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DJ Shadow

DJ Shadow

DJシャドウ

NMEに「ギターをサンプラーに持ち替えたジミ・ヘンドリックス」と言わしめたDJ/プロデューサー。1996年のデビュー作『Endtroducing…』でサンプリング・ビートの新しい世界を切り拓き、「アブストラクト・ヒップホップ」と呼ばれるムーブメントを牽引したが、以降はその枠に収まらない作品で活躍している。

サンフランシスコ近郊のヘイワード出身、本名はジョシュア・ポール・デイヴィス(Joshua Paul Davis)。カリフォルニア大学のコミュニティ・ラジオ局 KDVSのディスクジョッキーとして活動、このカリフォルニア大学でブラッカリシャス(Blackalicious)、リリックス・ボーン(Lyrics Born)らと知り合い、共にアンダーグラウンド・レーベル Solesidesを設立。1991年にミックステープ『Reconstructed From The Ground Up』を発表するところからキャリアを本格的にスタートさせていく。

1993年にはSoulsidesから12インチ『Entropy』を発表。サイドAAに収録された表題曲を代表として、そのミニマルにそぎ落とされたビートは、後の「アブストラクト・ヒップホップ」と呼ばれるサウンドへと進化していく。また同年には、英レーベル Mo’ Waxのオーナーであるジェームス・ラヴェル(James Lavelle)がシャドウのビートに感銘を受け、シャドウと契約。シングル“In/Flux”が第一弾としてリリースされるのを皮切りに、Mo’ Waxの看板アーティストとして成長していく。中でも1996年、デビュー・アルバム『Endtroducing…』を発表すると、AKAI MPC60、Technics SL-1200のターンテーブル、AlesisのADATテープレコーダーを中心に、ビート、サンプリング、スクラッチ、そしてミックスとエディットだけで作り上げたサウンドでヒップホップを始め世界に衝撃を与えた。当時も様々なメディアから1996年のベスト・アルバムのひとつとして絶賛されたが、時を経ても音楽史に残る革命的なアルバムとして評価されており、また2001年にはギネス・ブックで「全てサンプリングで構成された初のアルバム」として紹介された。2005年にはレアな曲を収録したディスク2を加えたデラックス・エディションが発売され、2016年には発売20周年記念として3枚組のボックス・セットも登場するなど、世紀を超えて愛されている。

また、ジェームス・ラヴェルと共にU.N.K.L.E.(アンクル)として活動、1998年にはレディオヘッドのトム・ヨーク(Thom Yorke of Radiohead)を始めとして豪華なアーティストたちを迎えた『Psyence Fiction』を発表し、ヒップホップの枠を超えたサウンドで再び驚かせた。他にも、ダン・ジ・オートメイター(Dan the Automator)、カットケミスト(Cut Chemist)らとコラボレーション作を発表しており、特に後者は7インチのファンク・レコードだけをふたりの圧倒的なスキルでミックスした1999年の『Brainfreeze』を始め、『Product Placement』(2001年)、『The Hard Sell』(2007年)、『The Hard Sell (Encore)』(2008年)とコラボを継続的に続けており、人気を博している。

自身は、『Endtroducing…』の成功を受けてユニバーサルとのメジャー契約を手にし、2002年にはさらなる極みを見せた『The Private Press』を発表。“You Can’t Go Home Again”、“Six Days”といったヒットも飛ばした。一方で、2006年の『The Outsider』では、サンフランシスコなどベイエリアで隆盛を見たハイフィを始め、インディ・ロックなども取り入れ、Qティップ(Q-Tip)、E-40、デイヴィッド・バナー(David Banner)、フォンテ(Phonte)ら始め、ほとんどの曲でボーカルを参加させるなど音楽性を転換。2011年の『The Less You Know The Better』でも、ゲスト数こそ抑えたものの、歌、ギター、ピアノなどが目立ち、かつて「ギターをサンプラーに持ち替えたジミ・ヘンドリックス」とシャドウを評したNMEも、「音楽を作る上での初期衝動を呼び覚まそうと懸命な男の作品」と複雑な評価をした。

だが、2012年には、LAのビート・ミュージック・シーンを牽引するパーティ〈Low End Theory〉にゲストとして出演、「All Basses Covered」と題したDJセットは、ベース・ミュージックを中心にトラップ、ジューク/フットワーク、エレクトロまでを網羅したフューチャリスティックなスタイルで、新たなDJシャドウを像を提示。この流れを汲んで、ナズ(Nas)らが創始したインディ・レーベル Mass Appealから2016年に発表した『The Mountain Will Fall』ではかつてのアブストラクト・ヒップホップ的世界を取り戻し、更新したようなサウンドを聞かせている。