bmr

bmr>FEATURE>SAUCY LADY interview / 「多様的であるべきだと思うんです。ひとつのものにとらわれずに」

FEATURE

SAUCY LADY interview / 「多様的であるべきだと思うんです。ひとつのものにとらわれずに」

バークリー音楽院を卒業し、ボストンを拠点に活動している天才日本人プロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリスト、金坂征広によるソロ・プロジェクト=monolog。彼が、5月にリリースした最新作『14 Beats N’ Rhymes』に続いて、自身のレーベル=monophonicから女性シンガー/DJ、ソーシィー・レディーのデビュー作『Diversify』をリリースした。前回のmonologロング・インタビューに続いて、今度はソーシィーとmonologが、プリンス・ポールからJ・ゾーン、スラッカー・ザ・ビートチャイルドらまで参加し、あのアンドレ・ハレルが称賛したというアシュフォード&シプソンのカバーも収録した彼女の『Diversify』について語る。

取材・文/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr)

いろんな人種がいるほうがすごく自然に感じるし、いろんなジャンルの音楽をシェアしたい。多様的であるべきだと思うんです

(→ P2より)
DJといえば、本作のボーナストラックには、DJらしい人選によるリミックスも収録されている。最初にブギー的な“Star Bright”のリミックスにスラッカー・ザ・ビートチャイルド(Slakah The Beatchild)を起用していることに触れたら、ふたりとも即座に「スラッカー知ってます!?」と反応。大好きなアーティストだと答えると、思わず3人で盛り上がってしまった。

あまりこっちでも知られてないですけど、私もファンなんで。頼んだら、あんな素敵なリミックスになって、嬉しかったです。彼っぽいサウンドになってて、ユキや私には出せないサウンドで。あとボーカルを生かしてあってよかったな。彼、歌も歌うからボーカルの扱い方も上手なんだろうなぁ

日本のアーティストには、特にR&Bのフィールドにおいて、自分がやっている音楽のルーツにあるアーティストだったり、同じフィールドで活躍するアーティストを知らない、という人もままいるが、やはり、いち音楽ファンとして深い愛情を持って他のアーティストについて語れるアーティストは、信頼できる、と思う。ふたりとは、前回のインタビューでは昨今のディスコ再燃からナイル・ロジャース(Nile Rodgers)がいかに素晴らしいか、という話もしたし(ソーシィーからはナイル・ロジャースの伝記本も勧められた)、今回はリック・ジェイムス(Rick James)のポスターがソーシィーの家に飾られていて、「まず家に帰ってくるとリック・ジェイムス拝むところから(笑)」なんて話も飛び出した。そういう人たちでないとできない音楽というものが、あるはずだ。

ボーナストラックはあと2曲あって、“Touch It (Rahaan Extended Version)”は12インチでRush Hourで出たんですけど。あともうひとつ、“Movin’ (J-Zone Remix)”が、J・ゾーンてアンダーグラウンドなラッパー、プロデューサーで、彼は最近ドラムを始めてて、それを取り入れたリミックスなんです。オリジナルはこのアルバムに入ってないんですけど、ドラムがあまりにもカッコいいんで

アンダーグラウンドな才能たちによる強力なリミックスも収録される一方で、アルバムには、ボサノバ的な“Gentle Rain”といった曲も収録されている。と言っても、直球でボサノバをやるわけではなく、途中でハウスっぽく変化していくなどの“ひねり”があるのがソーシィー流。ボーカルについても彼女はこう考えている。

ディスコとかはゴスペルっぽい大きい声の女性ボーカルがティピカル、よくあることだと思うんですけど、私はよくある感じはあまり好きじゃないので。自分の声でも、(特徴である)ソフト感とかそういうのを取り入れるほうがユニークだと思うし、忘れられないと思うし、サウンドで遊べるし

だからこその、あのアシュフォード&シンプソンのリメイクだったりするわけだ。まさに『Diversify』というタイトルどおり、多様性に富んだアルバム。そして、それは彼女が意図的にやったことだ。

私はインターナショナルスクールに通ってたんで、生徒もいろんなバックグラウンドだったり。クラブとかで遊んでるときもいろんな人種がいるほうがすごく自然に感じるんで。白人だけ、黒人だけ、アジア人だけ、みたいなエリアにいるとすごく不自然に感じますね。

このアルバム自体がいろんなジャンルを集めたいっていうアイディアで。私の音楽の好みも色々あるから、いろんなジャンルの音楽をシェアしたいと思ったし、人間的にもいろんな人種(のミックス)で、カルチャーも私は日本人だったりアメリカ人だったりするんで。いろんなエリアをカバーして、音楽的にもジャズやらボサノバやらヒップホップやらダンス・ミュージックやらいろんなものを取り入れてひとつのアルバムを作りたいなと思って

monologも、「そういうマルチカルチャーな影響が音楽にも出るし、人種だけじゃない、文化的に混ざってるところがアメリカのいいところだし、僕のまわりのボストンの環境も色んな人種のやつらがごっちゃ混ぜになってるところが楽しい」と語る。そういえば、音楽のジャンル、そして人と人が“混ざり合うこと”こそ面白い、と繰り返し語っていたのは彼だ。ソーシィーは、こう言う。

そう、diverse(多様的であること)。そうあるべきだと思うんです。ただひとつのものにとらわれずに

 

1. Who Is Saucy Lady? (Intro)
2. Touch It
3. City Lights
4. Beantown Boogie feat. Wasted Talent – Paul Foley and Nabo Rawk
5. Star Bright
6. Tomorrow feat. Clutch the Mechanic
7. It Seems To Hang On feat. JTronious
8. I’m Ready
9. Truth of the Matter
10. Gentle Rain
11. Diversify featuring Plastic 909
12. Touch It (Rahaan Extended Version) *日本盤ボーナストラック
13. Movin’ (J-Zone Remix) *日本盤ボーナストラック
14. Star Bright (Slakah the Beatchild Remix) *日本盤ボーナストラック