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DJ KAWASAKI interview / ハウスの立役者がモダン・ブギーを定義する

DJ KAWASAKIといえばハウス、ハウスといえばDJ KAWASAKI。そんな彼が「脱ハウス宣言!?」と銘打ってリリースしたのが、モダン・ブギー系コンピレーション『You And The Music』である。この「脱ハウス」の真意は? モダン・ブギーの定義とは? DJ KAWASAKIが語ってくれた。

文/荘 治虫

実際のぼくのセットはディスコだったりするけど、呼んだ側はハウスしかかけないと思ってる

ジャパニーズ・ハウスの立役者のひとりとして認知されてきたDJ KAWASAKIにとって、「脱ハウス宣言」というキャッチ・コピーはシーンを驚かせるのに充分なほどセンセーショナルではないだろうか。とはいえ、このコピーはレコード会社の新作リリースの資料に書かれたもの。つまり宣伝文句とも取れるわけで、額面通りに受け取るのはどうだろう、というのが取材前の正直なところだった。なにせ、デモ段階の“Blazin’”を気に入ったティミー・レジスフォード(Timmy Regisford)が一晩に3回もプレイしたという逸話を引っ提げてデビューを飾り、藤井リナをジャケットやヴォーカルに起用して日本発のハウスを盛り上げてきた男であるからして。
そんなわけで、取材が始まってもなお、筆者は彼の「脱ハウス宣言」の本気度を測りかねていた。

ジャパニーズ・ハウス・ムーヴメントのときにデビューしたってこともあって、『KAWASAKIさんてキラキラ・ハウスだよね』っていうようなイメージがあったかもしれないんですけど、そうじゃないよと(笑)。そうでもないぞということを、知ってほしいというか、いまぼくはこうですよ、ということで

問題の「脱ハウス宣言」の真意についてたずねると、彼はこう説明したあとで、「一応、(脱ハウス宣言の後に)クエスチョン・マークが付いているんです(笑)」とエクスキューズして、もうハウスは作らないというわけではないが、ハウスしか作らないというDJ KAWASAKIのイメージを「ちょっと変えたいなと思いまして」と慎重に補足した。

もうハウスはやらない、と言っておいて、また次のアルバムを出す段になったら、やっぱりハウスを、と翻す手法もあるだろう。それを許さない、誠実な人に思えた。その誠実な彼が「キャッチ・コピー的にインパクトのあるもの」と言うのだから「脱ハウス宣言!?」が宣伝向けのものであることに間違いはないが、一方で、結論を言うと、彼にはこの「宣言」を通じてシーンに訴えかけずにはいられない強い思いがあることもまた真実なのだと思う。

まず新曲を作ったところから今回のプロジェクトが始まったんですけど……ぼくにはハウスのイメージがあるじゃないですか。なんですけど、結構、実は、ジャズだったりソウルだったりファンクだったりディスコだったり、レア・グルーヴだったりから影響を受けていまして、もともとDJをスタートしたのもそっちからなんです。DJのセットの半分以上は実は生音だったりして。

もちろん、ハウスのパーティにはハウスをかけますけど、ハウスというフォーマットじゃないもの、いまの自分のDJセットの音に近いものを作りたいな、っていう思いがありまして、それでまず“Where Would We Be”という曲を作ったんです。ダフト・パンク(Daft Punk)が“Get Lucky”を出したりとか、時期的には少し前ですけど、ロビン・シック(Robin Thicke)とかジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)とか、ファレル(Pharrell)がやってるディスコなテイストっていうのは音楽的にも良質なものが多くて、逆にぼくら周りのクラブ・ミュージックでは、この企画のスタート時点では日本でやってる人がまだそんなにいなくて。それでこういう……“モダン・ブギー”ってぼくたちは呼んでるんですけど、モダン・ブギーに特化したコンピを、新曲を混ぜて作れたらいいなってことで

このたびリリースとなったコンピのタイトル『You And The Music』は、DJ KAWASAKIが札幌のNORTH WAVEで持つラジオ番組名から採られている。そもそも、“You And The Music”はドナルド・バード(Donald Byrd)の75年曲で、スカイ・ハイ・プロダクション(Sky High Productions)制作の爽快なレア・グルーヴ・ナンバー。この曲名を選ぶことにも象徴されるように、DJ KAWASAKI=ハウスという世間の認識に対する、彼の違和感の強さは想像をはるかに上回るものがあるようだ。

ジャパニーズ・ハウス・ムーヴメントって言われていた数年前にハウスというカテゴリーでデビューして、ハウスのパーティにすごく呼ばれるようになったんです。実際のぼくのセットはディスコだったりするんですけど、(呼んだ側は)ハウスしかかけないと思ってるんですね。一緒にデビューした方たちはそういうスタイルの人たちも多かったんで。だから、結構大変だったんです。[THE ROOM]で学んだような音楽は[THE ROOM]では盛り上がるけど、違うパーティだとお客さん引いちゃうみたいな。『ハウスの人なのになんでこんな古い曲かけるの?』って。

もちろん自分の曲もかけるんですけど、ぼくはハウスを作ろうと思って作ってるっていう意識じゃなくて、ジョージ・デューク(George Duke)のフュージョン的なディスコに影響されて“Bright Like Light”を作ったりしているんです。ということはぼくの中ではジョージ・デュークから“Bright Like Light”に行ったり逆もまた普通なんですけど、お客さんは『エッ!』って。しんどい思いをしましたが、かと言って流行りのハウスのオンパレードみたいなことは絶対やりたくなかったんです」 (→ P2に続く)

1. Where Would We Be / DJ KAWASAKI feat. Paul Randolph & MAKOTO
2. We Are On The Move / Zo! feat. Eric Roberson
3. Stand Up / Lay-Far with Pete Simpson
4. Girl I’m Running Back 2 U (MAKOTO 4X4 Refix) / MAKOTO feat. Christian Urich
5. Boogie / Uptown Funk Empire
6. Breaking Bad / Art Of Tones
7. Still Running (My Heart) / E.B.O
8. Can’t Stop / Qwestlife
9. All The Night / Wagon Cookin’ feat. Gabriela Smith
10. All Night (Everybody) / Kon feat. Amy Douglas
11. Get Yourself Together (Timmy’s B’ham Disco Authority Mix) / Timmy Vegas feat. Kerry Davies
12. Stop The World (Tarantulaz Club Mix) / Tarantulaz feat. Renn
13. The Party After (Reel People Remix) / Muzart