、実はこのジャンルの音楽ライター間でさえも、もしや充分なコンセンサスが得られていないんじゃないだろうか──。

 そんなことを考えていたところに、bmrの丸屋さんから本題となる『Perfect R&B 6! URBAN LIFE 2015』の紹介原稿執筆の依頼を受けたわけだが、実はその前日に一聴し、いまのR&Bをしっかり捉えたコンピだなあと感心していたところだった。それもそのはずである。選曲を担当したのは、伝説の[New Jack Revengers]をはじめとするbmrイヴェントでもプレイしていたDJで、メジャー・リリースのミックスCD作品も手がけるDJ ICE氏。長年シーンを追い続けてきた確かな耳を持つ人物なのだ。

 思えば、シリーズ前作にあたる『Perfect R&B 5』は、EDMの流行を反映したのかダンス盤とR&B盤による2枚仕立てだった。それから約2年。猫も杓子もEDMな状態から落ち着きを取り戻したシーンを受け、今回はくっきりはっきりとR&Bにフォーカスしている。収録曲はいくつかのタイプに分類することが可能で、スターターとなるディスク1の冒頭に置かれたマイケル・ジャクソンの“Love Never Felt So Good”がまずひとつめのムードを牽引。これは、改めて言うまでもなく、2014年の一大ニュースであるマイケルの新作『Xscape』からのシングルとなった曲であり、70年代的サウンドと瑞々しいMJの歌声に心洗われるナンバーだ。

 マイケル的な選曲としては、パーカッシヴなギターのカッティングにゴージャスな管弦をあしらった『Off The Wall』風アレンジがかっちりはまったジャスティン・ティンバーレイク“Take Back The Night”や、イントロの雄叫びからマイケル・モードで攻めるクリス・ブラウン“Fine China”、ジャクソンズ“Heartbreak Hotel”を思わせるシンセ・ベースをフィーチャーしたタンク“You’re My Star”がチョイスされている。

 ここまでベタにマイケル的ではないにせよ、ディスコ・ブギー的な流れとして入れられるのが、アース・ウィンド&ファイアゴアペレあたり。自らが70年代に多用していたタイトなビートを再現した前者はともかくとして、どちらかと言えばインテリなイメージの強かったゴアペレがこんなに楽しいダンサーを歌っていることにうれしい驚きが。ちなみにこの手では、R・ケリー(R. Kelly)と“Make The World Go Round”(本コンピ未収)を作ったDJキャシディのアルバムが待たれるところだが、残念ながら昨年より延期中……。

 話をコンピに戻すと、そのキャシディとの共演“Calling All Hearts”も素晴らしかったロビン・シックの“Blurred Lines”、ファレル“Happy”といった特大ヒットも手堅く収録されている。 (→ P2に続く)

『Perfect! R&B 6 -URBAN LIFE 2015-』
Disc 1: After Sunset
1. “Love Never Felt So Good” – Michael Jackson
2. “Happy” – Pharrell Williams
3. “Blurred Lines (No Rap)” – Robin Thicke feat. T.I.
4. “Time Of Our Lives” – Pitbull & Ne-Yo
5. “Take Back The Night (Radio Edit)” – Justin Timberlake
6. “Fine China” – Chris Brown
7. “Hold On, We’re Going Home” – Drake feat. Majid Jordan
8. “Talk Dirty (No Rap)” – Jason Derulo
9. “2 Reasons” – Trey Songz feat. T.I.
10. “Show Me” – Kid Ink feat. Chris Brown
11. “Meant To Be” – TLC
12. “I Deserve It” – Faith Evans feat. Missy Elliott & Sharaya J
13. “Hey Boy” – Goapele feat. Snoop Dogg
14. “My Promise” – Earth, Wind & Fire
15. “You Are My Star” – Tank
16. “I Still Have You (Soul Persona Remix)” – Charlie Wilson
17. “I Blame You” – Ledisi
18. “Lose To Win” – Fantasia
19. “We Gon’ Love Tonite” – Calvin Richardson
20. “Love & Sex (Part 2)” – Joe feat. Kelly Rowland

Disc 2: Before Sunrise
1. “Good Kisser” – Usher
2. “Jealous” – Ne-Yo
3. “All Of Me” – John Legend
4. “Body Party” – Ciara
5. “2 On (No Rap)” – Tinashe
6. “The Worst” – Jhene Aiko
7. “No Love (Remix)” – August Alsina feat. Nicki Minaj
8. “How Many Drinks?” – Miguel
9. “To The Middle” – Keith Sweat feat. T-Pain
10. “The One” – Tamar Braxon
11. “Let It Burn” – Jazmine Sullivan
12. “Beautiful” – Mali Music
13. “Crooked Smile” – J. Cole feat. TLC
14. “Walk It Out” – Jennifer Hudson feat. Timbaland
15. “4everMore” – Anthony David feat. Algebra & Phonte
16. “Spend The Night (Teddy Riley Remix)” – Dave Hollister
17. “Dinner And A Movie” – Ronald Isley
18. “Genius” – R. Kelly
19. “Fire We Make” – Alicia Keys & Maxwell