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SAUCY LADY interview / 「多様的であるべきだと思うんです。ひとつのものにとらわれずに」

バークリー音楽院を卒業し、ボストンを拠点に活動している天才日本人プロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリスト、金坂征広によるソロ・プロジェクト=monolog。彼が、5月にリリースした最新作『14 Beats N’ Rhymes』に続いて、自身のレーベル=monophonicから女性シンガー/DJ、ソーシィー・レディーのデビュー作『Diversify』をリリースした。前回のmonologロング・インタビューに続いて、今度はソーシィーとmonologが、プリンス・ポールからJ・ゾーン、スラッカー・ザ・ビートチャイルドらまで参加し、あのアンドレ・ハレルが称賛したというアシュフォード&シプソンのカバーも収録した彼女の『Diversify』について語る。

取材・文/末崎裕之 hiroyukisuezaki (bmr)

デイム・ファンクとかスピナとかアリ・シャヒードと音楽のアイディアをシェアしたり。デイム・ファンクとは一緒に買い物行ったり(笑)

パトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)やジョージ・デューク(George Duke)からデ・ラ・ソウル(De La Soul)らとの共演経験もあるバークリー卒、ボストン在住の天才日本人プロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリスト、金坂征広。彼については、前回のこちらのインタビューで中学生からプロとして活動していたこと、バークリーでの経験、ジョージ・デュークとの共演の想い出、「茶飲み友達」のパトリースとのセッションについてなど大いに語ってもらったのでそちらを参照されたい。

そしてmonologの最新作『14 Beats N’ Rhymes』でも、90年代R&Bのクラシックとして知られるジャネイ(Zhane)の“Hey Mr. DJ”カバーや、近年のブギー/ディスコ再燃にも同調するようなハウス・トラック“Love Struck”などで歌声を聞かせていたのが、同じくボストン在住の女性シンガー/DJ、ソーシィー・レディー(Saucy Lady)だ。「小生意気な」(saucy)彼女は、アメリカ人の父親と日本人の母親を持ち、出身は神奈川県。ずんだ餅をこよなく愛するという一面も持つ。monolog作品の常連でもある彼女の音楽的なバックグラウンドの原点は、父親だ。

父がジャズのレコードのコレクターだったんで、レアものばっかり何千枚も持ってて。生まれたときからずっと色んなジャズのレコードばっかりで、そういう影響もかなり強いですね。あと、5歳ぐらいのときからピアノや声楽も勉強してたんで、それこそいろんなジャンルの影響も受けました

大学時代にはアカペラ・コーラスの一員としてニューヨークのカーネギーホールやボストンのシンフォニーホールのステージにも立ったという。そのあたりの背景は、彼女がsoundcloudで公開している、ジャクソンズ(The Jacksons)“Shake Your Body (Down To The Ground)”のアカペラ・カバーにも見ることができるだろうか。

ボストンの大学院卒業後には音楽専門図書館でも働いたそうだが、R.ケリー(R. Kelly)やアリーヤ(Aaliyah)、DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス(DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince)やア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)から、インシンク(‘N Sync)やブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)といったポップ・アクトまで輩出した、あのJive Recordsでインターンを務めたことも。

ああ、Jiveでインターンやってましたね。大学に在学中だったかなぁ? ニューヨークにひと夏住んでて、その時期ラジオのDJとかもやってたんで、そういう世界にいたんです

早くから音楽業界でのキャリアをスタートさせていたのだ。そして今は、ボストンでクラブDJとしても活躍。日本で言う、いわゆる「アテンド」のようなこともやっているそうで、そこで培われた交流は、彼女のデビュー・アルバム『Diversify』の音楽をさらに豊かにしている。

DJしてるクラブにけっこう世界からトップのDJが来るんです。大体ヒップホップなんですけどね。いつも私がエアポートからピックアップする担当なんですよ(笑)。

でもそうやってDJキューバート(DJ QBert)、デイム・ファンク(Dam-Funk)とかスピナ(DJ Spinna)とか……ア・トライブ・コールド・クエストのアリ・シャヒード(Ali Shaheed Muhammad)とか(と交流できて)。いろんな人たちと音楽のアイディアをシェアできたりとか、お互いすごくインスパイアできてる気がします。デイム・ファンクとは一緒に買い物行ったり(笑)

そのデイム・ファンクとはスタジオでちょっとしたジャム・セッションもやったそうで、「ユキとデイムが遊んでるんですけど、けっこうカッコいいですよ(笑)」とそのセッション映像を教えてもらった。

こうした交流が実って、『Diversify』の1曲目には、なんとプリンス・ポール(Prince Paul)とDJ Pフォーリアル(DJ PforReal)の父子が参加している。大切ななオープニングを飾る“Who Is Saucy Lady?”は、Pフォーリアルがプロデュースで主導を握り、プリンス・ポールがミックスとアレンジを手がけた。

最初は彼(プリンス・ポール)にリミックスを頼んで、色々やったんですけど、『なんかしっくりこないね』って話になって。プリンス・ポールはやっぱり、おもしろい感じの、芝居っぽいものが上手じゃないですか。それで『じゃあイントロを作って』って頼んだんですね。その時に息子さんがDJとプロデューサーをやり始めてるってことだったんで、一緒にやったんですよ。息子とお父さんのコラボですね。私が友達の声とかを録音して。それで私が頼んだのはBPMとかテンポとかで、『私がカッコよく歩いてる雰囲気のBPMでお願い』ってすごいワガママなことを頼んだら(笑)、イイ感じにしてくれて

このアルバムを全面的に手がけた盟友monolog aka Yuki Kanesakaも、「デ・ラ・ソウルの時からそうですけど、プリンス・ポールはおもしろカッツをすごいタイミングで完璧につなぐのがやっぱ巧いんで。レコーディングは全部MDだったんですけど、MDでボーカルのファイルを送ったら、ガシガシガシガシ!っていろんな風につないでくれて。やぁ、目を瞠るものがありましたよ」と賛辞を送った。(→ P2に続く)

 

1. Who Is Saucy Lady? (Intro)
2. Touch It
3. City Lights
4. Beantown Boogie feat. Wasted Talent – Paul Foley and Nabo Rawk
5. Star Bright
6. Tomorrow feat. Clutch the Mechanic
7. It Seems To Hang On feat. JTronious
8. I’m Ready
9. Truth of the Matter
10. Gentle Rain
11. Diversify featuring Plastic 909
12. Touch It (Rahaan Extended Version) *日本盤ボーナストラック
13. Movin’ (J-Zone Remix) *日本盤ボーナストラック
14. Star Bright (Slakah the Beatchild Remix) *日本盤ボーナストラック