bmr

bmr>FEATURE>MICHAEL JACKSON / マイケル新作『Xscape』試聴会直後のファースト・インパクト

FEATURE

MICHAEL JACKSON / マイケル新作『Xscape』試聴会直後のファースト・インパクト

4月某日、約3年半振りとなるマイケル・ジャクソンの新作『Xscape』の試聴会が、東京のソニー・ミュージック ジャパン社屋内で開催された。その試聴会直後、bmr編集部で行なわれたのが、MJ好きのライター2名による緊急対談。ふたりは、この新作をどう聴いたのか? 推理や予想も交えながら展開された、たぶん世界で最も詳しい『Xscape』評がこれだ!

対談:林 剛 × 荘 治虫 /文責:荘 治虫

マイケル・ジャクソンの新作、『Xscape』の試聴会。5大陸10都市を米ソニーのインターナショナル担当役員が音源を持参して回り、社内向けであっても一切の複製を許さないという徹底した管理体制が敷かれており、我々のような外部の人間同様にソニーのスタッフたちさえもこの試聴会で初めてアルバムの音を耳にしたのだという。聴くことが出来たのはアルバム冒頭からラストまでの8曲を一回のみ。プロデューサーや参加ミュージシャンなどのクレジットはおろか、曲名さえ明かされない(!)というライター泣かせの状況下、記憶が鮮明なうちにと試聴会会場からほど近いbmr編集部へと直行して、ファースト・コンタクトの印象を語り合った。

なお、文中に登場する曲名は各種報道やつぶやき、あるいはリークなどによって得られた知見をもとに判断された現時点での予想でしかない。同じ曲を指していてもリリース時の正式タイトルとは異なる可能性が大いにあることをあらかじめお断りしておきます。

前作『MICHAEL』よりは落ちるだろうというのが大方の見方だったと思うんですよ

荘「マイケルの死後にマイケル・ジャクソン・エステートとソニーとの間で交わされた契約があって、報道によれば2017年までに10作品を出せるってことなんだよね。この10作品には新作以外のものも含まれるらしく、あと何枚出してくれるのかは分からないんだけれど、とはいえ、これが最後の新作ということはなさそうな気配がする。で、今回のアルバムが8曲というのは……」

林「曲数としては、いまでいうEPっぽいよね」

荘「そう、CD時代では少ない。今後の新作用に残すために曲数を絞ったか、なんて安易な考えも浮かんでくるわけなんだけれど、曲数が多ければ良いって話じゃないし、ともかく、マイケル・ジャクソン・エステートのアーカイヴから、現Epic RecordsのCEOであるLA・リード(L.A. Reid)が発掘してきた選りすぐりの8曲ってことなんだよね」

林「試聴会の前に流されたヴィデオ・レターでも話していたけど、彼がEpicのトップに就任して、まず最初にやった仕事がマイケル・ジャクソン・エステートに連絡を入れることだったっていうくらいだから、本気度が伝わってくる」

荘「マイケルのヴォーカルはオリジナルそのままで手を加えずに、サウンドだけ、メーカーがコンテンポライズ(contemporized)って呼んでる現代化したってことなんだけど、まず、聴いてみた林さんの印象は?」

林「『MICHAEL』のときより格段に良くなってる。やっぱりさすがにLA・リードが選んでるなっていうのはあったし。ヴォーカルに手を加えていないっていう話も、この前だったら、なんでしたっけ、マイケルじゃないんじゃないかって言われた曲」

荘「“Breaking News”?」

林「そうそう、“Breaking News”の声がマイケルじゃないんじゃないかって話が出るくらい、ヴォーカルが良くないなんて話をした記憶があるんだけれど、今回に関してはきっちりちゃんとしたヴォーカルの曲を選んでるなあと思いましたね」

荘「たしかに『MICHAEL』のときは偽物歌唱疑惑が持ち上がって、それを晴らすべく各関係者にお墨付きをもらったという騒動があったけれど、今回はそんなものは全く必要ないくらいにマイケル。歌が酷い曲はまったくない」

林「ホントに。それでも聴く前は、『MICHAEL』のときに考えうる最高の素材を出してきたと思わされていたわけで」

荘「『MICHAEL』よりは落ちるだろうというのが大方の見方だったと思うんですよ」

林「ぼくもそう思ってたもん」

荘「当然、『MICHAEL』のときには良いところから持っていっただろうから、その残った分でしょ?って感じで。でもそれは全然違いましたね」

林「ほんとに、いま思うと『MICHAEL』は何だったんだろうってくらい。カシオ・テープ云々の話も含めて」

荘「『Xscape』は普通に、いまの新作だって言われてもおかしくない。もちろん、昔っぽい曲も入ってるんだけれど、でも収録曲の結構な部分が今風。新作として違和感ない出来。それでは、1曲目から思い出しながら行きましょう」(→ P2に続く)